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SegWit2xを理解する:どうして次のビットコインのフォークは無料配布イベントではないのか?

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SegWit2xの現状を理解する。今回のハードフォークはBTCソフトウェアに今までで最大の変更11月16日前後に行う予定
ブロックチェーン・ネットワークを構成する一つ一つのブロックの容量を1MBから2MBへと拡張させようとしています。
SegWit2xの特徴そして対立する理由
非中央集権が故のマイナー、開発者、スタートアップ企業の意見の相違の違いを解説します。

11月15日前後に起こるであろう SegWit2x フォークは、今まで行われたフォークとは違い、多くの不確定要素を含んでいます。支持派が大多数を占めるものの、今後どうなるかは確かではありません。今回はSegWit2x 前にもう一度情報を整理し、詳しくSegWit2x について解説いたします。

目次
  1. SegWit2xを理解する:どうして次のビットコインのフォークは、無料配布イベントではないのか?
  2. SegWit2xと今までのフォークの同じ特徴
  3. 本当に注目すべきは下記に記述する相違点
  4. SegWit2xハードフォークに同意か反対か
  5. マイナーやスタートアップ企業の主張
  6. SegWit2x反対派が上記の考えに疑問な点
  7. 反対派-開発者、ノード・オペレーターによる主張
  8. 通貨分裂は実際に起こるのか
  9. 全てのマイナーたちが最終的に移行するとは限らない理由
  10. 実際にハードフォークはいつ起こるのか

SegWit2xを理解する:どうして次のビットコインのフォークは、無料配布イベントではないのか?

ビットコインは、BTCソフトウェアに今までで(少なくとも公に公開されている中では)最大の変更を行おうとしています。

「デジタル通貨」に該当するビットコインは、世界中に分散されたコンピューターで、情報(この場合はビットコイン)を送信し合い、それをブロックと呼ばれる単位でブロックチェーン・ネットワーク上に情報を格納する最高のプロトコルだと称されています。ビットコインは、非中央集権で、大勢の人がそのネットワークを構成し、存続させるために同じルールを尊守することで成り立っています。

しかし、この非中央集権化という一つの管理団体が存在しない特性が、提案されたアップデート内容に対するコミュニティの分裂、また意見対立に繋がってしまいました。

SegWit2xと呼ばれる計画は、ビットコイン自体のルールを変更する特殊なフォークであり、今まで適用されていなかったルールを新たに適用しようとするものです。具体的に言うと、ブロックチェーン・ネットワークを構成する一つ一つのブロックの容量を1MBから2MBへと拡張させようとしています。

ある人たちは、この変更を肯定的に捉えている一方で、またある人たちはこの変更を否定的に捉えています。

まずこのフォークは、一般的なフォークとは違うことを念頭に置く必要があります。ビットコイン・キャッシュやビットコイン・ゴールドでの特に支障をきたすことのなかったフォークとは違い、SegWit2xではその結果が保証されていません。

ビットコイン・キャッシュやビットコイン・ゴールドでは、特に注目すべき問題もなく、ビットコイン自体の取引に支障をきたすこともありませんでした。むしろ、特定の取引所(付与を表明している取引所)または自身のウォレット(秘密鍵で管理)では、ビットコインを保有していると、その量に応じて新しい通貨が配布されました。

しかし、SegWit2xでは、このような円滑に行われたフォークとは掛け離れた結果になる可能性があります。しかし多くの投資家を惑わせる問題点として、SegWit2x は多くの点で、今まで行われてきたフォークと似通っているところにあります。

SegWit2xと今までのフォークの同じ特徴

まず、他のフォークと共通である特徴を紹介します。

ソフトウェアの代替

ネットワーク参加者により運営されているネットワークの変更を行い、新しいプロトコルを適用します。この場合、SegWit2xのコードはBTC1と呼ばれます。

ブロック容量の拡張

他の機能拡張により効率さを促進できるにも関わらず、ほとんどのフォークはネットワーク上のブロック容量に変化を加えています。

ハードフォーク

既存のソフトウェアを新しく適用されたルールにアップグレードしない人達は、ネットワークの一部ではなくなります。

本当に注目すべきは下記に記述する相違点

最大の違いは、ビットコイン・キャッシュ開発者が新しいルールを適用した新しいブロックチェーンを作成したのに対し、SegWit2xでは既存のビットコインユーザーを全て一つのブロックチェーンに集約することを目的としています。

この場合、SegWit2xは下記のような結果が予想されます。

ビットコインのルールの変更

ほとんどの(あるいは全員の)マイナーたちが彼らのソフトウェアをアップグレードした場合、ビットコインのブロックチェーンはブロック容量を拡張して機能し続けます。SegWit2xのルールが既存のビットコインルールと置き替わり変更されます。 →SegWit2xがビットコイン主流チェーンとなり、既存のBTCがなくなり、2Xコインがメインとなります。

2つのビットコインの作成

少数のマイナーたちが自身のソフトウェアをアップグレードし、”legacy”ビットコイン(既存のBTC)と”SegWit2x”ビットコインと呼ばれる新ルールが適応されたブロックチェーンに別れるため、通貨も異なる2つのブロックチェーンが生成されます。 →BTCと2Xコインが存在する形となり、コミュニティの分裂、さらに価格も双方に別れた形になります。

ビットコインのルールの変更なし

主要なマイナーは誰も新しいSegWit2xのマイニングをせず、既存のルールのまま存続する。 →現状のBTCがそのままBTCとして存在します。

SegWit2xハードフォークに同意か反対か

起こりうる結果の中の1つである2つのビットコインが生成されてしまうことがユーザーにとって最大の心配事となっています。

なぜなら、この変更を支持する人も支持しない人も、どちらもコミュニティ内での対立するそれぞれのグループからの支持を受けることができます。現時点で、取引所及びマイナーのほとんどがSegWit2xへの変更を支持しているとは言え、完全に100%のユーザーが一方を支持することは不可能なのです。

SegWit2xは下記のグループから多くの支持が集まっています:

マイナー

ハードウェアを使用し、ブロックチェーンを支える存在。ビットコインのブロック生成報酬システムにより利益を得ています。

スタートアップ企業(取引所やウォレットサービス等)

ビットコインユーザーに対して、仮想通貨の利用、所持、購入のサービスを提供するビジネスを指します。

マイナーやスタートアップ企業の主張

Segwwit2xに賛成するマイナーやスタートアップ企業の主張一覧です。

ビットコインはデジタル通貨であるべき

ビットコインは米ドルやその他の法定通貨と競い合うべきで、よって、その使用用途の優先度は取引や通貨としての価値にあるとのことです。

既存のアップグレードだけでは不十分

8月にブロックチェーンに加えられたコード(セグウィット)だけでは、当初発表された効率性に達していないと主張しています。

ビットコインの力不足による競合の参入

ビットコイン以外の多くのプロトコル(通貨)が支払いに適した形で発展し続けており、それは、ビットコインの通貨としてのポテンシャルや力不足が原因で、それを補うために次々に競合通貨が発行されるという意見もあります。

SegWit2x反対派が上記の考えに疑問な点

反対派は、主に下記のグループにより構成されています。

開発者

ビットコインのコードを存続させている開発グループです。このグループでは、ビットコイン・プロトコルに関して最も長い期間関わってきた人が多く見受けられます。

ノード・オペレーター

ブロックチェーンの全取引記録を、保存しているビットコイン・ユーザーのことを指します。(容量が大きくなると、その保存コストが上がることを危惧しているようです。)

反対派-開発者、ノード・オペレーターによる主張

Segwit2xに反対する開発者、ノード・オペレーターによる主張一覧です。

ビットコインは価値の保存のためであって、決済ネットワークではない

決算ネットワークではないと主張していますが、将来的に技術の発展による、決済ネットワークも視野には入れているようです。

SegWit2x ハードフォークはリスクが高すぎる

ビットコインの破損や、取引の不安定さにより、このビットコイン自体の存在が危ぶまれる可能性があります。

SegWit2x はマイナーとビジネスに過度の力を与える

これは非中央集権化を主張するネットワークにも関わらず、選択権の中央集権化を引き起こし、ビットコイン自体の存在価値の低下を引き起こすとしています。

通貨分裂は実際に起こるのか

確実な決断を下すのは時期尚早だと言えます。しかし、それを念頭に置いた上で、SegWit2xの構造から示唆されているものもあります。

SegWit2x は BIP 9 アクティベーションを採用している

これは、ルールの変更が新しいコードを使用しているマイナーの割合によって管理されていることを示します。

マイナーが主にSegWit2xを支持している

1Hash、Bitfury、Bixin 、BTC.com、BTCC、BTC.Top、ViaBTCは、5月に発表された原本の同意書に署名をしています。

紙面では、この計画はマイナーの約80%ほどを取り込んでおり、このグループは大部分のネットワークを SegWit2x チェーンに移行できる規模であると考えられています。その中には不利益なソフトウェアに取り残されてしまう恐怖から移行してくる人も含まれるようです。

つまり、SegWit2xチェーンはすぐに大半のマイニングパワーを有するようになり、既存のビットコインのマイニング利益を減少させ(もしくは機能停止にさせ)、全てのユーザーの移行を成し遂げようとしているのです。

全てのマイナーたちが最終的に移行するとは限らない理由

先程マイナーの大多数は賛成派、と述べましたが、全てのマイナーがSegwit2xへと移行するとは限りません。理由はいくつか存在します。

ビットコイン・キャッシュへの移行

中国基盤のビットコイン・コミュニティでは、ビットコイン派生であり、すでにブロック容量を8MBにまで拡張したビットコイン・キャッシュへ、より多くの投資を行う傾向にあります。

マイナーが一方的に行動する可能性の低さ

署名した ViaBTCやBTC.Topなどは、他のマイナーたちにソフトウェア定期契約を提供しているマイニングプールです。彼らは、SegWit2x チェーンへの移行をマイナーに勧める可能性は高いですが、全てのマイナーが移行するとは限りません。

少数派のマイナーはSegWit2x を支持していない

F2pool(ネットワークの5.6%を独占)やSlushpool(ネットワークの7.3%を独占)のマイナーはSegWit2x への移行を支持しておらず、どちらも(程度の差こそあれ)基本的にSegWit2x のコードは実行しないと主張しています。

SegWit2x通貨としての市場価値

すでに、市場価値を測るため、このバージョンのコインを実験的に彼らの注文票でのみ閲覧できるリストに追加している取引所もあります。

フォーク時には、新しいバージョンのビットコインは、約110,000円少々で取引されると予想しています。しかしこれは、ビットコイン・キャッシュ70,000円の約2倍弱、そして、ビットコイン・ゴールド15,000円よりも遥かに高い値段であることに変わりはありません。

実際にハードフォークはいつ起こるのか

未だ多くの不確定要素が残ってはいますが、確定事項としては、このフォークが11月16日またはその前後に起こるということです。

新しいソフトウェアを実行し始めることのできるのは、494,784番目のブロックが作成次第となるので、具体的な時間はまだ不明です。

しかし、プロジェクトに携わっている人たちは着々と準備を進めており、プロジェクト開発者リーダーは先週、11月中旬に向けてのアップデートされたコードを公開すると発表しました。

開示:CoinDeskはDigital Currency Groupの子会社であり、SegWit2x 同意の開催を手伝いました。

この記事では、Segwit2x とWが小文字になっていますが、今までの記事は全て大文字で、SegWit2xと記述されており、CoinCheckでも SegWit2x と記述されていたことから、その表記で統一いたしました。

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