ニューヨークでの上場や資金調達検討
暗号資産(仮想通貨)ハードウェアウォレットを提供する企業Ledger(レジェ)は米国でのIPO(新規株式公開)または資金調達を検討している。フィナンシャルタイムズが9日に報じた。
レジェのパスカル・ゴーティエCEOは、同社が来年を目途にニューヨークでの上場かプライベート資金調達ラウンドを検討しているとして、次のように話している。
私がニューヨークで過ごす時間が増えたのは、今日、仮想通貨への資金は世界のどこと比べてもニューヨークに集中しているという認識があるからだ。ヨーロッパにはこれに匹敵する規模はない。
レジェは、ニューヨークで人員増強を進めているところだ。ゴーティエ氏によると、同社の2025年の売上高はこれまでに数百万ドルに達しており、過去最高となっている。
レジェは2014年にフランスのパリで設立された企業だ。USBメモリに似た仮想通貨のハードウェアウォレットを販売している。昨年には、リカバリーフレーズを使用せずに、ウォレットのバックアップを可能にするサービス「Ledger Recover」を提供開始した。
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ハードウェアウォレットとは
仮想通貨の秘密鍵をオフラインで安全に保管するための物理的なデバイス。USBメモリのような形状の専用機器で、インターネットから隔離された環境で秘密鍵を管理する。
今年は米国で仮想通貨に好意的なトランプ政権が誕生し、関連する規制の整備が進む中、仮想通貨企業のIPOが相次いでいるところだ。たとえば、ステーブルコインUSDC提供で知られるサークル社や仮想通貨取引所ブリッシュが上場している。
10月末には、ソフトウェアウォレット「メタマスク」で知られるコンセンシスもIPOを検討していると報じられた。
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ゴーティエ氏は、レジェの事業成長は、ハッカーがより攻撃的になっておりセキュリティを強化する必要があるという認識が広まっていることにあるとコメントした。
また、スマートフォンやコンピューターは通信と娯楽のために設計されておりセキュリティに特化したものではないとも指摘。資産保管専用のハードウェアの必要性を示唆した格好だ。
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスが7月に発表した中間報告によると、仮想通貨の盗難額は2025年上半期だけで推計21億7,000万ドル(約3,300億円)に達していた。これは2024年通年の金額を上回っている。
また、個人への攻撃が増加中であり、盗難資金全体の約23%を占めているとも指摘した。犯罪者は、ソーシャルエンジニアリング、ディープフェイク動画、ワンクリックマルウェアを用いて個人のウォレットに侵入している。
さらに、仮想通貨を保有する個人に対する物理的な攻撃も増加中だ。レジャーの共同創業者であるデビッド・バランド氏も、今年1月に犯罪者らに誘拐され、1,000万ユーロ(約18億円)の身代金を仮想通貨で要求された。
その後、この事件を含めフランスで発生した一連の類似した誘拐事件を首謀したとして、24歳の容疑者がモロッコで逮捕されている。



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