CoinPostで今最も読まれています

テクノロジーの変化がもたらすレギュレーション維新とは|THE NEW CONTEXT CONFERENCE

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

今年もTHE NEW CONTEXT CONFERENCEが開催
初回から数えて17回目となる今回のテーマは「テクノロジーの変化がもたらすレギュレーション維新」でした。
マネックスCEO松本氏による「金融業界における規制とイノベーション」
同氏は、仮想通貨市場において、適正な規制とともに飛躍的な成長を見せるであろうとの見解を示しました。
THE NEW CONTEXT CONFERENCEとは
株式会社デジタルガレージの共同創業者でMITメディアラボ所長を務める伊藤穣一氏をホストに2005年より続くカンファレンス。その時のHOTニュースをトピックにそれぞれの分野の第一線で活躍される研究者、起業家、有識者の方々登壇。

株式会社デジタルガレージの共同創業者でMITメディアラボ所長を務める伊藤穣一氏をホストに2005年より続くTHE NEW CONTEXT CONFERENCEが開催されました。

2011年以降は東京とサンフランシスコで年2回開催され、その時のテーマに応じてそれぞれの分野の第一線で活躍される研究者、起業家、有識者の方々を招き、プレゼンテーションやパネルディスカッションを通じて議論を深めています。

出典:CoinPost撮影
株式会社デジタルガレージ 共同創業者 MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏 によるオープニングセッション

初回から数えて17回目となる今回のテーマは「テクノロジーの変化がもたらすレギュレーション維新」です。

今年でちょうど明治維新170周年ということと掛け合わせ、技術革新がもたらす新たな時代への”維新”を打ち出しています。

直近では様々な場面においてAIの急速な技術革新からFacebookによる利用者データプライバシーの問題やフェイクニュースによるメディアの在り方に関する議論などが持ち上がる中、今回はまさにそれらのトピックにフォーカスしたカンファレンスとなりました。

加えてイベント後半ではFinTechをテーマとするセッションが用意されており実に幅広い分野のテクノロジーとイノベーションをカバーする内容となっていました。

議題は4種類に分割されており、以下の点について登壇者の方々による熱い議論が交わされました。

  1. 規制とイノベーション
  2. データとプライバシー
  3. メディアの中立性
  4. FinTechの未来

カンファレンス内容

規制とイノベーション」をテーマにスタートした今回のカンファレンスでは、国による新たなイノベーションに対する制度設計(イノベーションの社会実装に向けた新技術等実証、プロジェクト型サンドボックス制度)から医療や薬事規制と現場におけるイノベーションの関係性(レギュラトリーサイエンスの実効性)が語られました。

また、AIを実社会に応用する際の倫理的な思考と規制の在り方(規制手段の多様性と技術発展~人工知能を事例として~)、インターネット誕生とその後の変遷(インターネットの歴史に学ぶ、政策とルール)と大変濃い内容となりました。

データとプライバシー

午後には「データとプライバシー」をテーマとする「個人情報保護法の課題」と「データプライバシーと臨床治験の規制」についてそれぞれプレゼンテーションとパネルディスカッションが行われました。

出典:CoinPost撮影
イノベーションの社会実装に向けた新技術等実証(プロジェクト型サンドボックス)制度
中原裕彦氏 内閣官房 日本経済再生総合事務局 内閣参事官

メディアの中立性

「メディアの中立性」という分野においては読者や視聴者の心理的な側面からメディアの在り方を議論するトーク(メディアの「中立」から「信頼」へ ~フェイクニュース時代、20世紀型ジャーナリズムが”かなわない”理由~)が語られました。

そしてテクノロジーを活用しデジタル化社会におけるメディアの特徴を科学的アプローチから考えるプレゼンテーション(パブリックな議論の健全性をどう改善するか)及びパネルディスカッションを通じてメディアと報道の未来について様々な意見の提起がなされました。

出典:CoinPost撮影
「規制とイノベーション」 パネルディスカッション

どの登壇者の方々もその分野における権威や、研究の第一人者、最先端のビジネスを展開する方々であったため紹介される情報量は大変多く、実際ほぼすべてのプレゼンテーション、パネルディスカッションが予定講演時間を超過してしまうほどのコンテンツ量でした。

改めてこれらの研究者、起業家の方々がいかにイノベーションとテクノロジーの発展に情熱を注いでいるのか肌身で感じられた瞬間でした。

FinTechの未来

そして最後のテーマは「FinTechの未来」、会場の参加者数もこの回が最も多く、当日の一番の関心テーマであったように見受けられました。

プレゼンテーションの題目は以下の通りです。

  • AMK Microfinance Plc CEO ケア・ボラン氏による「カンボジアのFinTech振興政策」
  • 上海商業儲蓄銀行代表取締役副社長兼CIO ジョン・ユング氏による「FinTechと規制当局のコラボレーション」
  • マネックスグループ株式会社 取締役会長兼代表執行役社長CEO 松本 大氏による「金融業界における規制とイノベーション」
  • CEAI CEO ブラッドフォード・クロス氏による「Fintech業界における技術革新」

ケア・ボラン氏によるアジアの新興国市場におけるFinTechを活用したマイクロファイナンスと、その将来性についてのトークでは特に、今だ完全な金融インフラが整理されていない現状を逆手に取ったインターネットなどを介した少額融資などへのニーズを生かすことにより、市場全体にFinTechの技術を浸透させよう、という取り組みについて説明がありました。

イノベーションのみならず、人々の生活水準を大幅に改善できる可能性を秘めた施策である点は、アジア市場においても珍しく大変評価できるものであると考えられるそうです。

出典;CoinPost撮影
ケア・ボラン氏「カンボジアのFinTech振興政策」

金融業界における規制とイノベーション

またマネックスグループ株式会社 取締役会長兼代表執行役社長CEO 松本 大氏による「金融業界における規制とイノベーション」では、自身のトレーダーとしての経験を引き合いに、かつての80年代のデリバティブの誕生とその成長に即して変化を遂げた金融規制が、いかに金融におけるイノベーションに正のスパイラルをもたらし、イノベーションの促進に貢献したか、という点について述べられました。

現在の仮想通貨市場においてもこれと同様の現象が発生しており、市場規模やその背景にあるテクノロジーにおいても黎明期にあり、今後、適正な産業への規制とともに飛躍的な成長を見せるであろうとの見解を示されていました。

現在停止中のCoincheckや関連サービスなどへの言及は一切なく、あくまで技術的側面にそった内容のトークセッションでした。

出典:デジタルガレージ
マネックスグループ株式会社 取締役会長兼代表執行役社長CEO 松本 大氏「金融業界における規制とイノベーション」

まとめ

FinTechというトピック自体は形としては最終セッションのみでの登場でしたが、実際のところ、ブロックチェーン技術に関する言及は、「データとプライバシー」のパネルディスカッションにて個人データの保護への応用というケースや、新たなイノベーションの事例として「規制とイノベーション」のプレゼンテーション内でも提起されていました。

カンファレンス内で非常に多くのテーマと幅広い分野をカバーしている中にありながらも、ブロックチェーン技術そのものが最先端のイノベーションの中核の一つとして様々なテクノロジー業界から認知されているというその重要性を再確認できる場となりました。

現状の様々な技術的制約、法的規制を抱える中において、国と企業、及び研究機関が官民一体となって相互連携を取りながら技術の発展に寄与することがいかに今後のテクノロジーの拡大成長に大きな影響を与えるのか、また一般市場におけるこれらの新技術への関心や理解が滞りなく進むことの重要性を感じました。

また、適正かつ倫理的な報道や法規制の実現に向けた問題提起などを通じ、まさに現在の技術革新の最先端に触れ合うことのできた一日でした。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/25 木曜日
17:42
ワールドコイン、仮想通貨WLDのトークンセールを計画
Worldcoinが個人認証に基づくベーシックインカムプロジェクトの拡大へ、機関投資家限定で暗号資産(仮想通貨)WLDのプライベートセールを計画。市場価格に近い価格で提供し、転売禁止やロックアップ措置を導入する。
15:00
ビットコイン強気相場継続の根拠、アーサー・ヘイズ氏語る
仮想通貨取引所BitMEXの創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ氏は、世界各国で法定通貨の供給量が拡大し続ける中、ビットコインをはじめとする仮想通貨の強気相場は今後も継続するとの考えを示した。
13:20
2028年の半減期に向けてビットコイン価格など5つの予測=Bitwise
Bitwiseの最高投資責任者は次の半減期までにビットコインに起こる5つのことを予想。ビットコイン価格は約3,880万円以上になるとする予測も含まれる。
10:25
ビットコインの供給インフレ率、金を下回る=レポート
Glassnodeは4回目の半減期についてレポートを発表。ビットコインの供給インフレ率がゴールドよりも低くなり、希少性が増したと述べた。
08:15
zkSync基盤のWeb3ゲーム企業Tevaera、野村などから7.7億円調達
TevaeraはzkSync上でレイヤー3のゲームチェーンを立ち上げる予定で、年内に200万人のプレイヤーと12人のゲーム開発企業をTevaeraエコシステムに参加させようとしている。
07:00
ジャック・ドーシー率いるBlock、店舗売上をビットコインに変換へ
新たに導入する予定の機能は「Bitcoin Conversions」というもので、Cash Appのアカウントを持つSquareのユーザーは、店舗収益の最大10%を仮想通貨ビットコインで受け取ることができるようになる。
06:10
米司法省、バイナンス創業者CZ氏に懲役36ヶ月求刑
仮想通貨取引所バイナンスの元CEOのCZ氏は自分の「不適切な決断」を謝罪し、自分の行動の全責任を受け入れる内容の手紙を2月に提出した判事へ提出したことが明らかになった。
04/24 水曜日
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。
14:35
米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴
米ブロックチェーン協会とテキサス州暗号資産自由同盟は、米証券取引委員会が新たに制定したディーラー規則の阻止を求めて、SECを提訴した。
13:00
香港の現物ビットコインETF 4月30日にも発売かー報道
香港でボセラとハッシュキーキャピタルが提供するビットコインETFが取引を開始すると報じられた。2社の現物ビットコインETFは、価格安定性が高く、投資家に直接的な市場価格連動のメリットを提供する。
12:09
半値戻しのビットコイン、投資家心理改善で買い先行
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが66000ドル台まで反発し、50MA手前で一服した。イランとイスラエルを巡る中東リスク後退で米国株式市場でも買い戻しが先行しており、投資家心理が改善した。
12:00
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、70日連続流入を記録
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が70日連続で資金流入を記録した。運用資産は約2.8兆円に達している。
11:00
リップル社、SECによる20億ドルの罰金提案を過大と反論
リップル社は、XRPをめぐるSECとの裁判で新たな書類を提出。リップル社に対して約3,100億円の罰金支払いを求めるSECの主張に反論した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧