CoinPostで今最も読まれています

リップル社CEOが、JPモルガンの「独自仮想通貨」を疑問視する理由とは|米ブロックチェーンカンファレンス

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

リップル社CEOがJPMコインに言及
米ワシントンで開催中の『DC Blockchain Summit』にて、米リップル社のCEOがJPモルガンの独自仮想通貨「JPMコイン」に関する見解を述べ、再び疑問を呈した。

リップル社CEO、JPMコインに再び言及

米ワシントンDCで開催中の重要カンファレンス『DC Blockchain Summit』が開催され、国会議員や規制当局関係者が、ブロクッチェーン業界に関する規制問題やフィンテック業界の将来性などについて意見交換した。

DCブロックサミット」は、デジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce)が4年前より主催する、規制当局、金融業界、ブロックチェーン界にも注目される年次の業界イベントである。

デジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce)は2014年に設立された首都ワシントンD.C.を本部とする仮想通貨・ブロックチェーン・デジタル資産などを促進するロビー斡旋団体であり、2015年にはJPモルガンの元幹部Blythe Masters氏がアドバイザー・ボードに任命され、以降活発的にロビー活動を行っている。

当イベントで、リップル社のCEOを務めるBrad Garlinghouse氏がスピーカーとして登壇し、ナスダック所属のグローバルレポーターMalandrino氏との対談で、米最大手銀「JPモルガン」が発行予定の仮想通貨ステーブルコイン『JPMコイン』に関して、自身の見解を再び明示した。

まず、Garlinghouse氏は、JPモルガンのような大手金融機関が独自の仮想通貨発行を計画していることがポジティブな動きで、「仮にJPMコインがJPモルガンの仮想通貨業界に参入させた要因であれば、私はJPモルガンの判断に賛成の意を表する」と述べた。

そして、Garlinghouse氏は、先週米最大手銀行モルガン・スタンレーの取材に応じ、JPMコインの話題について語ったが、モルガン・スタンレー側は「JPモルガンnの”JPMコイン”を利用する可能性は今の所低い、CitiバンクやBBVAもおそらく使わないだろう」としている。

JPMコインは、JPモルガンのネットワーク内で利用される「プライベートチェーン」上で作られるステーブルコインのため、互換性の欠如やオープンでないことで、ブロックチェーン業界の有識者たちは、その有用性と意義を疑問視している。

Garlinghouse氏も、1ドル=1JPMコインで、プライベートチェーンでしか動かせない仕組みであれば、「そもそも、1ドルのまま使えばいいのでは」と指摘した。

一方で、JPモルガンは先週、「JPMorgan Chase 2019 Investor Day」にて、「JPMコイン」の事業プランを公表し、即時決済、米ドル以外の法定通貨のペグ、そして「銀行の営業時間外でも、365日24時間国際送金可能」などの特徴も事業プランとしてリストアップされている。

なお、JPモルガンのCEOであるJamie Dimon氏は、JPMコインの商用利用や消費者による一般利用の可能性も示唆した。

Garlinghouse氏、キャッシュレス社会の実現にも言及

さらにGarlinghouse氏は、『キャッシュレス』の社会の実現や仮想通貨の現状に関して、独自の観点を述べた。

キャッシュ(現金)が必要な社会をなくすのは、まだまだ時間がかかりそうだが、決済に生じる摩擦(時間・手数料など)を軽減することはできると思う。

現在の仮想通貨を取り巻く環境は数年前に比べて大違いだ。以前は不正利用やお金儲けの投機が中心だったが、現在は実用性・ユースケースがきちんと求められている。

今は、様々な仮想通貨プロジェクトが存在しているが、どのような利用手段があるかはよくわからない。

また、Garlinghouse氏は、米国の規制環境に関しても触れており、規制者による規制の「明確性と透明度」が必要不可欠だとしている。

SEC、CFTCのコミッショナー登壇

今回のサミットには、米金融規制当局の顔とも呼ばれるSEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の責任者たちも登壇し、仮想通貨業界などに対する法的規制の動向に関して見解を述べた。

クリプト・ママの愛称を持つSECのコミッショナーHester Peirce氏は、仮想通貨・ブロックチェーン業界に対して、「我々SECの明確なコミッショナーレベルのガイダンスが公開されることは、企業との連携をより進められる動きに繋がるはずだ」と述べた。特に仮想通貨カストディのような技術要素の高い分野は、説明する手紙だけでなく、SECに直接連絡を取り、商談を行うように推奨している。

要するに、Peirceコミッショナーは企業とSECの直接談話を重視しており、特にSECが明確なICO・STO・仮想通貨取引などの関連事業における法的規制やガイダンスが存在しない現在、個別の案件で談合・連携する必要性があるとしてる。

一方で、「仮想通貨業界に害のない規制方法を行うべき」と主張してきたCFTCのGiancarlo委員長は、規制における観点と、仮想通貨の先物取引に関して様々な見解を語った。

Giancarlo委員長は、現在テックセクターの驚異的な成長は80年ほどの歴史を持つ証券と商品の法律にとって巨大なチャレンジとなっている現状があるとした。その中で、規制当局および一般大衆には技術的リテラシーが欠如していながらも、規制当局に対する迅速な規制措置が求められるという。

CFTCとしては、需要に合わせる規制者として、時代と技術の発展を考慮した規制スタンスを貫く意向を示した。

なお、2017年末にCboeとCMEが、米国初のビットコイン先物に対する疑問の声は多い中で、規制当局を通さず実行できる権利である「自己承認」権限を持ちいて、上場を行なったが、その当時、取引所の上場判断を止めなかったCFTCの判断は、問題なかったとみている。

このように、仮想通貨関連企業への歩み寄りを示唆した規制当局だが、NYSEの親企業が設立した仮想通貨取引所Bakktや、ナスダック、取引所ErisXなど、未だに規制当局の審査待ちの企業が多い状況も事実だ。これらの発言を経て、今後米国の仮想通貨業界がどのように動いてくるかに注目したい。

なお、Giancarlo委員長は、ブロックチェーン技術を「黄金の市場記録」と例え、2008年の金融危機を防げた可能性が高いとし、当時の経験を回想した。

仮に、ブロックチェーン技術が、10年前にウォール街のデリバティブ商品における情報の土台となっていれば、時代は大きく変わっただろう。規制者の正当な干渉と法的措置を施すことをより迅速かつ正確にしてくれたはずだ。

リアルタイムの分散的台帳によって、当時のような規制混乱は免れただろう。

今回DC Blockchain Summitでは、フィデリティ社のデジタル事業部最高責任者のTom Jessop氏や、米金融業規制機構FINRAのディレクターも参加しており、業界に関する重要発言は、随時更新する。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

米銀大手JPモルガンの独自仮想通貨「JPMコイン」事業プランが明らかに
2019年1月26日に開催されたイベント「JPMorgan Chase 2019 Investor Day」で用いられたプレゼン資料が公表され、JPモルガンの独自仮想通貨「JPMコイン」の事業プランが明らかとなった。
JPモルガンの独自仮想通貨を一般利用できる日が来る? ダイモンCEOが新たな可能性を示唆
ビットコイン懐疑派としても知られるJPモルガンCEOが、独自仮想通貨「JPMコイン」の商用目的や一般利用が行われる可能性を示唆する発言を行なった。大手顧客を対象とした大口決済や送金目的の通貨として、発表された同通貨の一般消費者の利用に言及するのは初となる。
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者13,000名突破。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/18 木曜日
17:05
Flare Network、PFP NFT生成AIサービスの一部機能を公開
Flare Network(フレアネットワーク)はデータに特化したブロックチェーンとしてAIを強化。Atrivと提携してコードなしでNFTを生成するプラットフォームを提供。このプラットフォームは、デジタルアートの取引と集大成を容易にし、安全なクロスチェーン取引をサポートする予定。
17:00
ビットコインの新トークン標準「Runes」が注目される理由
仮想通貨 ビットコイン新たな代替トークン基準「Runes」にコミュニティの注目と期待が集まっている。ビットコイン版NFTの発行を可能にしたOrdinalsの開発者が、設計した新たなプロトコルで、ビットコインの半減期に合わせてローンチされる。
16:25
ソラナのDEX「Drift」、18万ユーザーに1億トークンのエアドロップ実施へ
ソラナのDEXプロトコル、Driftが1億トークンのエアドロップを実施予定。取引量200億ドル超のプラットフォームで、ユーザー活動に基づくトークン配布が行われる。新たな暗号資産(仮想通貨)DRIFTの詳細を解説。
15:00
コンサル大手EY、イーサリアム基盤の契約管理サービスを立ち上げ
世界四大会計事務所の一つ、アーンスト・アンド・ヤングは、ブロックチェーン技術を活用した企業契約管理ソリューション「EY OpsChain Contract Manager」の立ち上げを発表した。
14:00
「ビットコイン半減期は年単位で見れば価格に大きなインパクト」Bitwise分析
Bitwiseは今後の価格についてビットコイン半減期の長期的な影響は過小評価されていると述べた。一方、ゴールドマン・サックスはマクロ経済情況も重要と分析している。
12:00
RWA分散型金融Centrifuge、23億円調達
Centrifugeは新たな資金を利用し、Baseチェーン上に構築され、Coinbase Verificationと統合されたRWA向けの機関投資家グレードの融資市場の構築に取り組んでいく。
10:50
分散型決済Slash Payment、エアドロップ第一弾の詳細発表
仮想通貨決済サービス「Slash Payments」は、独自トークンSVLエアドロップ第一弾の詳細を発表した.。SlashのNFT保有者などが対象となる。
08:15
Roninチェーンが初のWeb2ゲームIP導入、韓国の「Ragnarok」
「Ragnarok: Monster World」は、Ragnarokが出すWeb3戦略ゲームで、タワーディフェンスとモンスター収集の要素を組み合わせたこのゲームだ。プレイヤーは「Ragmons」を集めたり、PvPモードで戦ったり、ギルドを作ったりできる。
07:15
「4月末までにブラックロックのビットコインETFがGBTCを追い抜く可能性」アナリスト予想
仮想通貨ビットコインのETFについて、4月末までにはブラックロックのIBITがGBTCを追い抜くとブルームバーグのアナリストが予想。両ETFの差は確実に狭まってきている。
06:30
ワールドコイン、独自のレイヤー2「World Chain」発表
ワールドIDを持ち人間であることが確認されたユーザーは、ボットよりも優先的に仮想通貨のブロックスペースを利用でき、無料のガスも利用できる。
06:00
TikTok関連企業BytePlus、Suiブロックチェーンを採用
BytePlusとの提携のほか、Sui財団がリアル・ワールド・アート・トークン化(RWArt)の先駆である「Artfi」に投資を行ったことも発表された。
04/17 水曜日
17:30
Polyhedra Networkがグーグル・クラウドと提携 ゼロ知識インフラ「Proof Cloud」を発表
Polyhedra NetworkがGoogle Cloudと提携し、ZK-as-a-service「Proof Cloud」を発表。ゼロ知識証明の生成を簡略化し、個別要件に最適なインフラストラクチャを提供する。Google Cloudは、AIの品質管理に関する機械学習機能を強化するため、ゼロ知識技術を活用するためにPolyhedraと協力する方針だ。
17:29
HashPalette『THE LAND エルフの森』と『EXPO 2025 デジタルウォレット』のコラボ企画発表
メタバース型ファーミングブロックチェーンゲーム『THE LAND エルフの森』と『EXPO 2025 デジタルウォレット』のコラボ企画が2024年4月24日に開始。特別な釣りイベントで万博チケットを獲得するチャンス!NFT関連事業を手掛けるHashPaletteが開催。
16:16
コインチェックTVCMを5月に放映開始、稲垣吾郎と鈴木もぐら出演
コインチェックが新CM「コインチェッくん篇」を、半減期後となる2024年5月から放映開始。稲垣吾郎と鈴木もぐらが出演。暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン買うならコインチェック」と訴求する。過去のCMからの一貫性にも注目だ。
12:18
ビットコイン推移は正念場、足元のETF需要は伸び悩む
イランとイスラエルを巡る中東情勢不安が株やビットコイン市場に重くのし掛かる中、6万ドルのサポートライン上で際どく推移するBTC価格。ビットコインETFへの資金流入は、過去4週間にわたって減少傾向にある。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/20 ~ 2024/04/21
大阪 京セラドーム大阪
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
重要指標
一覧
新着指標
一覧