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Flow主催「Unlocking Value from Crypto Networks」国内有識者がNFTやDeFi市場を語る

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Flow主催のオンラインイベントが開催される

Flowブロックチェーン主催のオンラインイベント「Unlocking Value from Crypto Networks」が9月25日に開催され、ブロックチェーン基板のNFT(非代替性トークン)市場のほか、DeFi(分散型金融)およびイーサリアム市場が直面する課題点や現状について議論されました。

イベントには、国内大手企業のパネリストらが登壇しています。

  • 竹田 匡宏(あたらしい経済)
  • 國光 宏尚(株式会社gumi 取締役会長)
  • 大日方 祐介(Web3 Foundation)
  • 天羽 健介(コインチェック株式会社 執行役員)
  • 北原 健(B Cryptos ヴァイスプレジデント)
  • 伊藤 佑介(株式会社博報堂)
  • 吉田 世博(株式会社HashPort 代表取締役)

ブロックチェーンゲームのフロンティアである「CryptoKitties」を生み出したDapper Labsが開発する「Flowブロックチェーン」は、最適化されたエンターテイメント体験を提供するために開発中の次世代ブロックチェーンです。

Flowは「Coinlist」でトークンセール中で、10月2日よりコミュニティトークン提供を開始し、10月6日にオークションが終了する予定です。コミュニティトークン提供には65,000人以上のユーザーがコミットし、Coinlistの記録を更新しました。

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NFT市場の現状と課題点(敬称略)

國光(gumi会長)

短期トレードが儲かることによって(直近相場で盛り上がった)DeFiの影響がある限り、NFT市場のトランザクション手数料である「Gas代」は安くならない。

ブロックチェーンの側面を重視しすぎると、一般ユーザーにとって使いづらいプロダクトになってしまいます。 しかし、一方でモバイルアプリに持っていくとなると、Appleは最近特に審査などが厳しく、通常のソシャゲなどに対抗するのは難しい。各社難しい決断を迫られているのではないでしょうか。

天羽(コインチェック執行役員)

私の視点では、国内市場の優れた要素は2つあります。

1つ目は、現時点では暗号資産(仮想通貨)厳しい規制がされる状況にはないこと。2つ目は、日本は国際的に見ても優れたコンテンツが多いことです。暗号資産取引所としては、FATF(金融活動作業部会)に「暗号資産」だと判断された場合のコストなどが気になるところですが。

吉田(HashPort代表取締役)

ハッシュポートとしては、ゲームやマンガのIPを保有する企業との取引があるなかで、日本市場は「大きな転換点」にあると思います。

まずはアプリのUX。

デジタルウォレットをどのように連携させ、その上で「秘密鍵」をユーザーごとに管理しなければならないことを考えると、一般ユーザーがそのハードルを乗り越えられるか?というのが課題です。コインチェックが挑戦する中央集権型のNFT市場は、重要な前例を作るのではないでしょうか。

いわゆるブロックチェーンに紐付いた「デジタルアイテム」の価値も重要な課題だと思います。実際に手に取ることができるキャラクターのクリアファイルを手に入れた人は嬉しいですが、キャラクターのNFTは魅力が足りない可能性も検証されつつある。

伊藤(博報堂)

昨今はコロナの影響でオフラインイベントの開催が難しいため、多くのエンターテイメント企業がデジタルを含めた新たな方法でイベント開催を提案しているのは追い風です。デジタル化した取り組みなど、新しいことに挑戦したいという企業が増えてきた。

例えばJリーグは、サッカーのプロである全選手を「NFTカード化」して公開しています。ビジネスとして成功するかは未知数ですが、新しいことに挑戦する意欲が高まっていることは注目に値しますし、個人的にもその波に乗っていきたいと思っています。

NFTの価値は、使い勝手の良さによって上昇すると思います。そういった意味で、すでにIP(知財)を保有している企業向けのサービスが重要になってくると思います。そのためには、メディアや出版社などを巻き込んでいかなければなりません。

現在、「Japan Contents Blockchain Initiative」というグループがあり、小学館グループやエイベックス、電通などがメンバーとなり、コンソーシアムブロックチェーン上でコンテンツを公開する活動を行っています。環境的には進めやすくなっているのではないでしょうか。

竹田(あたらしい経済)

より多くのユーザーを獲得するためには、より大きなネットワークが必要です。 PolkadotやFlowはどのような点を重視されてきましたか。

大日方(Web3 Foundation)

Polkadot自体はメインチェーンを持っており、それ自体は多くの機能を持っていません。「パラチェーン」と呼ばれる他のブロックチェーンは、メインチェーン全体で使用できる特定のコンポーネントや機能を持っている。

現在、NFTパラチェインを作成しているチームが出てきていて、開発はすでに始まっている。これが完成してPolkadot上で操作できるようになれば、DeFiの熱に押されて高騰しているNFT周りの手数料が下がる可能性がある。

DeFiについては、ステーブルコインを開発しているチームがあります。

今まではイーサリアムしか選択肢がなかったが、現在ではPolkadotやCosmos、Solanaなどのプラットフォームを模索している企業も出てきています。そのような流れに沿って、DfinityやNearのようなチェーンも登場しています。

以前はDeFiやNFTのアプリケーションの進化にインフラのレイヤー速度などが追いついていなかったのが、ようやく追いついてきたと思います。そういう意味では、DeFiのアプリサービスや開発は他のネットワークにも移っていくでしょう。(単純にシェアを食い合う)「ゼロサムゲーム」ではないと思いますが、イールドファーミングなどのDeFiブームなど、ここ半年間で動きがはっきりしてきましたね。

國光(gumi会長)

Polkadotにとってはチャンスですね。ユーザーにとって、利益率の高いDeFiと異なり、少額決済の多いイーサリアムのNFT市場は1トランザクションに掛けられるコストが大きく変わってきます。

北原(B Cryptos ヴァイスプレジデント)

NFTで重要なのはソーシャルネットワークで、端的に言えば「コミュニティ」です。

その点、Flowがネットワーク効果をよく広げている部分は、ブランドやIPを中心に戦略的にコミュニティを集めています。例えば、プロバスケットボールの「NBA」には巨大市場に熱狂的なユーザーがいます。「Crypto Kitties」を購入したいユーザーがいたら、イーサリアムブリッジでクロスチェーンで連携すれば、さまざまな現状の問題は解決します。手数料が安く、最終的に処理が早いというイーサリアムの課題をクリアしているので、開発者にも優しいと思います。

巨大なコンテンツプロバイダとの連携は、地道に仮想通貨・ブロックチェーンに興味を持つ人のつながりやロビイングが活きてきました。

DeFi市場の現状と課題点(敬称略)

竹田(あたらしい経済)

ICOの資金調達は、多くの投資家が保護されていなかったため長続きしませんでした。「DeFi」についても一過性のブームだという意見もあります。

國光(gumi会長)

私は、一過性どころか大きな”革命”の一つだと思います。

DeFiには、大きく分けると2つのタイプがあります。1つはレンディング型。もう1つはDEX(分散型取引所)のようなものです。レンディングは伝統的な信用創造に近い。

個人的に思い入れが強いのはUniswapです。デポジットは必要ですが、ユーザーにインセンティブを与えて、圧倒的な流動性を生み出しました。今やスモールタイムのトークンの取引は、ユニスワップやDeFiで十分ではないかという認識もある。Uniswapは「コード監査」を受けているので、ハッキングされない前提であれば、セキュリティについても高いと考えています。DeFiによって、スマートコントラクトの有用な活用方法が明確になったのは大きな進化でしょう。

北原(B Cryptos ヴァイスプレジデント)

DeFiについては、規制当局も仕組みを勉強中だと思います。まず自分たちで理解しないと、どの法律がどのように適用できるかわからない。

大日方(Web3 Foundation)

DeFiが一大領域なのは間違いありません。未監査のスマートコントラクトに600億円相当の資金がロックされているのをみると、恐ろしさを感じますが、それと同時にその熱量に圧倒されます。

今後、ユーザビリティや取引手数料などの問題が解決されれば、状況が変わる可能性もある。DeFiのイールドファーミングは、仮想通貨ならではの革新的なイノベーションです。プロトコルの所有権がユーザー間で分散化され、その後ネットワークの外部性がブーストアップされることで流動性が高まるというのは、仮想通貨業界ならではのシステムです。

DeFi以外のシステムにも、例えばイールドファーミングを利用したNFTなど応用したプロジェクトも出てくるのではないかと思います。

吉田(HashPort代表取締役)

私はDeFiについて、あえて別の視点から見てみたいと思っています。

DeFiは将来的に社会に大きなインパクトを与え得る技術ではありますが、このような新興技術は往々にして初期段階で過剰な期待や過大評価が寄せられてしまう。はたして、本当にフラットでファンダメンタルズに基づいているのかということです。

例えば、かつての株式市場のドットコムバブル米国のナスダック市場が同じレンジに戻るまでに12年を要しました。ただ、先ほど大日方さんがおっしゃっていたように、DeFiやNFTのマーケットプレイスならではのマーケティング手法、いわゆる「バイラルマーケティング」は、ブロックチェーンやトークンに対して、真の価値を結びつけるための優れた方法かもしれません。

國光(gumi会長)

ビットコインは”デジタル・ゴールド”としての地位を確立したと考えています。今後、「価値の保存手段」としてBTC価格が上がることはあっても、大崩壊することはないのではないかと確信しています。

イーサリアムはビットコインとは異なる独自の進化をたどっている。ICO、DeFi、NFT・・・と、サードパーティがイノベーションを生み出しています。ICO崩壊で全滅した数年前とは状況が大きく異なると考えています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中が大規模な金融緩和を実施していますが、これは言い換えると世界中の国々が借金をして、現金の価値が希釈されています。そうなれば、代替資産としてゴールドの価値が上がったように、ビットコインの価格も上がりやすくなるでしょう。

多くの仮想通貨プロジェクトはビットコインに依存していますし、プロジェクトの多くはイーサリアムでテストされてます。DeFi分野をはじめ、この1~2年間で技術的な面では飛躍的な成長を遂げました。

英語版レポート

海外ユーザー向けに英語版を作成しました。

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