CoinPostで今最も読まれています

2兆円規模の仮想通貨流入予測も:安心保管のカストディサービスが今望まれる理由

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

カストディサービス参入相次ぐ
安心・保管の「カストディサービス」導入により、およそ200億ドル(2兆200億円)規模の仮想通貨が同事業に流入することが予想されており、米ウォール・ストリートの大御所3社も仮想資産のカストディサービス展開について検討している。
カストディサービスとは
証券投資を行なう投資家の代理人として、有価証券の保管や売買に係る決済、あるいは元利金・配当金の受領や議決権行使などの幅広い業務を提供するサービスの総称のこと。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

安心保管サービスの需要が高まる背景

「安心」

この言葉ほど、現在の仮想通貨投資の状況から、かけ離れた言葉は見つからないように思えます。

仮想通貨市場は、未だ「ワイルド=未開発」な部分が多く、”思いがけない危険”があちこちに潜む、ジャングル探険に例えることもできるかもしれません。 

それだけに、大きな可能性と醍醐味が残された市場でもあるわけですが、一過性のブームではなく継続的な成長を続けるためには、法整備はもちろん、投資家の視点に立ったサービスの充実が不可欠です。

現在、仮想通貨投資市場が伸び悩んでいる理由の一つに、相次ぐハッキング被害やフィッシング詐欺など、サイバーセキュリティの面があります。投資家にとって、投資した仮想通貨の安全な保管方法に不安がつきまとう点が挙げられるでしょう。

取引所に預けておく、ハードウォレット、オフラインのコールドウォレットで秘密鍵を保管するなど、選択肢はいくつかあるものの、「従来の株式などの投資方法に比べ、技術的、心理的なハードルが高い」という印象をぬぐいきれません。

特に、巨額の顧客資産を預かる機関投資家にとって、盗難被害を防ぐことができるかどうかは、最重要課題であり、機関投資家の仮想通貨市場参入の鍵をにぎる課題とも言えるでしょう。

機関投資家参入の呼び水に

その意味で注目されているのが、「カストディ(custody) 」と呼ばれる保管、管理サービスで、現在いくつもの金融機関がサービスを研究・開発中であり、運営開始も間近だと報道されています。

資産保管の問題が最終的な障壁となっている投資家はたくさんいる。

市場は来年にかけて、保管業務は”すでに解決された問題”であるとの認識を持つようになる。 このことにより、大きな資本流入の鍵が開かれるだろう。

ヘッジファンドMulticoin Capital社の共同運営者である、Kyle Samani氏は、Bloomburg紙の電話インタビューにこのように答えています。 

Multicoin Capital社は、先に日本への進出も発表された、アメリカ主要仮想通貨取引所「Coinbase」社が提供するカストディサービスの試験利用を開始している、機関投資家グループのうちの1社です。

野村ホールディングスの例

また5月には、世界的影響力を持つ投資銀行であり証券持株会社の野村ホールディングス株式会社が、「デジタルアセット」のカストディサービスの提供へ向けて、仮想通貨のハードウォレットで知られるLedger社と、英国領ジャージー島に本拠を置く投資顧問会社、Global Advisors Holdings Limitedと共同研究を始めたことを発表しています。

このベンチャープロジェクトは、”Komainu”(狛犬)と呼ばれています。

このプロジェクトを運営するGlobal Advisors社のJean Marie Mognetti氏によると、コマイヌプロジェクトは今年夏頃、限定的な試験運用を始め、年末までには、ヘッジファンドや投資管理会社などの顧客向けに規模を拡大していくための解決策を準備する方針だそうです。

一方アメリカでは、仮想資産のカストディサービス事業には、デジタル通貨スタートアップのBitGo社が120億ドル(1兆3200億円)のデジタル資産を管理するKingdom Trust社を今年初めに買収、参入を表明しています。

さらに、すでに伝統的資産のカストディサービス事業では、大御所と言える米ウォール・ストリートの少なくとも三社、

  • Bank of New York Mellon
  • JPMorgan Chase & Co.
  • Northern Trust
も、仮想資産のカストディサービス展開について検討していると報道されています。

そこで気になるのは「規制との関連」ですが、前出のCoinbase社や、BitGo社は米国証券取引委員会や自主規制団体である、金融取引業規制機構(FINRA) と密にコミュニケーションをとっており、近いうちにカストディサービス提供者としての厳しい基準を満たす見通しだと述べています。

Coinbase社のカストディプロジェクトを統率している、Sam McIngvale氏によると、カストディサービスの提供開始により、およそ200億ドル(2兆200億円)規模の仮想通貨が、この事業へ流入することが予想されるとしています。

安心の値段

ただし、”安心”の値段は、安くはありません。

Coinbase社は、カストディサービスの口座開設に10万ドル(1100万円)。毎月の保管・管理費として0.1%、そして、最低残高を1000万ドル(11億円)と設定しています。

 また、コールドストーレージで保管されている仮想通貨の引き出しには、最高48時間という時間も必要です。

しかし、仮想通貨投資の難点であった「安全性」の提供に、大きなビジネスチャンスを見出している企業も多く、選択肢が増えること、また企業間の競争により、この費用は、将来的には減少することが見込まれます。

 また、「安全」の課題が解決されることにより、機関投資家の仮想通貨市場への投資も促進されると予想されます。

Autonomous Research 社のフィンテック部長Lex Sokolin氏は、「技術的な解決法は、今年末までには市場に提供されるだろう」と予想しており、「伝統的な答え」つまり、投資家の市場への反応が、それに続くことになると述べています。

CoinPostの関連記事

野村HDが海外2社とデジタル資産向けカストディ(保管・管理)サービス提供を目指す
野村ホールディングス株式会社と Ledger、Global Advisors Holdings Limitedが仮想通貨を含むデジタル資産のカストディサービスの提供に向けて、共同研究を進めることを発表しました。
三菱UFJと連携し日本進出する米最大級仮想通貨取引所Coinbaseの影響とは?
アメリカ最大の仮想通貨取引所であるCoinbaseは、16年7月に同社に10億円強出資した、三菱UFJフィナンシャルグループ(以下、三菱UFJ)と連携し、日本市場の開拓を目指すと日経新聞が報じました。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/26 金曜日
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。
07:15
米SEC、イーサリアム現物ETF申請を非承認する可能性高まる
イーサリアム現物ETFの米国での承認は不透明。SECとの一方的な会合や訴訟の影響で、2024年後半までの承認延期が予想されETH今後の価格に下落圧力がかかっている状況だ。
06:50
米Stripe、ソラナやイーサリアムでUSDC決済を導入予定
Stripeは2014年に初めて仮想通貨ビットコインの決済を導入した経緯がある。しかしその4年後の2018年にビットコインのバブル崩壊を受け同社はその取り組みを中止した。
05:50
モルガン・スタンレー、ブローカーによるビットコインETF勧誘を検討
最近の仮想通貨ビットコインETF資金流入状況に関しては昨日、ブラックロックのIBITが1月11日ローンチ以来初めて資金流入がゼロとなり、71日連続の流入記録が終了したことが確認された。
04/25 木曜日
17:42
ワールドコイン、仮想通貨WLDのトークンセールを計画
Worldcoinが個人認証に基づくベーシックインカムプロジェクトの拡大へ、機関投資家限定で暗号資産(仮想通貨)WLDのプライベートセールを計画。市場価格に近い価格で提供し、転売禁止やロックアップ措置を導入する。
15:00
ビットコイン強気相場継続の根拠、アーサー・ヘイズ氏語る
仮想通貨取引所BitMEXの創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏は、世界各国で法定通貨の供給量が拡大し続ける中、ビットコインをはじめとする仮想通貨の強気相場は今後も継続するとの考えを示した。
13:20
2028年の半減期に向けてビットコイン価格など5つの予測=Bitwise
Bitwiseの最高投資責任者は次の半減期までにビットコインに起こる5つのことを予想。ビットコイン価格は約3,880万円以上になるとする予測も含まれる。
10:25
ビットコインの供給インフレ率、金を下回る=レポート
Glassnodeは4回目の半減期についてレポートを発表。ビットコインの供給インフレ率がゴールドよりも低くなり、希少性が増したと述べた。
08:15
zkSync基盤のWeb3ゲーム企業Tevaera、野村などから7.7億円調達
TevaeraはzkSync上でレイヤー3のゲームチェーンを立ち上げる予定で、年内に200万人のプレイヤーと12人のゲーム開発企業をTevaeraエコシステムに参加させようとしている。
07:00
ジャック・ドーシー率いるBlock、店舗売上をビットコインに変換へ
新たに導入する予定の機能は「Bitcoin Conversions」というもので、Cash Appのアカウントを持つSquareのユーザーは、店舗収益の最大10%を仮想通貨ビットコインで受け取ることができるようになる。
06:10
米司法省、バイナンス創業者CZ氏に懲役36ヶ月求刑
仮想通貨取引所バイナンスの元CEOのCZ氏は自分の「不適切な決断」を謝罪し、自分の行動の全責任を受け入れる内容の手紙を2月に提出した判事へ提出したことが明らかになった。
04/24 水曜日
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧