CoinPostで今最も読まれています

安全なスマートコントラクト開発の手引きとなる「ソフトウェア開発ライフサイクル」とは|Hi-Con 2018注目内容取材

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Hi-Con 2018|テストツール「Mythril」とソフトウェア開発ライフサイクル
コインポストは11月10日に開催された国内最大の大規模イーサリアム技術者会議「Hi-Con」を取材。そこで行われた注目登壇内容を登壇を数回に分けてお届けする。今回はConsenSys Diligenceの共同創始者Tom Lindeman氏が「Mythril & Security development lifecycle (SDLC)」をテーマにしたスピーチの内容です。

テストツール「Mythril」とセキュリティ開発ライフサイクル

▼登壇者情報

Tom Lindeman

Business Strategist、ConsenSys Diligence

Tom Lindeman氏はConsenSys Diligenceの共同創始者であり、Enterprise Ethereum Alliance Security Working Groupの共同会長でもある。近年は、セキュリティ、開発ツール、分散型プロダクトなどに主眼を置いたイーサリアム・ブロックチェーンを大きく前進させるべく、活動を行なっている。

マイクロソフト社などでサイバーセキュリティに関する仕事についた経験を、ブロックチェーン業界に活用している。

大学卒業後に、長野県に住んでいたことがあり、日本語を少しだけ話せる。

Consensys Diligenceとは

イーサリアムのスマートコントラクト監査を行なっているコンセンシス内部のチーム。

Mythril(ミスリル)とPanvala(パンバラ)というツールを開発・活用して、イーサリアム・ブロックチェーンに基づくエコシステムを安全、かつ、健康的な環境であり続けられるような取り組みを展開している。

Mythrilは、スマートコントラクトやDappsのコードが安全に組まれているか、想定通りの動きをするかをテストするためのツール。

Panvalaは、Mythrilやバグバウンティなどのコード監査が終わったスマートコントラクトとDappに対して、このシステムは安全です、と認証するためのアプリケーション。

(彼の言葉を借りれば)いわばレストランにミシュランの星をつけるような役割を担っているツールだ。

なぜコードの監査が重要なのか

コードに脆弱性が含まれたままだったり、動作が不安定なコードのままメインネットにリリースすると、そのDappがダウンするのは当然ながら、ネットワーク全体に悪影響が及んでしまう。

とはいえ、ウォーターフォール型の開発のように、一から十まできっちり設計して、その通りに進めるのも、変化の激しい現在の状況を考えると割りに合わない。

そのため、アジャイル的な作って、リリースして、改善点が見つかるたびに改善して、という開発手法に注目が集まった。

ただし、イーサリアム・ブロックチェーンについては、一度メインネットにデプロイしてしまうと、そう簡単に改善することができなくなるだけでなく、ネットワーク全体に悪影響を与えてしまいかねない。

そのため、問題を事前に見つけ、早い段階で改善することが非常に重要。

そこで、匂いを嗅いで食べ物が傷んでないのか確認するのと同様に、イーサリアムのスマートコントラクトやDappsのコードを監査することは重要なのだ。

SDLC:Software Development Life Cycle(ソフトウェア開発ライフサイクル)

この開発サイクルはConsenSys Dilligenceが提案、実行しているものだ。

これに沿って開発を進めることで、問題、あるいは問題になりうる箇所を事前に発見、早期対処できると説明している。

その開発サイクルは以下の通りとなっている。

  1. Design+Simulate
  2. Develop
  3. Test
  4. Deploy
  5. Audit
  6. Monitor
  7. Signal

それぞれ、簡単に紹介する。

Design + Simulate

実際にコーディングを始める前に、どのようなDappを作るのか、それのベストプラクティスを設計したり、開発ガイドラインを用意する段階。

Develop

実際にコードを叩く段階。開発ツールのTruffleなどを活用する。

一通り開発が済んだら、そのたびにこまめにテストを実施する。

Test

ここでMythrilが使われる。Mythrilを使うことで、コードのどこにミスや抜けがあるのかをいち早く検知、対処することができるようになる。

Deploy

一通りテストが終わったら、テストネット(テスト環境)などにDappsを展開する。

そこで実際の動きを確認し、改善点を洗い出していく。

大抵のDappsでは、この段階でバグバウンティ(賞金付きのバグ発見イベント)が実施される。

Audit

人の手と機械を使って、コードの監査を実施する。ここでは焦りは禁物で、問題をひとつひとつ確実に見つけ、潰していくことが重要になる。

Monitor

AlethioやMythrilを使い、実際に稼働しているスマートコントラクトが、もともとの想定通りに動いているか、アタックを受けていることを事前に感知できているか、などをチェックする。

Signal

Panvalaを使うことで、監査がモニタや監査が終わったことを開発コミュニティに知らせる役目を担う。

Panvalaを利用しているユーザーたちからの最終チェックが行われ、ここで問題なしと判断されると、Panvalaマークが贈呈される。

これはいわば「このスマートコントラクト/Dappsは安全」という証拠になる。

いわば、ミシュランの星のような存在になるマークだ。

先日、11月1日にMythrilトークン(MYTH)がテストネット(Ropsten)にデプロイされた。

メインネットには、来年1月15日にデプロイされる予定で、スケジュール通りに開発が進めば、来年3月1日にMythrilが広く使われるようになるだろう。

まとめ

ConsenSys Diligence は、イーサリアム・ネットワークが安全かつ健康的に使えるようにするのが役目。

スマートコントラクトの監査を通じて、ネットワークに貢献している。

今後、イーサリアム・ネットワークが拡大するにつれて、スマートコントラクトやDappsの安全性は非常に重要なテーマになるだろう。

なぜなら、粗悪なスマートコントラクトは、ネットワーク全体に悪影響を与えてしまうからだ。

現状ですら、ひとつの障害で大きな影響がでる。

本格的にイーサリアム・ブロックチェーン技術とスマートコントラクトが生活や仕事の一部となったら、なおさらだ。

今後の彼らの動き、開発進捗は常に注目していきたい。

イーサリアム企業連合、企業利用を促進する2つの新仕様を発表 Devcon4イベント
イーサリアムブロックチェーンの企業利用を促進するEnterprise Ethereum Allianceは、10月30日からチェコ共和国にて年次イベントDevcon4を開催し、”Client Specification V2”および”Off-Chain Trusted Compute Specification V0.5”と呼ばれる新仕様を発表した。
仮想通貨イーサリアム開発者の試行錯誤と新たなる希望
イーサリアムの拡張構想『Plasma』などスケーリング手法が発案され、実証実験が行われているが、取り組むべき新しい研究課題が浮き彫りになもなっている。本記事では、現在イーサリアム開発者の目が向いている新たな価値を生み出す動きに注目する。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/24 水曜日
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。
14:35
米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴
米ブロックチェーン協会とテキサス州暗号資産自由同盟は、米証券取引委員会が新たに制定したディーラー規則の阻止を求めて、SECを提訴した。
13:00
香港の現物ビットコインETF 4月30日にも発売かー報道
香港でボセラとハッシュキーキャピタルが提供するビットコインETFが取引を開始すると報じられた。2社の現物ビットコインETFは、価格安定性が高く、投資家に直接的な市場価格連動のメリットを提供する。
12:09
半値戻しのビットコイン、投資家心理改善で買い先行
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが66000ドル台まで反発し、50MA手前で一服した。イランとイスラエルを巡る中東リスク後退で米国株式市場でも買い戻しが先行しており、投資家心理が改善した。
12:00
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、70日連続流入を記録
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が70日連続で資金流入を記録した。運用資産は約2.8兆円に達している。
11:00
リップル社、SECによる20億ドルの罰金提案を過大と反論
リップル社は、XRPをめぐるSECとの裁判で新たな書類を提出。リップル社に対して約3,100億円の罰金支払いを求めるSECの主張に反論した。
09:40
「BTC価格上昇は半減期から50〜100日後」QCP Capital
仮想通貨ビットコインの今後の価格が急上昇するのは半減期から50〜100日後であるとQCP Capitalが分析。また、Bitfinexも半減期後の相場レポートを公開した。
08:45
ソラナJupiter、DEXモバイルアプリ5月公開予定
既存のUltimateウォレットは5月22日から利用できなくなるため、その前に仮想通貨の一時的移転(PhantomやMagic Edenウォレット)を推奨した。
08:10
米国のイーサリアムETF上場申請、5月承認は見込み薄か
申請中の仮想通貨イーサリアム現物ETFの多くは5月に最終判断を迎える予定だが、多くのアナリストは承認の確率が低いと予測。背景には、イーサリアム財団への任意捜査で米SECがETHを有価証券に分類しようとしている点や、ビットコイン現物ETFが承認されてからまだそれほど時間が経っていない状況などがある。
07:10
ビットコインの機能を拡充する新提案が公開
仮想通貨ビットコインのブロックチェーン上でスマートコントラクトなどを実現する開発提案がBIP-420として公開。以前から関心を集めている提案の内容が改めて説明された。
06:35
バイナンスアプリの削除、フィリピン当局がアップルとグーグルに命令
フィリピンはバイナンスの顧客基盤における重要な構成国だが、同SECは2023年11月以降、バイナンスを投資に利用しないよう国民に積極的に警告していた。
05:50
エルサルバドルの国営ビットコインウォレット、ハッカーがコードを流出
今回の漏洩は、4月上旬に報告された510万人のサルバドル人の個人情報リークを含む、一連のChivoウォレット関連のハッキングに続くものだ。
04/23 火曜日
19:00
メゾンマルジェラ MetaTABI NFT発売
メゾンマルジェラがMetaTABI NFTを一般販売開始。デジタル専用設計のタビシューズはThe Fabricantとのコラボで、限定版タビブーツとレザーウォレットが付属。今後のWeb3ブランドイベントにも参加可能。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/24 11:30 ~ 13:30
その他 オンライン
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧