外国為替(FX)ディーラーが仮想通貨市場で感じたこと |FXcoin寄稿

仮想通貨取引における後悔|FXcoin寄稿

JP モルガン、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど数多くの名立たる投資企業や銀行で外国為替(FX)ディーラーとしてのキャリアを歩んできた筆者。

以前にとある暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に関する著作を読んだことをきっかけに仮想通貨の購入を検討しましたが、結局購入しなかったそうです。しかし、現在のビットコインの価格上昇を目の当たりにし、その当時購入しなかったことを後悔しているといいます。

その後悔の背景には、長年にわたり外国為替(FX)ディーラーとして自分に課してきた「ルール」がありました。

外国為替(FX)ディーラーとして

私は1993年にJPモルガンに入社して以来、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、ドイツ銀行など20年以上にわたり外国為替(FX)ディーラーとしてマーケットと対峙してきました。

ディーラーの仕事は24時間動き続けているマーケットに対して常に神経を張り巡らせながら、顧客にプライスを提示したり、自己ポジションで売買を繰り返したりするタフなものでした。

売買する金額は合計で毎日数億ドル、多い日では百億ドル(約1兆円)の単位になることもありました。百億ドルというとUSD/JPYレートが1銭動いただけで1億円の収益変動があるため、多くの人に緊張しないのか聞かれましたが、そこは慣れです。

というよりも相場の目まぐるしい動きに緊張している暇もなかったというのが本音です。

仮想通貨との出会い

仮想通貨について初めて耳にしたのは十年近く前になりますが、当時はさほど関心がありませんでした。

その後、ナサニエル・ポッパー著の『デジタルゴールド - ビットコイン、その知られざる物語』を読んで、これはインフレに強い資産になると考え、仮想通貨を買おうとしたことがありました。実際に買おうとしたら1ビットコイン=2000ドル(約20万円)前後で、思った以上に値上がりしていたので、買わなかった記憶があります。

昨年からビットコイン相場の上昇要因のひとつに、ビットコインがインフレ対策資産となりうることが挙げられていますが、6万ドル(約600万円)となろうとする今の相場を見て、なぜあの時買わなかったんだろうと悔しい思いをしています。

やはり、相場はいくら見通しが当たっても、思っているだけではだめで、実際にアクションをとってポジションをもたなければ意味がないんだとつくづく反省しています。

自分のルール(1) - 常にポジションを持つ

このような仮想通貨との出会いにおいて、後悔と反省があるのは、「自分のルール」に従わなかったからです。金融機関で外国為替(FX)ディーラーとして仕事をしているときは、自分に色々なルールを課していました。

その中のひとつに”常にポジションを持つ”というものがあります。当時は週末とクリスマス以外は、四六時中、相場を見ていました。退勤後や休暇中であっても、電話や情報端末を使って国内外の同僚にコンタクトさえすれば、状況を把握できるので、アイデアが固まると直ちに取引していました。

”常にポジションを持つ”というルールには理由があります。大小にかかわらずポジションを持っていると、損したくないので世の中で起こる様々なことに敏感になっています。敏感になると集中力が増して、いろいろな変化を見過ごさなくなります。

相場というものは為替にしても株にしても、そしておそらく仮想通貨にしても、ちょっとしたきっかけで大きく動くことがあります。このきっかけに気づくことがディーラーとして重要なことだと信じています。

自分のルール(2) - 収益目標に時間軸を追加する

プロであっても個人の投資・投機家であっても、収益目標をたてて取引することは重要ですので、多くの人がやっていると思います。

収益目標が決まれば、それに見合った損失限度額も決まります。たとえば10万円の収益目標のポジションであれば損失が10万円になったときは、そのポジションをいったん手仕舞いすべきです。

しかし、収益目標に時間軸を追加している人は多くはないのではないでしょうか。

私は為替ディーラーであった時、1か月で決済するポジション、1日で決済するポジション、そして場合によっては1分で決済するポジションなどと、細かく分けて考えていました。そしてあらかじめ決めておいた時間が経過した場合は、目標収益に達していなくてもそのポジションを手仕舞って損益を確定させていました。

こうすることにより、ポジションを作る前にいろいろと考えて準備する習慣ができ、想定外のことが起こった時も冷静に対処することができたのだと思います。

さいごに

仮想通貨において私は新参者ですが、見たところビットコインなどの主要通貨においても取引所間のアービトラージの機会もありそうで、市場そのものも成熟に向けた成長段階にあるとみています。

今後は仮想通貨市場に適応した”自分のルール”を磨き上げ、高いパフォーマンスを目指していきたいと考えています。

【会社概要】

会社名  : FXcoin株式会社

所在地  : 東京都港区六本木1丁目6番1号 泉ガーデンタワー10階

設立   : 2017年9月21日

資本金  : 15.2億円(資本準備金含む)

代表者  : 代表取締役社長 大西 知生

事業内容 : 暗号資産(仮想通貨)関連事業

登録番号 : 関東財務局長 第00019号

URL   : https://fxcoin.co.jp

           https://news.fxcoin.jp (情報サイト)

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寄稿者情報

住 陽一 (すみ よういち) FXcoin株式会社 仮想通貨ディーラー

1993年にJP モルガンに入社して以来、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、HSBC、メリルリンチ、みずほ銀行、ドイツ銀行など20年以上にわたり外国為替インターバンク・ディーラーとしての経験を持つ。2015年に引退した後は、飛騨で農業に従事。2020年よりFXcoinの仮想通貨ディーラーとしてマーケットに復帰。

著者:CoinPost編集部

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します