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SBI北尾社長インタビュー『仮想通貨(ビットコイン)市場の将来性とリップルの展望』

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

SBI北尾社長インタビュー
国内最大手のネット証券「SBI証券」や、ベンチャー投資事業などを運営する金融コングロマリットのSBIグループは、仮想通貨取引所「SBIバーチャル・カレンシーズ」など、仮想通貨事業にも注力している。同グループの北尾吉孝CEOに、仮想通貨メディアCoinPostでインタビューを実施。仮想通貨リップル(XRP)の展望などを伺った。

SBI北尾社長インタビュー

目次
  1. 市場規模拡大のために必要なもの
  2. 仮想通貨のファンダメンタル・バリュー
  3. Sコイン構想の本命は「大阪万博」
  4. マイニング事業とビットコインキャッシュ
  5. 金融機関向けの市場の重要性
  6. SECの有価証券判断について
  7. SBIとR3社とRipple社、3社の展望
  8. マネータップでXRPを使えるように

以前、決算説明会で「市場規模拡大のためには、実需を作ることが大切」とおっしゃられてました

今後の市場規模がどうなるかはともかくとして、デジタルアセットの時価総額は、2018年1月頃のピークと比べると80%ぐらい下がっていて、これで終わりだという人も中にはいる。

しかし、僕は全くそう思っていません。その一つの理由として、我々が力を入れている「XRP」がある。

Ripple社の仮想通貨を含めて、DLT(分散台帳技術)のテクノロジーを使用して、国際送金に利用するプラクティカル・ユース(実用性)がどんどんと広まってきており、すでに海外大手の「サンタンデール銀行」など、何行かの銀行は実際に動き始めています。

資金移動業者の大手も導入し始めていて、XRPを使用する「xRapid」の利用がますます広まり、リップルネットに参加する企業数は大幅に増えていっている。

したがって、そういった意味では、国際送金分野でRipple社の技術を中心として、次第に「XRP」も使った形で利用されるようになっていくのではないかと。仮想通貨は”実需”がないと厳しいものがありますが、今後はしっかりとした”実需”が生まれてくると考えています。

撮影:中村晋

仮想通貨のファンダメンタル・バリュー

僕の本でも書いたように、仮想通貨について「ファンダメンタル・バリュー(企業の実体的かつ基礎的な価値)」という意味では、ゼロです。

ファンダメンタル・バリューがゼロだから、ピークから8割も下がる。こうしたことは、株式市場などでは滅多にない。昔から米(コメ)相場の法則で、どんなに下落しても「半値八掛け二割引」で大体止まると言われているのが、仮想通貨に関しては止まらずに下落し続けた。それは結局、ファンダメンタル・バリューがないからなんです。

ビットコインというのは、基本的にバリューはない。ビットコインがどんどん実用で使われるようになるということは、あの値段になってくると簡単ではないでしょうね。だから仮想通貨の中では「XRP」が、おそらくナンバーワンの暗号資産になってくるのではないかなと思っています。

我々は、それを目指して動き始めている。

そして、それをさらに確実な流れにするためにどうすれば良いのかということで、取り組みの1つとして、世界にある300ぐらいの金融機関や、セントラルバンクが入っている米国R3のコンソーシアムに参加しているし、運営主体であるR3にも、我々は外部最大株主として入っている。

昨年まで、Ripple社とR3社が訴訟で争っていたんですが、外部株主として和解するように説得し、協力し合うような態勢を築くことを目指してやってきた。

R3社のCorda

R3社は、「コルダ(Corda)」というDLT(分散型台帳技術)プラットフォームを持っている。

このシステムの特徴的なのは、イーサリアム(ETH)と同じようにスマートコントラクトの機能を持っているという点が挙げられます。この両社が和解し、R3社もRipple社の「XRP」を使うという形にさせたいというのが、僕がここ一年半ぐらい言ってきたことです。

R3から招待されてスピーチをおこなった際も、「一緒にジョイントベンチャー(合弁会社)を作ろう」ということを働きかけてきたけれども。この1月に、契約手続き(サイニング)が終わっている。

今後はまず、コルダのシステム、「コルダ・セトラー」(コルダを活用したグローバル決済アプリ)の中で、XRPを使って決済をしていくようなメカニズムを作り上げたいと考えています。

Sコインの本命は、大阪万博

それから我々は、デジタル通貨等の発行プラットフォームである「Sコインプラットフォーム」について取り組んでいますが、この基盤の活用を広げていきたい。

「Sコインプラットフォーム」自体は、お台場(東京、UC台場コイン)やニセコ(北海道、NISEKO Pay)のプロジェクトなどで利用されてきたけど、本命は、大阪万博(2025年国際博覧会)にある。ここでの決済プラットフォームとして採用されるように持っていきたい。そのために、コルダ・セトラーを基盤に組み込んでいく。

仮想通貨は、こうしたプラクティカル・ユースというものがあって、価格も上昇していくだろうと思います。

撮影:中村晋

マイニング事業とビットコインキャッシュ

一方で、我々はビットコインキャッシュ(BCH)にも注力してきましたが、内紛によってハードフォークせざるを得ない状況に陥ったことで、ビットコインSVとABCでハッシュ戦争のような状況に陥った。

最終的にABC陣営が、ビットコインキャッシュを引き継いだ形になっているわけだけれども、このようなことが次々と起きれば、仮想通貨投資家は嫌気が差してしまうでしょう。

技術的な理由でハードフォークをした方が良いというのであれば、まだ理解を得ることも出来ると思いますが、今回のように、一方はSVを推して、もう一方はABC側につくと、このように陣営が(内部分裂のように)別れて、利害の対立の中で投資家が離散していくのは馬鹿げたことで、こういったことはやめなければならないと思います。

そういった形で、ビットコインキャッシュは少し後退してしまった。

ビジネスチャンス

しかし今、ある意味、僕はそういったXRP以外の物にも、ある種の”ビジネスチャンス”が到来したと考えています。その一つが現在の市況です。

ビットコイン価格の下落に伴い、マイニング事業者の収益性がガタガタになっている状況にあり、チップや機器を作っているところも同様に厳しく、撤退したり、倒産したりしている。日本の企業だけが話題になっているようだけれども、世界中で同様のことが起きているんです。

仮想通貨市場がなくならないと信じる人は、今から本格的に出てくるはずなんですね。みなさんが力を入れている時、うちは(戦略的に)力を抜いていた。だから、我々はほとんど損失はなかった。

金融庁が一つの「自主規制ルール」をきっちり作るまで、我々は慌てません。

マイニングを行なっているところや、デバイスを作っているところも退場していくところは退場していく。そのように”自然淘汰”が図られているのが、現在の状況です。

そうした中で、XRPのような仮想通貨のプラクティカル・ユースをどんどん広げていこうという努力を進める。また、もう片方で、機関投資家に仮想通貨を組み込んだ投資手段というものを提供していくと。

金融機関向けの市場の重要性

アメリカでは、2つの機関投資家向けの先物市場が、すでにできているわけです。

スワップ市場、先物市場、デリバティブ市場・・・、そういったものが完備されてくると、機関投資家がそこに参入してくる可能性も非常に高まってくる。

例えば、日本でも様々な「仮想通貨を組み込んだファンド」というものが出てくるでしょう。金融庁が法整備に取り組んでいますから、そういったものが出されれば、我々はいの一番に出ていくつもりです。

2018年は、コインチェックハッキング事件のようなものが、日本だけではなく、世界中で目立っていた。新トークンの発行についても、ICOで詐欺まがいのことを行う者がどんどん増えていった。

いろんなところで、(仮想通貨関連事業に関して)儲かりそうだという認識が広まる中で、僕から言わせれば、「道徳観念」が希薄な人たちが金儲けのためだけに参入してくる。

結果として色々な事件が起き、やがて自然淘汰されてゆく。そして法整備のプロセスが始まり、ビットコイン価格などがピークから約8割減少する中で、規制がどんどん進んでいき、結果として健全なマーケットに近づいていく。それが今の状況です。

健全な人たちが近づけば、プラクティカル・ユースは広まるし、機関投資家がどんどんとこのマーケットに参入してくるのではないのかなと思います。ですので、仮想通貨市場は、決してなくなりはしないと思います。

撮影:中村晋

国内外の機関投資家と接する機会も多いかと思いますが、直近の「温度感」はどうでしょうか

機関投資家の温度感は、ものすごく高いと思いますね。

特にここ最近の傾向として、規制など仮想通貨業界における整備が進んでいる。

例えば、仮想通貨向けの”クリアリング”も出来ているわけだし、各マーケットの情報を迅速にリアルタイムで伝達するようなサービスも増えてきたし、各国で規制すべきことは、規制している。

また、世界各国で共通の規制があるべきであって、マネーロンダリングとかKYC(顧客確認)だとか、それぞれの国で法整備を行うことで、新しいものに対してきっちりとした指針を提供をする必要があるんです。

マネーロンダリングの問題については、世界各国が協力していかなければいけない問題だから、G20などの世界的な会議でも話し合われることになると思っています。整備が世界的に進んでいくと。

機をうかがう機関投資家

そうなってくると、機関投資家は、”今か今かと手ぐすね引いて待っている”ということになるでしょうね。我々も、SBIグループでの新しいファンドについても、すでにスキームは出来上がっていて、あとは「金融庁による最終的な法整備」を待ってるという段階です。

制度づくりというのは、大体後手後手になるものなんです。

たとえば、ソーシャルレンディング業界を例にしても、新しい会社が不祥事を起こしたりいろいろなことがあるけれども、大きな問題が起きると後付けで法整備されて、そうしたものを除外した形で、次第に健全な市場へと向かっていく。

ソーシャルレンディングやクラウドファンディングという仕組み自体は、非常に有意義なものです。ただし、「儲けられる」というだけで、乗り出してくる輩が非常に多いのは問題です。

事業をやるというのは、”正しい倫理観”をもってやらないと。それは結果として、自分の首を締めることになりますよと。

Ripple社との提携やXRPに関する今後の展望についてお聞かせいただけますか

XRPというか、Ripple社というのは基本的に、金融機関にフレンドリーなものを作っていこうということでやってきた。

例えば、お金の代替としてビットコインが全部使われて、送金は金融機関を通さずに出来るというのは、金融機関に敵対するやり方であって、これでは金融機関はどこも受け入れないし、我々も受け入れることが出来ない。

そういう意味では、完全に分散化された状況ではないですが、例えば、既存の「SWIFT」を通じた国際送金などを比べると、明らかに時間も早く、経費も安く、そういう意味では、コルレスバンク(海外送金にあたり、その通貨の中継地点となる銀行)にお金を置いておく必要もないということで、コストが大幅に下がる。

このRipple社のソリューションは、金融機関にとってもプラスだし、顧客にとってもプラスの話ですから、これはどんどん進めていくべきだというのが現在の国際送金です。さらにXRPも使えば、もっと効率良くなるから、これを使いましょうと。

SECの有価証券判断について

仮想通貨XRPが、より決定的に広く使われるようになるためには、SEC(米証券取引委員会)による「証券かコインかの判定」が出なければならないと思うんです。

現状だと、これがずっと先延ばしになっています。おそらくあと数年は先延ばし状況になるのでは。

これは、判断結果が与える影響があまりに甚大なのと、極めて難しい法審議が必要だからに他ならない。Ripple社側もそこらへんの事情に明るい人材を雇っている訳だし、SECが結論を出すのは容易ではないんです。

先延ばしされると、どのような結果になるのかというと、その間にも、どんどんとプラクティカル・ユースが浸透していくということです。

おそらく銀行より先に、資金移動業者のほとんどが、Ripple社のDLTシステム(xCurrent)を使うようになり、その後「xRapid」が使われるようになっていく。すなわちXRPが使われるようになっていくということです。

例えば、審議が出るまでに数年要するとすれば、数年の間に実運用事例が飛躍的に進むと・・・そうなれば、「コインとか、証券だとかの議論」をすること自体がナンセンスになるでしょう。

日米の法解釈の違いと対応

先ほどのはアメリカの例ですが、日本の法律上は、すでにコインとしてXRPが位置付けられています。だからコインなんです、日本では。米国での議論とは関係無しに、まず日本のマーケットでやることをやっていればいいんです。

アメリカでの判定は、日本でも多少の影響はあるかもしれないけど、結論がそんなに早く出ることはないと僕は確信しています。その間に、プラクティカル・ユースはどんどん進んでいくと思いますね。

そして、プラクティカル・ユースか進むとすれば、XRPの価値はさらに高まっていくのではないか。

僕は、まだXRPの時価総額がほんの小さなときから、これはグローバル・スタンダードになると直感した。今現在の時価総額は、全通貨の中で二、三番手になっているわけです。

そういう意味では、過去に行った僕の”予言”はある程度当たっている。マーケット全体として下がったことは事実ですが、書籍の中でも「これから、仮想通貨の大躍進は起こります」と、この先の将来も”予言”している。徐々にそういう方向になっていくだろうと確信しています。

撮影:中村晋

具体的に、R3社とRipple社とSBI、3社の今後の展望とは

僕はまず、Ripple社について、「SBI Ripple Asia」を事務局とする銀行主体のコンソーシアムを2016年8月に作りました。

そこでの活動は、次世代の送金アプリ「マネータップ」という成果につながっています。今後はこのマネータップ事業を強力に進めるため、コンソーシアムの形態を新会社へと移行します。今度はこの「マネータップ」を日本の多くの銀行に拡散しようとしています。

Jコインだ、Mコインだ、というように、各メガ銀行がナワバリのようにして、それを押し付けいくのではなく、我々の発想というのはそういうものではない。まずは、少額送金については「ゼロ」手数料だと。

A銀行からB銀行へわずかなお金出すのに、手数料の方がよっぽど高いとか、ばかばかしいと思わないですか?そういうところからまず手を付けましょうと。

それを進めるためには、SBIとIBMとSoftBankと凸版印刷が入ったジョイントベンチャーで、「SBI FinTech Incubation」という会社がありますが、この会社で、我々がいろんな投資先のベンチャー企業が持っているテクノロジーに関して、一つのAPI基盤を通じて、各銀行で使えるようにしていく。

各銀行、地方銀行は、このAPI基盤の1つの機能としてマネータップが使えるようになる。これを入れれば、AI、ブロックチェーン、ビッグデータ等の技術を活用した”フィンテック1.5”の様々なテクノロジーがパッと使えるようになるわけですから、これをまず大々的に推し進めていくのが一つの方法です。

また様々な理由で、このAPI基盤を使えない銀行はマネータップを単独に使用すれば良いのです。我々は出来るだけ安価に提供するつもりです。

マネータップは、Rippleの分散台帳技術である「xCurrent」を利用したオープンな決済ネットワークであり、例えばCAFIS(主にクレジットカードを中心とした共同利用型のオンラインシステム)のような高い維持コストと手数料は不要となります。

また、非常に低コストな決済ネットワークを24時間365日提供できることで、これまでの現金のやりとりは大幅に削減され、ATMも今のような数は必要なくなるわけですから、マネータップを推進することはコスト削減で銀行にも大きなメリットがある。

銀行業界で手数料が高いものに関しては、それを出来るだけ技術革新により安くして、便益を消費者、利用者に還元しなければならず、それを早急にしたところが、どんどんとシェアを奪ってくのは必然ですよね。僕はそういう風にしたいと考えています。

マネータップでXRPを使えるように

ゆくゆくは、マネータップ上で「XRP」を活用した外為送金機能の実装を検討しています。

R3とはコルダのシステムで、コルダ・セトラーでXRPを使って決済をする。それから、R3社の貿易金融をはじめ、様々な取り組みを進める。この貿易金融ってものすごい、タイムコンシューミング(時間がかかるもの)で、いろんな保険業社や輸入業社や業者とか、いろいろなところが絡んでやっているため、ものすごい日数がかかる。

これをコルダのシステムを作ると、いっぺんに短時間で解決しちゃう。

こういう”顧客便益性”が高いものをどんどん導入して、その中でコルダの決済システムも使って、そうした仕組みを大阪万博に持っていきたい。本当は、東京オリンピックまでで行こうかと思っていたけれども、ちょっと間に合わないかなと思ってね。

いずれにしても、せっかくの万博という大きな機会であるわけだから。おそらく前の万博は6500万人ほどの客が来た。今度は、中国からもインドからも東南アジアからも、中間所得層が大幅に拡大したわけですから、2〜3億人来るかもしれませんよ。

その人たちが、こうした便益性を享受できるようにする。日本以外の国は韓国を筆頭にキャッシュレスになっていっているわけですが、世界中の人に日本が最も進んでいるじゃないかと思わせるようなものを作り上げたい。そのためにも、グローバルじゃないといけない。

僕がいつも考えるときはグローバル・スタンダードで、海外の人が使えるようなものを作り上げたい。それは例えば、Ripple社やR3社のサービスが挙げられる。

もうすでに、世界の代表的な2〜3百社を超える金融機関がメンバーに加盟しているわけです。そういうものを上手く利用して、グローバル・スタンダードを作り上げ、そして、我々は大阪万博で世界を驚かせたいと、そう思っているわけです。

撮影:中村晋

以前の決算資料に、BCHの保有構造について「安定株主のような存在が必要」だと記載がありました

僕の主張は、安定株主というよりも、まずマイニングして、マイニングシェアのほとんどが中国勢に保有されているという偏在がだめだということです。

だから、うちが三割ぐらいシェアを取るんだという風に申し上げました。この戦略も大体描けていて、あとは僕の決断を残すのみです。

これを決断するとすれば、ある程度まとまった資金が必要となる。それをどうするかと。投資にはいろんな優先順位がありますから、その辺を色々考えながら、最終的な判断をすることになる。

ただ、僕はいつも物事をやるとき、圧倒的に盛り上がっている時に、後追いみたいな形では絶対にやらないんです。むしろ市場が沈静化して、みんなが諦めてヘトヘトになって、潰れるところは潰れて、自然淘汰が十分に起こったな・・・と思われる時こそ打って出るチャンスです。

自分が確信を持てることが大事で、すなわち「仮想通貨はなくなるの、なくならないの?」となった時に「なくならない」と、「どういう仮想通貨が生き残るの?」となった時に「これだ」と、そういうものに対して確信を持てたら、そのタイミングで出ていくのが僕流のやり方なんです。

直感と閃き

僕はもう68歳ですが、40年以上も毎日毎日、「株式市場、債券市場、金利の動き、為替の市場」など世界中のマーケットを見続けてきた。1974年に野村證券に入った時から、4時間半の睡眠時間でずっとです。ここで培ってきた”直感力や相場観”では、なかなか僕に勝てる人はいないと思いますよ。その辺のど素人が入ってきたところでダメ。

この直感力というのは、たとえばパリバショック(2007年のサブプライムローン問題)が起こる際、「何かがおかしい、退いた方が良い」と感じ、この時はすぐに韓国の保有資産の例えば「eトレードコリア」をLGグループに売却、SBI・eトレード証券で一部上場で公開していたのを買い戻し(バイバック)したんです。最大のキャッシュカウは手元においておかないと、何が起きるかわからないと・・・。

そしてしばらく経つと、リーマン・ショック(2008年)でしょ。1,000億円以上のキャッシュを持ったSBI証券が、キャッシュにずっとジェネレートしてくるところを100%子会社にしておいたから、生き残ることができたんです。

こうしたことを、僕の感覚が直感的に判断するんですね。「いつ、何をやるべきか」を。これは、今までの経験の集積と、膨大な読書と知見が活きている。

この結果として、ある種の”直感力”を得たということであって、同じことをやれる人がいれば、僕以上になるかもしれないと思うけれども、なかなか68歳という年齢でグループ全体の陣頭指揮をとり、何事も手帳一つ見ずに、ありとあらゆることが頭の中に入っている経営者は、日本中でも世界中でもほとんどいないと思いますよ。

だから、世界中の事業者が僕のところに訪れるわけです。

これは自慢話ではなくて、そういう風に努力をしないと駄目なんですよということです。「儲かるから入る」という程度の浅い考えでは必ず失敗するんです。正しい倫理的価値観を持って、緻密に考え、鍛え抜いた感覚で勝負していかないといけません。仮想通貨市場は、特に若い人が多いですから。

ですので、我々の(SBIバーチャル・カレンシーズの)VCTRADEでは4通貨しか取り扱っていないです。その中でも、最初に取り扱いを開始したのは「XRP」だった。きちっと自分が自信を持てるものだけをやっていく。このスタンスは変わらないんです。プラクティカル・ユースの拡大が一番大切だと。

もちろん、他に取り組むとすれば、BTC、BCH、ETHぐらいはやりますけれども。一方で、機関投資家向けのマーケットを作っていく。その中で、こういうものが実用の世界で使われるようにしていくということです。

日本の法整備が整えば、SBI証券で例えば4分の1仮想通貨が入って、4分の3は他の債券や株などが入ったものを入れて販売するつもりです。うちの販売力(顧客基盤)ですから、たくさん売れるのではないかと思います。これも実現すれば、マーケットにインパクトを与えることになるでしょう。

SBIホールディングス 北尾吉孝CEO(@yoshitaka_kitao) 撮影:中村晋

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