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FTX債権者は仮想通貨上昇分の恩恵受けられずか 債権実質回収率の試算は9%~46%

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

値上がりの恩恵受けられず

破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの債権者グループの代表であるスニル・カヴリ氏は2日、FTXの債権者が回収できる資産は、実質9%~46%であると推算した。

米ドル換算では、FTXは原資産の143%を返済するとしているが、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)その他の仮想通貨はFTX破綻時から大幅に上昇しており、債権者はその恩恵を受けられないことになる。

これは、FTXが元顧客に、仮想通貨現物ではなく、FTX破綻申請時である“2022年11月時点での現金相当額”で支払うためだ。カヴリ氏はこの方法を当初より批判していた。

一方、マウントゴックス(Mt.Gox)の債権者に対しては、“仮想通貨現物”での返還が進んでおり、長年凍結された期間における価格高騰の恩恵を受けているのとは対照的だ。

カヴリ氏によると、ビットコインは破綻申請時には一枚あたり16,870ドルだったが、現在は約11万ドルまで上昇。イーサリアムは、1,260ドルだったが現在は約4,000ドルまで上昇。ソラナは16ドルだったが、現在は187ドルまで上昇している。

出典:カヴリ氏X投稿

このため元顧客は、現在まで仮想通貨を保有していた場合と比較して、ビットコインの場合15~22%、イーサリアムの場合32~46%、ソラナの場合は9~12%の価値しか回収できないと指摘した。

カヴリ氏は、一部の債権者は、FTX債権者を対象としたプロジェクトによるエアドロップによって追加の利益を得られる可能性はあると述べた。しかし、投機的な側面が強く、債権者を狙う詐欺や偽のエアドロップにも注意が必要だ。

エアドロップとは

仮想通貨(トークン)を無料配布すること。認知度向上キャンペーン的な性質を持つ。ブロックチェーンがハードフォークして、新しい仮想通貨が生まれた場合にもエアドロップを行う場合がある。

FTXは9月30日、債権者への第3次弁済として、合計約2,400億円を支払い開始。2024年と2025年のこれまでの2回の弁済では数十億ドルが債権者に返還された。

第3次弁済により、特に米国顧客は預けた資金の大部分を回収できるものの、2022年11月の現金相当額での弁済となる。

関連:FTX、債権者に約2400億円の第3次弁済実施へ

FTXのサム・バンクマン=フリード創設者は、詐欺と共謀などの罪で懲役25年の刑に服しているところだ。11月4日には、米国の第二巡回控訴裁判所に出廷する予定である。

2023年にフリード氏は、7件の罪で有罪判決を受けたが、これに異議を申し立てる格好だ。

フリード氏の弁護団は2024年9月に控訴を申し立てた。検察がFTXの顧客資金の取り扱いについて虚偽の説明をし、裁判中に公正な無罪推定の権利を損なわれたと主張している。

10月末には、フリード氏による「FTXは破産していなかった」とする文書が公開された。破綻手続き時点でも、FTXの資産は負債を上回っていたが、外部弁護士の介入によって不当に破産手続きが開始されたとの見解を述べている。

米国では10月、トランプ大統領がマネロン対策違反などで有罪判決を受けていたバイナンス創業者チャンポン・ジャオ(CZ)氏に恩赦を与えた。これを受け、一部の活動家がフリード氏の恩赦に言及したが、現在のところ恩赦申請や働きかけは確認されていない。

関連:バンクマン=フリード被告のXアカウント、「FTXは破産していなかった」とする文書を公開

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