CoinPostで今最も読まれています

IBM:ブロックチェーンの多岐にわたるビジネス利用について

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

IBMがブロックチェーン部門を設立
IBMは、ブロックチェーン技術の有用性にいち早く着目し、数年前にブロックチェーン部門を設立しました。現在、同部門には1500人にのぼる人員が携わっており、実用に向け多岐にわたる開発が進行中です。
Hyperledger(超高度台帳)プロジェクト
当プロジェクトは2015年12月にLinux Foundationによって開始され、オープンソースのブロックチェーンプラットフォームの開発が進められています。IBMはHyperledgerのブロックチェーン技術をウォルマートの物流システムに応用し、実証実験をおこない大幅なコスト削減ができる可能性を示しました

3月1日、IBMブロックチェーン部門総括責任者であるMarie Wieck氏は、米国イリノイ州のノースウェスタン大学(Norhtwestern University) で「企業のためのブロックチェーン:仮想通貨はその技術のほんの一部に過ぎない」と題した講義を行い、IBMがブロックチェーン技術をいかに実際のビジネスに活かす取り組みをしているかについて語られました。

IBMは3、4年前にブロックチェーン専門部門を設立し、ブロックチェーン技術に関するリサーチおよび開発を始めました。

この部門は今では世界中で1500人の人員が携わる事業になっており、企業にとって実用性のある、堅牢で統合されたデジタルプラットフォームの開発をはじめとした多岐に渡るブロックチェーン技術の開発を行っています。

Wieck氏は、IBMがブロックチェーンに興味を持ったのはこの技術が「次世代の取引システムの先駆者となると考えたことがきっかけ」であったものの、実際にはブロックチェーンが「デジタル化プロセスへの答え」であることが判明した、と述べました。

結局、ブロックチェーンというものはデータベースにすぎません。しかし、それは多くの異なる関係者間の合意の維持を可能にするため、ネットワーク上で分配され同時性をもったものです。

と述べ、IBMがこの技術に深く関わるようになった理由だとしています。

Hyperledger技術の応用

Wieck氏によると、ブロックチェーン技術の代表格であるイーサリアム上でのプラットフォーム構築には、IBM が行うようなビジネスを主眼においた開発において、いくつかの問題点(プルーフオブワークの煩雑さ、企業は匿名性より許可制による信頼性を好む、オープンソースではない)があることがわかりました。

2015年にブロックチェーン技術の可能性を最大限に引き出す独自の開発を行うため、IBMはLinux Foundationにアプローチし、そこからHyperledger(超高度台帳)プロジェクトが誕生しました。

これはさまざまな産業間を跨ぐブロックチェーン技術を推進させるためのオープンソースの共同事業プロジェクトです。

現在、このプロジェクトには、金融、医療、テクノロジー分野から200を超える企業、団体が参加しています

Hyperledger技術に基づいた事業の一つが、IBMとウォルマートの食品供給経路をより効率的に管理するためのブロックチェーンを使ったプラットフォーム構築の提携です。

現在、ウォルマートの食品供給経路上には農家、加工業者、流通業者のそれぞれが独自のトレーサビリティ(追跡調査)システムを使い、その多くが紙の書類を使ったシステムに頼っています。

現在のシステムでは、食中毒などの非常時にその原因を突きとめるのに数週間もの長い時間がかかってしまい、これは食の安全性の確保ならびにビジネスにとって大変な負担となり、打撃を与えてしまいます。

ウォルマートは、食品供給経路の透明性を保つために多大な努力をしている企業です。

実際に販売されているマンゴーの流通経路を解明する実験では、ウォルマートの従業員チームが1週間かかったところ、IBMブロックチェーンプラットフォームを使うと、たった2秒で農家から梱包業者、流通業者に到るまでのデータが明らかになったのです

このウォルマートの事例のほか、IBMはダイヤモンドの流通経路を記録するデジタル台帳システム開発や、貿易業界で、世界貿易の80%を占めるコンテナ輸送に関する膨大な追跡書類をデジタル化することにブロックチェーン技術導入する事業などに携わっています。

IBMの広範囲にわたる開発体系

さらにIBMは、カナダの企業SecureKey社と共同で、身分証明や個人情報管理の分野にも触手を広げ、ブロックチェーン技術を使って限定的な身分証明の確認を可能にするプロジェクトも推進しています。

現在、身分証明のためには運転免許証などが使われますが、例えば自分の年齢を証明するために、免許証を提示することで必要な情報(年齢)以上の情報(住所など)が開示されてしまいます。

そこで、ブロックチェーン技術を使うことによりインターネット上の取引の場合でも必要な情報のみを開示することが可能になり、当人が身分証明の範囲をコントロールできるようになります。

Wieck氏は

現在、銀行業務、医療、金融、保険などブロックチェーン技術を使った多くのプロジェクトが進行中です。多くの文書と利害関係者が絡んでおり、データ共有の必要性があるものこそデジタル化し、ブロックチェーンに載せるべきなのです

と述べ、仮想通貨の外に果てしなく広がるブロックチェーン技術のビジネスにおける可能性と実効性を強調しました。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/22 金曜日
16:29
大手VCパラダイム「仮想通貨は新たな惑星のようなもの」 投機需要も欠かせないと見る理由
仮想通貨関連技術に特化した米大手ベンチャーキャピタルParadigmは、「火星のカジノ」と題した論説で、仮想通貨を新しい惑星に例え、投機的な投資も「移住の起動プロセスの一部」として欠かせないものだと主張した。
16:15
セガ三国志大戦IP活用のBCG「Battle of Three Kingdoms」、動画初公開
  三国志大戦のIP活用BCGのチュートリアル動画公開 セガの人気ゲーム『三国志大戦』のIPを活用し、double jump.tokyo株式会社が開発を手がける新作ブロックチェ…
14:00
米FRB「資産のトークン化」に警鐘
米FRBは、トークン化が金融安定性に及ぼす影響について詳細に調査した論文を公開した。トークン化がデジタル資産のエコシステムと伝統的な金融システムとの相互接続を促進し、伝統的な金融システムに新たなリスクをもたらす可能性があると指摘している。
13:40
「Proof of Play」、a16zなどから約50億円調達
ブロックチェーンゲーム企業「Proof of Play」はシードラウンドで約49億円を調達した。プレイヤーが世界構築に参加できるWeb3ゲームを開発していく。
12:17
ビットコイン続落、FOMC後の金融引き締め長期化懸念で日米株安進む
暗号資産(仮想通貨)相場でビットコインが続落した。FOMCにおけるFRBの2024年の金融政策見通し悪化を受け、株安が進んでいる。
12:00
10年ぶりの日銀総裁交代、植田新総裁の金融政策は
2023年4月8日に黒田前総裁が退任し、翌9日より植田新総裁が就任し新体制へ。黒田前総裁は10年間でどのような政策をとり、経済・市場環境にどのような影響を与えたのか、また植田新総裁の現時点で発表されている政策による今後の影響も解説します。
11:45
韓国釜山市がWeb3産業育成に本腰 取引所も設立へ
韓国の釜山市はブロックチェーン育成関連の計画を発表。独自メインネットやデジタル資産取引所、100億円規模の育成ファンドを立ち上げるとしている。
11:00
チューリンガムの親会社クシム、Zaif親会社と経営統合へ
Web3企業チューリンガムの親会社クシムは、カイカエクスチェンジホールディングスと経営統合することを取締役会で決議したと発表した。仮想通貨取引所Zaifの運営企業も連結対象となる予定。
08:45
バイナンス、ETHのガス代を1日で計1億円相当支払い
仮想通貨取引所バイナンスは21日に、イーサリアムのガス代を1日で合計1.2億円相当も支払ったことがわかった。バイナンスの担当者が経緯を説明している。
08:10
恐怖指数上昇 米国株続落、日銀マイナス0.1%金利維持|22日金融短観
本日米NYダウは続落。ナスダックとS&P500は6月以来の安値となった。昨日のFOMC会合では市場の予測通りに金利据え置きが発表されたが、年内1回の追加利上げの可能性が示唆された余波を受けた形だ。
05:52
欧州MiCA法施行に向けてバイナンスのステーブルコイン対応は|22日朝の重要速報まとめ
仮想通貨取引所バイナンスは来年6月までに欧州市場でステーブルコインの上場廃止を検討しているか。CZ氏は報道を否定した。
09/21 木曜日
18:00
仮想通貨擬人化BCG「コインムスメ」がSTEPN運営と提携、GMTアイドル「ジェムティ」誕生
ブロックチェーンゲーム「コインムスメ」は、STEPN運営Find Satoshi Labとの提携により誕生した「ジェムティ(GMT)」のデザインを公開した。限定NFT200枚を抽選でプレゼントする企画も行われる。
16:56
コナミ初のweb3プロジェクト「ZIRCON」、東京ゲームショウで発表
コナミがweb3進出 国内ゲーム大手企業のコナミデジタルエンタテインメントは21日、「東京ゲームショウ2023(TGS2023)」のステージにおいて、ブロックチェーン技術を活用…
15:42
マウントゴックス弁済期限、2024年10月まで延長
2014年に経営破綻した仮想通貨取引所、マウントゴックスの債権者へのビットコインや現金による弁済の期限が、1年延長されることが確認された。弁済先情報が提供されている債権者に関しては、年内に弁済を開始する可能性もあるとしている。
14:44
「ゲソてん byGMO」ブロックチェーンゲームを統合へ
GMOメディア株式会社は、ゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」のレイヤー2であり、ゲームプラットフォームとして機能する「GESOTEN Verse(仮)」の開発を発表。従来のWeb2ゲームポータル「ゲソてん byGMO」とユーザー基盤を連携する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧