CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン分裂問題とは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインには解決するべき問題が存在している
現在、ビットコインはブロック容量1MBが限界まで使用されている状況です。これにより送金速度の遅延等様々な問題が発生しているため、対策が必要です。
対策についての意見が対立
対立している代表的な3つの意見があります。複雑な背景がありますが、簡潔に述べると取引データの縮小(Segwit)、ブロック容量1MBの拡大の意見対立がメインです。
様々な企業や団体の考えが複雑に絡み合っている
ビットコインマイニング機械の大手企業、取引所、その他大手マイニングプール等多くの人々の考えがぶつかり合っているため、とても複雑な問題となっています。
目次
  1. 概要
  2. 分裂問題の経緯
  3. Segwit2x(BIP91)とは?
  4. UASF(BIP148)とは?
  5. UAHF(BAHF)とは?
  6. まとめ

概要

まず、ビットコインにはマイナーや利用者が「従うべきルール」が設定されています。そのルールに従う事で、今や時価総額約4.5兆円にも上り詰めたビットコインの分散型通貨ネットワークを利用出来ています。

しかしビットコインが広まるにつれ、送金速度の遅延等様々な問題が出てきました。そしてついにこの「従うべきルール」について、開発者やマイナー、投資家達の一部が意見を対立させ始めました。

ビットコインの「従うべきルール」を変える案は、現在ではSegwit2x(BIP91)、UASF(BIP148)、UAHF(BAHF)の3つがメインとなっています。

Segwitについて
Segwit2x UASF UAHF
要望 取引データ小(Segwit)

ブロック容量拡大(2MB)
取引データ小(Segwit) ブロック容量拡大
目的 UASFとUAHFによる争いを回避する為の妥協案 Segwitを採用させる

Bitmainの高性能マイニング製品ASICBoostを使用不可にする
UASFへの対抗策

ASICBoostを使用可能にする

分裂問題の経緯

日時、人物、団体 出来事
解説
2014年10月
Bitcoin Core
ブロック容量を20MBにアップグレードするロードマップ発表
ブロック容量を1MB→20MBにハードフォークし、問題の解決を図るという発表です。
2015年8月
Bitcoin Core
BitcoinXTと呼ばれるハードフォーク案発表
BitcoinXTはBIP101という案が元になっていて、約2年ごとにブロック容量を倍増していくバージョンアップ案です。
2015年12月
Bitcoin Core
Scaling Bitcoinの第二回開催時にSegwit発表
Segwitについて
Segwitを導入することでBitmainの高性能マイニング製品ASICBoostが使えなくなると言われています。
2016年2月
中国マイナー
香港アグリーメントにおいてSegwitを導入後に2MBブロックにアップグレードするハードフォーク案発表
Segwit2x(BIP91)と同じ流れの案です。
2016年11月
ViaBTC、Bitcoin.com
Bitcoin Coreに反抗するBitcoin Unlimitedを支持
この時点で「Bitcoin Core」vs「Bitcoin Unlimited」の図式となりました。
2016年11月 Segwitシグナリング開始
「Bitcoin Unlimited」の反抗も影響し、3割程の支持率で停滞という結果になりました。
2017年3月
Shaolin Fry
UASF(BIP148)構想スタート
上記した状況に危機感を抱いたSegwit派の一人が、「Segwitを採用させるための案」を提案しました。
2017年3月 Segwit2xの初回案発表
この時点ではまだ大手マイナーや中国企業による賛同は得られていません。
2017年4月
Bitmain
UAHF(BAHF)計画を発表
UASF(BIP148)によりBitmainの高性能マイニング製品ASICBoostが使えなくなるので、その対抗策が発表されました。UASF(BIP148)が実行された場合ハードフォークによりビットコインを分裂させる、という案です。
2017年5月
Barry Silber
NewYork Agreement(NYA)を締結し多くのマイナーがSegwit2x(BIP91)合意
この段階でSegwit2x(BIP91)は支持率を大きく伸ばしました。
2017年6月
中国マイナー
Segwit2x(BIP91)合意
上記したBitmainもSegwit2x(BIP91)を支持することを発表しました。
2017年7月
ViaBTC
ビットコインキャッシュ上場発表
ViaBTCはBitmainが投資している取引所、マイニングプールでもあるので関係性が疑われましたが、Bitmainは否定しました。
2017年7月 Segwit2x(BIP91)ロックイン
Segwit2x(BIP91)が可決され、Segwit導入後2017年11月にブロック容量を2MBに拡張するハードフォークが予定されています。
2017年8月 ビットコインキャッシュ誕生
Bitmain、ViaBTCではなく個人マイナーによりハードフォークされました。

ビットコインのブロック容量が1MBであることによる影響について、「Bitcoin Core」と呼ばれるソフトウェアを開発している開発者コミュニティでは、2014年より前から様々な議論が繰り返されてきました。

この問題に関して広く知れ渡るようになったのは、2014年にコア開発者のGavin Andresen達により提案された、ブロック容量を20MBにアップグレードするロードマップと、2015年発表のBitcoinXTというハードフォーク案による影響が大きいです。

その後、「Scaling Bitcoin」が開催されてビットコインコア開発者が集い、ソフトフォーク案であるSegregated Witness(Segwit)、ブロック容量を圧迫していた送金者の署名データを縮小することで、ブロックあたりの処理能力を拡大する案が提案されました。

しかし、中国のマイナーコミュニティ達が「香港アグリーメント」において、Segwitを導入後、2MBブロックにアップグレードするハードフォーク案を宣言します。

2016年10月にはSegwitが本番環境へと反映され、11月にシグナリングがスタートしましたが、ViaBTC、Bitcoin.comなどの大手マイニングプールが、「Bitcoin Core」に反旗を翻した結果、Segwitのシグナリングは3割程の支持率で停滞します。

中国の他マイナーも追随し、ビットコインマイニング機械の大手企業Bitmainも「Bitcoin Core」に対抗するべく立ち上がった「Bitcoin Unlimited」でハードフォーク案を推進し始めました。

コア開発者、マイナー、事業者、ユーザー、投資家。それぞれの思惑が絡み合った結果、最近では3つの案の対立が注目を集めています。

それがUASF(BIP148)とSegwit2x(BIP91)、UAHF(BAHF)の対立です。

Segwit2x(BIP91)とは?

それぞれについて解説しましょう。まずは投票の結果多数派となったSegwit2x(BIP91)について解説します。

簡潔に述べると、3ヶ月後にブロックサイズを2MBに引き上げるためのハードフォークが前提であるSegwit導入計画です。

当初のSegwit案ではマイナーからの95%の支持がない場合は適用出来ませんでしたが、Barry Silber(Degital Currency Groupと呼ばれる仮想通貨関連の大手企業の創業者)が提案したBIP91により80%の支持で適用することが可能となりました。

この計画を賛成するマイナー達がNYAというコードを用いますが、これはNewYork Agreementの略で、5月にニューヨークで開かれた「Consensus 2017」というカンファレンスで大手マイナーや取引所が集まって合意したということです。

その後、中国を中心とした主要マイナー達、企業、取引所が多く支持を表明します。

そして、7月時点で支持している層のハッシュパワー(計算能力)が80%を超えていたために、BIP91がロックインされる事が濃厚であると話題になり、2017年7月21日にBIP91がロックインされました。

これによりUASF(BIP148)による2017年8月1日のビットコイン分裂は回避され、2017年11月の2MBハードフォークまでの間は一段落……とはなりませんでした。

2017年8月1日午後22時半頃、ビットコインのハードフォークが起きてビットコインキャッシュが誕生しています。これはUAHF(BAHF)によるものです。

UAHF(BAHF)とはUASF(BIP148)の対抗策として提案されたものですので、先にUASF(BIP148)を説明します。

UASF(BIP148)とは?

次はUser-Activated Soft Fork、つまりはUASFについてです。

Segwitが採用されない状況を恐れたShaolin Fryという人物により、取引所が状況を動かす主体になるビットコインの改善案、BIP148が提案されました。

ソフトフォーク案であるBIP148は、BIP148のコードが含まれるソフトウェアが、2017年8月1日時点でSegWitが動作していなければマイナーによる80%の支持を得ること無くBIP148が動作し、非SegWitブロックを全て否定するようになる仕組みです。

つまりBIP148は、SegWitを適用させるのではなく、非SegWitブロックを拒否することでブロックチェーンをフォークする目的です。

例えば、マイナーが非Segwitブロックを採掘したとしましょう。しかし多数の取引所やウォレットがBIP148をサポートすると、新たに採掘した非Segwitブロックが無視されてしまい、換金が困難となります。このように、Segwitを支持しないマイナーのブロックを受け付けない変更を行うという計画です。

しかしこれにはビットコイン分裂のリスクがあり、更にその上UASF(BIP148)の対抗策であるUAHF(BAHF)が発表されたことにより、SegWitが8月1日までに80%の支持を得る事ができない場合、UASF(BIP148)後にビットコインのブロックチェーンが分岐(ハードフォーク)する事になるだろうと言われていました。

そして「8月1日にビットコインが分裂する」と世界中で騒がれるようになりました。

結果は、CoinPostのツイッターで報じた海外大手サイトcoindeskの和訳チャートの通りです。

この和訳チャートではビットコインキャッシュの誕生については触れられていません。

ビットコインキャッシュとは

UAHF(BAHF)とは?

UAHF(BAHF)とは、ビットコインマイニング機械の大手企業Bitmain、そして最大手マイニングプール、取引所であるViaBTCが行うとされていたマイナーの支持に関係なくハードフォークする案です。

元々はUASF(BIP148)によりSegwitが導入されると、Bitmainで作られている高性能マイニング製品ASICBoostが使えなくなるために発案されたものである、と言われることが多いです。

よって2017年8月1日に対抗案であるUASF(BIP148)が実行された場合、UAHF(BAHF)が起きる可能性が高いとされていました。

その後発案されたSegwit2x(BIP91)をBitmainが支持し始めましたが、2017年7月18日に同じくSegwit2x(BIP91)を支持するとしていたViaBTCがビットコインキャッシュの上場を発表した事で、ViaBTCに投資をしているBitmainへ疑惑が募りました。

関係性はBitmainが否定し、様々な情報が錯綜する中、UAHFは起こらない可能性もあると言われていました。

しかし2017年8月1日午後22時半頃に、ビットコインが個人マイナーによりハードフォークされました。この結果ビットコインキャッシュが誕生したのです。

ビットコインキャッシュについて

まとめ

ビットコイン分裂問題は未だに解決を迎えてはいません。

Segwit2x(BIP91)が可決されはしましたが、2017年11月に予定されているブロック容量1MBを2MBへ拡張するハードフォークについて、反対意見も多いためです。

そのため、ビットコインに投資している方は11月まで情報を集め続ける事が重要です。

CoinPostでは海外のニュース等も翻訳して最新情報を届けていますので、是非チェックして下さい。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/23 火曜日
18:00
ライフカードVプリカ 仮想通貨で購入可能に
ライフカードが暗号資産(仮想通貨)決済サービス事業者Slash Fintechと提携。2024年5月15日から「Slash Vプリカ SHOP」でステーブルコイン等を使ったVプリカギフトの販売を開始する。インターネットショッピングやオンラインゲーム等、デジタルサービスでのプリペイド決済が拡大する見込み。
14:00
ベネズエラ、石油取引で仮想通貨使用を加速か
ベネズエラの国営石油会社PDVSAは原油と燃料の輸出において、暗号資産(仮想通貨)の利用を増やす計画だ。背景には米国による制裁再発動がある。
13:00
SEC弁護士2名が辞任、「重大な権力乱用」と非難受け 
米仮想通貨企業Debt Boxに対する訴訟において、連邦地裁が「重大な権力乱用」を理由に米国証券取引委員会に制裁を課したことを受け、同委員会の担当弁護士2名が辞任したことがわかった。
12:00
「スイス中銀はビットコインを準備資産に持つべき」2B4CHが提唱
スイスの仮想通貨擁護団体「2B4CH」は、スイス国立銀行がビットコインを準備金として持つことを提唱している。国民投票を目指す計画だ。
11:00
米大統領候補ケネディJr氏、ブロックチェーンによる国家予算監督を提唱
米大統領選候補のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は21日、米国の国家予算をブロックチェーンに記録して透明性を高めるという考えを披露した。
10:12
NY証券取引所、取引時間の延伸を検討か
仮想通貨と同様に株式等を24時間取引できるようにすることのメリットなどを、ニューヨーク証券取引所が市場参加者に調査していることがわかった。調査の概要が明らかになっている。
09:25
Xverseウォレット、ビットコインRunes機能対応
XverseはOKXのOrdinalsマーケットプレイスや、Magic EdenのビットコインNFT電子市場で利用可能だ。ライバルの仮想通貨ビットコイン専用ウォレット「UniSat」もRunesに対応済み。
08:00
FTX、ロックされたソラナを個人投資家参加のオークションに
FTXは4月上旬ロックされたSOLを清算するために、高割引として、2,500万~3,000万の仮想通貨SOLを約19億ドル相当で売却。これは、1トークン=64ドルの安値だったが、当時の価格は約175ドルだった。
07:15
スクエニ「シンビオジェネシス」、世界展開をアニモカJPが支援
スクエニのNFTコレクティブルアートプロジェクト「シンビオジェネシス」の世界展開を支援するとアニモカブランズジャパンが発表。400社超のWeb3企業に投資するアニモカブランズのネットワークも活用する。
06:45
Magic Eden、ビットコインのミームコイン規格Runesに対応
Runesはビットコインの4度目の半減期が発動した4月20日にローンチされたビットコインメインネット上で代替可能な新規ミームコインを発行するプロトコルで、既存のBRC20トークン規格の改善版に当たる。
05:55
コインベース、AI・ゲーミング仮想通貨銘柄新規上場
KARRATプロトコルは、仮想通貨KARRATによってサポートされた分散型ゲームインフラストラクチャレイヤーで、ゲーム、エンターテインメント、AI主導の体験進化を加速させることを目的としている。
04/22 月曜日
14:47
ビットコインの新規格「Runes」、半減期後の需要殺到でBTC取引手数料が急騰
半減期直後の仮想通貨ビットコインにおいて、新規格「Runes(ルーン)」の影響が大きな反響を呼んだ。Ordinals(オーディナル)」開発者であるCasey Rodarmor氏が生み出したものであり、そのメリットに焦点が当たっている。
14:16
米ブロック社支援のマイニング企業Gridless、ケニアで再生エネルギーの利用促進
仮想通貨マイニング企業Gridlessは、アフリカ各国で太陽光や地熱を利用してBTCマイニングを行っている。地域の電力網にも貢献する仕組みだ。
12:20
マウントゴックス弁済巡る思惑強まる、公式サイトで日本円などの支払いオプション提示か
破綻した仮想通貨取引所マウントゴックスは、債権者への仮想通貨弁済について詳細を記した表を更新した.。返還金の売り圧も懸念されているところだ。
12:08
ビットコイン半減期後に相場反発、マイナー収益や取引手数料高騰の背景は?
米株指数が下落する中、半減期後のビットコイン相場は自律反発後の方向感に欠ける展開に。一方で、Runes(ルーン)台頭の影響で取引手数料およびマイナー収益は記録的な数値を観測した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/24 11:30 ~ 13:30
その他 オンライン
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧