CoinPostで今最も読まれています

サイバー保険会社:仮想通貨保険への本格進出が始まる理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サイバー保険が前代未聞の成長率
度重なる「ハッキング被害」の発生を受け、米国を中心に「サイバー保険市場」が急拡大しています。
現状の問題点
仮想通貨相場の急激な価格変動による影響や、急増する「フィッシング詐欺」などが挙げられます。

相次ぐ仮想通貨のハッキング被害

2017年、華々しいほどの急成長を遂げた仮想通貨市場ですが、ハッキングに悩まされた一年でもありました。

数百万ドルに値するモネロを生成したマイナーウェアの報告、5億ドル近く(580億円)の損害につながったコインチェックの不正流出、ICOフィッシング詐欺など、2018年にかけてもさまざまな悲劇が発生しています。

この負のサイクルは、2011年のマウントゴックスのビットコイン消失事件から、繰り返されてきた歴史です。

ニュースを追っている誰もが知っているように、この傾向は仮想通貨界に限りません。あるジャーナリストは「2017年はハッキングの年だった」と宣言し、(業界の発展に伴い)2018年はさらに悪化する可能性があることを予測しています。

セキュリティへの危機感とサイバー保険

これらの事件を受けて、「サイバー保険」の需要が急速に高まっています。

すでに数十億ドル(約数千億円)規模にあったサイバー保険市場でありましたが、2017年には年間二桁を超える”前代未聞の成長”を遂げました。高額な保険料も合わさって、保険版のゴールドラッシュが引き起こされたのです。

サイバー保険会社によるブロックチェーンの潜在的追加は、さまざまな話題性を生み出しています。

以前、日本の「三井住友海上」による仮想通貨保険の導入事例についてご報告しましたが、より大規模なものとしては、「コールドストレージ」に保管されていない仮想通貨の2%を占める、「コインベースとロイズ(ロンドン)間の巨大保険証券」についても論じられています。

これらの保険証券は、急速に成長している仮想通貨関連市場においては、「氷山の一角」に過ぎません。

サイバー保険の拡大

大手保険会社AIG(アメリカンインターナショナルグループ)を含む、数点の保険ブロックチェーン計画が実装されているにもかかわらず、仮想通貨における保険市場では流行の遅れも目立っています。

しかし、近いうちにいくつかのICOによって触発されることでしょう。

2016年の報告によると、アメリカの「AIG」、スイスの「Chubb」、そしてアイルランドの「XL Catlin」が、サイバー保険市場をリードしています。

AIGは現在、『予備調査段階』と前置きしつつ、すでにいくつかの保険証券の保険債務を負っており、「XL Catlin」および「Chubb」では、仮想通貨保険を実際に販売しています。

サイバー保険同様、仮想通貨の保険市場には成熟するための時間を要することになり、今後数年間に引受モデルを改善するためのデータの蓄積が必要不可欠です。

これらは長いプロセスがかかり、サイバー保険同様、すべてが「リスクアセスメント(リスク特定、リスク分析、リスク評価を網羅するプロセス全体)」から始まることになるのです。

企業は数ヶ月にわたり、広大なインフラストラクチャーの再調査およびサードパーティ(場合によってはフォースパーティ)取引所の安全保護監査を含む、デューデリジェンス(投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査すること)に耐え、そしてデータ管理規則の遵守のために、高額の費用をかけなければなりません。

残る問題点

これら保険証券の一部は、すでに市場で販売されていますが、他にも問題点が残っています。

相場に依存するリスク

一つは、代表的なサイバー保険証券が、法定通貨の安定性に依存してしまうことです。

(予測可能な訴訟料や調査などを除いた)重大な漏洩により1億ドル(約110億円)が盗難被害に遭った場合、保険会社が支払うことができる最大金額は1億ドルです。

しかし、もしビットコインが2016年1月に保険に加入していた場合、保険会社は1,000%を超える価格増加に対応しなければならない可能性がありました。

そのため、多くの保険会社は「価格変動に影響しないタイプの保険」をかけるでしょう(金同様)。相場の大幅な乱高下は、保険業者および顧客にとって想像を絶するような保険金の価格変動を引き起こすリスクがあります。

フィッシング詐欺リスク

二つ目はフィッシング詐欺で、サイバー保険および仮想通貨保険双方において大きな問題になっています。

ドメイン・ネーム・システム(DNS)への攻撃により仮想通貨が間違ったウォレットに送信された場合、保険会社に責任があるのでしょうか?ユーザー側はサーバーを確かめるためにSSL証明書を確認するべきではなかったのでしょうか?

これらの疑問点は、既存のサイバー保険では回答が用意されており、仮想通貨保険市場においても独立した回答が求められます。

仮想通貨投資家を標的とするフィッシング詐欺の急増を考慮すると、これらは看過できない問題となるでしょう。

仮想通貨保険の将来

このようなリスクが顕在化しているにも関わらず、各保険会社は仮想通貨界への進出を前向きに検討しています。

なぜなら「仮想通貨保険」は、今後の市場における中心的役割を担う可能性があるからです。ただ皮肉なことに、この成長余地は「頻繁なハッキング被害により促進されている」という側面があることは否めず、業界の行く末から目が離せません。

Cyberinsurance Providers are Coming for Cryptocurrency Exchanges

Feb. 11, 2018 by Jake Sylvestre

参考記事はこちらから
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/19 金曜日
13:53
Yuga Labs、NFTゲームの知的財産権をゲームスタジオ「Faraway」に売却
著名NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」で知られるYuga Labsは、同社が開発するNFTゲーム「HV-MTL」と「Legends of the Mara」の知的財産権を、ゲームスタジオ「Faraway」に売却したと発表した。
11:54
中東情勢緊迫化で株やビットコインなど急落、リスク回避の動き強まる
中東情勢を巡りイスラエルのイランへの報復攻撃が伝わり、日経平均株価や仮想通貨ビットコインなどリスク性資産が暴落した。先行き懸念からリスク回避の動きが強まっている。
11:30
Ondo Finance、米国債建てトークンUSDYをコスモスで展開へ
資産トークン化企業Ondo Financeは、Noble Chainと提携して米国債建てトークンUSDYなどの資産をコスモス上で展開すると発表した。
11:00
テザー社、USDT超えて最先端技術提供へ 4つの新部門立ち上げ
USDTを発行するテザー社は事業部門を4つに再編する計画を発表した。ステーブルコインを超えた、より包括的なソリューションを提供していく計画だ。
10:10
「BTC半減期後の相場はマクロ経済が主導」10x Research分析
仮想通貨ビットコインの半減期後の相場を主導するのはマクロ経済であると10x ResearchのCEOが指摘。現状ではビットコインの今後価格が5万ドルまで下がる可能性もあると述べている。
09:35
Aptos開発企業、マイクロソフトやSKテレコムなどと提携
アプトス・ラボが数社と共同で開発するAptos Ascendは、金融機関向けのデジタル資産管理プラットフォームだ。この製品はAzure OpenAI Serviceを使用する。
07:55
仮想通貨取引所バイナンス、ドバイで完全な事業ライセンス取得
バイナンスは昨年同局からMVPライセンスを取得したが、同ライセンスには3段階のプロセスがあり、今回は最終段階をクリアしたことになった。
07:20
「半減期後にBTC価格は下落する可能性」JPモルガン
半減期後に仮想通貨ビットコインの価格は下落する可能性があると、JPモルガンのアナリストは分析。17日のレポートで分析の根拠を説明している。
06:30
バイナンス、新たな仮想通貨ローンチパッド「メガドロップ」発表
最初に選ばれたプロジェクトは仮想通貨ビットコインのステーキングプラットフォーム「BounceBit」で、168,000,000 BBトークンがMegadropを通して配布される予定だ。
06:00
コインベース、ソラナミームコイン「WIF」の永久先物提供へ
米仮想通貨取引所大手コインベース(およびインターナショナル取引所)は19日、ソラナ基盤のミームコイン「WIF」のパーペチュアル先物取引を新たに提供する予定を発表した。
04/18 木曜日
17:05
Flare Network、PFP NFT生成AIサービスの一部機能を公開
Flare Network(フレアネットワーク)はデータに特化したブロックチェーンとしてAIを強化。Atrivと提携してコードなしでNFTを生成するプラットフォームを提供。このプラットフォームは、デジタルアートの取引と集大成を容易にし、安全なクロスチェーン取引をサポートする予定。
17:00
ビットコインの新トークン標準「Runes」が注目される理由
仮想通貨 ビットコイン新たな代替トークン基準「Runes」にコミュニティの注目と期待が集まっている。ビットコイン版NFTの発行を可能にしたOrdinalsの開発者が、設計した新たなプロトコルで、ビットコインの半減期に合わせてローンチされる。
16:25
ソラナのDEX「Drift」、18万ユーザーに1億トークンのエアドロップ実施へ
ソラナのDEXプロトコル、Driftが1億トークンのエアドロップを実施予定。取引量200億ドル超のプラットフォームで、ユーザー活動に基づくトークン配布が行われる。新たな暗号資産(仮想通貨)DRIFTの詳細を解説。
15:00
コンサル大手EY、イーサリアム基盤の契約管理サービスを立ち上げ
世界四大会計事務所の一つ、アーンスト・アンド・ヤングは、ブロックチェーン技術を活用した企業契約管理ソリューション「EY OpsChain Contract Manager」の立ち上げを発表した。
14:00
「ビットコイン半減期は年単位で見れば価格に大きなインパクト」Bitwise分析
Bitwiseは今後の価格についてビットコイン半減期の長期的な影響は過小評価されていると述べた。一方、ゴールドマン・サックスはマクロ経済情況も重要と分析している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/20 ~ 2024/04/21
大阪 京セラドーム大阪
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
重要指標
一覧
新着指標
一覧