『国会議員から見た、仮想通貨を持つべき理由と将来性』藤巻健史議員インタビュー(後編)

仮想通貨の「税制改正」を訴える国会議員
仮想通貨の税制改正など、国会の場で問題提起されている参議院議員の藤巻健史先生に、CoinPostでインタビューを実施。後編では、金融市場と仮想通貨業界の将来性について見解を伺った。
藤巻健史議員プロフィール
参議院議員。日本維新の会政調会長代行。元モルガン銀行東京支店長。ジョージ・ソロス氏アドバイザーを歴任。

金融知識に精通し、仮想通貨市場を盛り上げるべく活動する国会議員。「仮想通貨の税制改正」について国会で問題提起するなど、仮想通貨及びブロックチェーン業界の発展に尽力している。

▶️Twitter:藤巻健史(@fujimaki_takesi)

藤巻議員インタビュー(後編)

大きな反響を呼んだ、インタビュー前編はこちら。

『なぜ、仮想通貨の税制を改正すべきなのか』藤巻健史議員インタビュー(前編)
仮想通貨の税制改正問題など、国会の場で問題提起されている参議院議員の藤巻健史先生に、CoinPostで独占インタビューを実施。ビットコインなど現在の仮想通貨業界に関する見解を伺った。

既存金融業界と仮想通貨を比較した時、特有のリスクは何でしょうか

金融機関というのは「信用」が一番大事だから、ガバナンス(統治)がものすごく効いてますよね。仮想通貨業界は、まだまだ未熟だったように思います。

私みたいに金融業界のフロントにいた人間は、あまりガバナンスがきついとフラストレーションが溜まるだけだったんですけど、やっぱり銀行っていうのは信用が勝負で、それがなければ一発でアウトですからね。

やはり、仮想通貨にも同じような部分はありますから、信用面は最低限きっちりとしないといけない。

今度、11月8日に新しい本を出版する予定です。内容はちょっと過激だと言われてますが(笑)

『日銀破綻』っていうタイトルで、「持つべきは、米ドルと仮想通貨」という副題です。

私は、仮想通貨を持つべき意味は二つあると考えていて、社会においてブロックチェーンが重要な役割を持つようになるだろうというのがまず一点。

特にパブリック型のブロックチェーンだと、どうしてもマイナーが必要だから仮想通貨が必要になるということと、通貨自身も将来発展するのではないかと思うので将来に賭けるという意味での仮想通貨。

もう一点は、日銀破綻が訪れた際の避難先としての仮想通貨で、二重の意味で推奨しています。

特に後半部分ですが、「日銀破綻」など不測の事態は、ある日突然訪れかねない。

明日にでもそれが発生したら、日本経済は大混乱に陥って大変なことになるでしょう。昭和21年に発生した預金封鎖も、当時の大蔵大臣が、唐突にラジオ発表して預金封鎖になっちゃったんです。

現代であれば、そのような緊急時に、みんなが逃げるのは仮想通貨だと思うんです。2013年に発生したユーロ圏の「キプロス危機」にしたって、中国だって一応資本統制なんかがあると、資金逃避先に逃げる訳ですよ。

いざという時に、慌てて新規の仮想通貨口座を開こうとしたって、口座を開くのに手続きや本人確認で時間が掛かるし、そもそもやり方自体が分からない。

だから、多少なりとも「実際に触れてみる」ということが重要だと思います。今のうちに少額でもいいから口座を開いて数回ほど試してみるべきなんじゃないかと。売る方は良くても、買う方は予めやっておかないと中々できないですから。

仮想通貨を始めた理由

私が仮想通貨を始めた理由も、まずは自分自身で体験してみないと理解できないと思ったから始めたわけで。自分でやるということが一番の勉強になる。

私は、過去に一橋大学で非常勤講師として13年間、早稲田大学の大学院で6年間教えてた経歴があるんですけど、そのとき学生に言ってたのは、金融の勉強したかったら「自分で実際にやってみる」ことだねと。

親の金だと悔しさがわからないから、自分で稼いだ金でやるのがいいんじゃないのって言う話はしてました。

例えば、私がもし法学部の先生で、相続について教えたってみんな「A(優)」を取るため、ほどほど(?)にしか勉強しないわけですよ。 

でも、突然親父さんが亡くなりそうだって状況に陥った場合、誰もが必死に勉強するでしょう。自分の身にならないと勉強しないから、仮想通貨も最初やって損して悔しい思いをして、本気で勉強するようになる。

ですから、今回の本でも、まずは小規模でもいいから仮想通貨に触れてみるべきだと推奨しています。 少なくとも口座ぐらい開設してみて、試しに少額でやってみたらというのを本に書いたんです。そうすれば、いざというときにきっと役に立つぞと。

撮影:中村晋

日銀デジタルと仮想通貨

私は将来、日銀デジタルと仮想通貨の併用になるのではないかと考えているんです。

一万円札とか五千円札をなくしちゃえと。本来は現金全部なくしたいんだけど。

現金を無くしたい理由としては、犯罪者のマネーロンダリング(資金洗浄)がなくなるとか、脱税リスクがなくなるとか色々あるんですけど。

私は「マイナス金利政策」について、20年前から素晴らしいと発言していたんです。今の日銀と違って、預金金利もマイナスにしろと提言しているんですけど。1990年代後半に言い出したときは「藤巻は気が違ったか」と言われてしまいましてね(笑)

最近は、ヨーロッパ中央銀行とか日銀が始めてるからバカにこそされなくなりましたが。ただし、今やってる「マイナス金利政策」は完全なものではなくて、思うように効果が出ないのは当たり前なんですけど。

その当時、一番ロジカルな反論は、実は日本銀行からきたんです。マイナス金利にしちゃうとタンス預金に逃げちゃうと。預金してると持っていかれる訳なので。だったら、「タンス預金できないようにすれば良い」というのが、私の日銀デジタル論なんです。

日銀デジタルっていうのは要するに、現金そのものがなくなって、民間の銀行ではなく、日銀に預金口座を持っちゃうわけなんです。だから日銀のシステムは大変なんですけど。それが「日銀デジタル」。

ある程度国内取引にはいいのかなと思うんだけど、例えば日銀デジタルをケニアなど海外の人が使うかといったら使わないわけですよ。だからやっぱり、国境を超えた国際間ビジネスっていうのは、仮想通貨じゃないと難しいのかなと。

仮想通貨を国内ビジネスに使ってもいいんだけど、国際ビジネスは仮想通貨じゃないと無理なわけです。

だったら国際間ビジネスはないんじゃないかと思われるかもしれないですけど、逆に仮想通貨が使われるようになると、国際間の取引がものすごく増えると思います。

仮想通貨で広がる世界がある

フィリピンなどの発展途上国なんかだと、銀行口座を持っていない人は簡単に買えないわけです。例えば、1,500円のバナナがあったとしても、銀行送金しようと思っても、銀行口座を持ってないんで無理じゃないですか。

でも、スマートフォンさえ持っていれば、ほぼ0に近い送金手数料で、銀行がなくてもできるわけで。送金料が安いから、1,500円のバナナを個人輸入などできるわけですよ。

さらに言うならば、インド人に「この部分をプログラムをやってね」とか、「CM作ってね」とかいうパターンも、インターネットと仮想通貨さえあれば、同時決済できるわけです。今後そういったビジネスが、世界的に広がると思うんですよね。世界経済にとっても良いことですし。

ケニアに寄付を送ろうとした時に、「通貨名はなんだろう」とか「どこにどうやって送れば良いのか」とか、そういう余計なことを考えずに、仮想通貨であればすぐに送金出来るわけじゃないですか。貧困国にとっても良いことだし、ビジネスもよりボーダレスになってくる。

撮影:中村晋

日銀デジタルについて、「二層構造」が変化することにより、どのような影響が考えられますか

銀行の収益は、明らかに減りますよね。民間金融機関は日銀から借りざるを得ないから。

今の銀行っていうのは、個人から安い当座預金とか普通預金を預かって貸し出し業務をやってたんですけど、日銀から借りるとなると、その分利益は減りますよね。

どう対策取るかは「宿題」の一つで、日銀デジタルに関しては、すぐには進まないような気がしてますけど、私が想定している日銀破綻があったらなくなるので。ただそのときは、ダイナミックに世界や社会が変わると思うので日銀デジタル化は進むと思います。

私は、ゆくゆくは日銀は潰れると考えているんですが…潰れるといっても中央銀行っていうのは社会にとって最重要なインフラだから、完全になくなりはしない。代わりに新しい中央銀行ができるわけですよ。

だからその時は、「第二日銀のデジタル通貨」ができるのかな、と考えています。

中央銀行が潰れるというと、みんな口を揃えて「そんなバカな・・・」って言うんですけど、ドイツでも終戦後に中央銀行の「ライヒスバンク(ドイツ帝国銀行)」が潰れて、「ブンデスバンク」という新しい中央銀行ができたという歴史がある。

ユーロ(欧州連合における経済通貨同盟で用いられている通貨)が誕生するまでは、「ドイツマルク」を発行して、それによって通貨の安定性と金融システムの安定性を再建したんです。

私は、日本もこれと同じようなプロセスを辿るのではないかと考えています。一度ものすごい大変な経験をすると、人間変わらざるを得ないですよね。

残念なことに、日本は外的ショックでもないと中々変わらないんですよ。私は今後、大きな外的なショックがあると考えているので、その時にいろんな意味で大きく変わることになるんじゃないでしょうか。

さいごに、仮想通貨及びブロックチェーンの将来性や市場規模について見解をお聞かせ下さい

ブロックチェーンは、現段階では技術的に未熟な部分もあるかもしれないけれども、次代のインターネット革命とも言われてるし、今後は政治的にもかなり使用されることになると思うんですよね。

例えば、法務局の代わりになるとか、不動産投資とか、ダイヤモンドのトレースとか、食品の安全性の問題とかで頻繁に使われるようになり得る。パブリック型には仮想通貨が必要だから、発展していくのだろうなと考えています。

本にも記載しましたが、デリバティブ商品の黎明期と同じようなもので、かつて私が在籍していた「JPモルガン」もそうだし、私も日本では最初期からデリバティブ業界に入っていた人間なんだけど、だから儲かったわけで。

マーケット予想が当たって、かつデリバティブという商品を知ってたから大儲けできたわけで、最初の頃はデリバティブって本当にキワモノだと思われて、ごく一部の人しか扱ってなかったんですよ。

投資家もそうだし、法律家も変わっているような人しか扱ってなかったんですけど、それが現在では、「なくてはならない金融商品」と言えるほどの成長を遂げている。

仮想通貨は、まさに当時のデリバティブ商品と同じで、現在は先入観に囚われてバカにしている人達もいますが、私は「仮想通貨はいずれブレイクするぞ」と直感的に感じています。理系のロジカルな人たちが最初に飛び付くという点にも将来性を感じるし、これは珍しいベンチャーだなと。

撮影:中村晋

仮想通貨の市場規模拡大について

仮想通貨の市場規模の話ですが、これが劇的に大きくなるとしたら、日銀破綻などの”Xデー”が訪れた瞬間ですね。

日銀破綻するのか、預金封鎖になるのか未来のことはハッキリとは分からないですけど、仮にそういう時期が差し迫った場合、危機感が一気に高まりますよね。今はみんな能天気だけど、私は危機感を覚えて警鐘を鳴らしている。

万が一、それらが具現化していった場合、みんなどうやって逃げるのかと。

例えば、米ドルを海外の銀行口座に持っていくというのは、一つの手段ではあるけど、簡単ではないんです。

私たちみたいに外資系にいて、金融の知識があって、ある程度英語が読めれば海外の口座を作るということもできますが、一般人には敷居が高い。

そんな時に最も手軽なのは、仮想通貨に逃げることだと思います。だからキプロスとか、キプロスをタックスヘイブン(租税回避地)に使ってたロシア人とか、まさにそう。

今のところSNSなんかで書いてないけども、米中貿易戦争の影響が深刻化してくると、中国の法定通貨である「人民元」が安くなってくると思うんですよ。

国民が資産を逃がそうと考えても、国が資本統制しているから、日本人が外貨の米ドルを買うように簡単にはいかない。そうなると、仮想通貨で海外送金するしか選択肢がないのではないかと。

今のところそういった現象がないんで、あまり声を大にしては言えないんですけど、もし米中貿易戦争がさらなる長期化で深刻化した場合、中国の方の規模が大きくなってくる可能性もあるかなと思います。

大手企業の参入で、市場の認識が変化する

若いうちは、短期トレードで経験を積むのもいいですが、年を取ってくると方向性を持った長期トレーディングになってくる傾向がありまして。そういうときは日本経済がどうなるかを考えて勝負をする。「ファンダメンタル」中心にで勝負をするわけです。

ただ、仮想通貨市場だけは何が「ファンダメンタル」なのか曖昧な部分がある。だからあまり短期トレードはできない。長期的なトレンドだと、ブロックチェーンの将来性や避難通貨としての地位確立などで上昇し得ると思うんですけど、トレーディングには適さない側面もあるかなと。

私も長年経済界にいたので、人脈のチャネルは多くて、(CoinPostで先日インタビューした)マネックスグループの松本大氏ともデリバティブの話を聞くなど昔から仲良いのですが、彼らや楽天さんなどの大手企業が参入して来るのは、「市場の認識が変わる」という意味で非常に良いことだと思いますね。

あとがき

日本の仮想通貨業界が世界に遅れを取らぬよう発展するためには、政府や規制当局が先陣を切って、仮想通貨(ブロックチェーン)への理解を深めることが不可欠に思われるが、他の議員の方々の仮想通貨に対する興味や反応は、決して芳しいものではないという。

既存の伝統金融にない”新しい資産クラス”への偏見や先入観も少なからずあると考えられ、健全な規制を確立する規制当局との折衝のためにも、仮想通貨及びブロックチェーン業界の将来について議論する「超党派の議員連盟」設立など、日本の将来のため、党や派閥を超えた仕組み作りが求められる。

そういった意味でも、仮想通貨の税制などに関して国会で問題提起するなど、藤巻議員の活動は、仮想通貨業界にとって非常に重要な意味を持っていると言えるだろう。

撮影:中村晋

議員会館の応接間には、藤巻議員の祖父が趣味で描いたという、立派な屏風絵が飾られていた。

藤巻健史議員プロフィール
参議院議員。日本維新の会政調会長代行。元モルガン銀行東京支店長。ジョージ・ソロス氏アドバイザーを歴任。

金融知識に精通し、仮想通貨市場を盛り上げるべく活動する国会議員。「仮想通貨の税制改正」について国会で問題提起するなど、仮想通貨及びブロックチェーン業界の発展に尽力している。

▶️Twitter:藤巻健史(@fujimaki_takesi)

最新書籍『日銀破綻』10月8日発売

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