CoinPostで今最も読まれています

「全ての機関投資家が仮想通貨に出資する」米ファンドが語るビットコイン市場展望|ポンプリアーノ氏独占取材

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

モーガン・クリーク・デジタル社CEOに独占インタビュー
CoinPost編集部は、TEAMZブロックチェーンサミットのために来日した、米国の仮想通貨に特化した投資運用企業モーガン・クリーク・デジタル社のCEOを務めるAnthony Pompliano氏に独占インタビューを実施。同氏は、米国内で仮想通貨ファンドへ介入を始めた保守機関の動きや、仮想通貨の大幅普及について、また投資家の視点からビットコインの将来の展望を語った。
日本最大規模のブロックチェーンカンファレンス、TEAMZブロックチェーンサミット開催
TEAMZブロックチェーンサミットが4月6日と7日に開催された。同イベントには、LitecoinのCEOであるFranklyn Richards氏、Wikipediaの共同創業者かつEveripediaのCIOであるLarry Sanger氏を始め、業界の国内外の専門家、一流投資家、ベンチャーキャピタル、投資銀行、規制機関などが集結した。

加速する米機関投資家の仮想通貨ファンド介入

Pompliano氏がCEOを務めるモルガン・クリーク・デジタル社は、15億ドル(約1656億円)の運用資産を誇るモーガン・キャピタル・マネジメント社の仮想通貨に特化した傘下投資運用企業であり、主に「デジタル・アセット(仮想通貨)」やトークンベースのプロジェクトに出資している。

今年2月に米国バージニア州フェアファックス郡の年金基金2つを含む機関投資家から、4000万ドル(44億円相当)の資金を調達したばかりである。

今回予想外にも、年金基金や大学基金など多くの比較的保守的な機関投資家が仮想通貨投資ファンドに出資した形となった。保守的機関の介入について、期待していたかと意見をPompliano氏に訪ねた。同氏は以下のように述べている。

将来的に、全ての機関投資家がデジタル・アセットをポートフォリオに追加することになるのは間違いない。今回、最も保守的な機関の1種である年金基金が我々に出資したことは、仮想通貨ファンドとしては業界初のことで、とても誇りに思っている。より多くの伝統ファンドや保守的機関投資家がこの領域へ参入することで、業界全体が成熟し、広く認められていくと考えている。我々の任務は、それらの機関からの関心が高まる中、彼らがブロックチェーン、仮想通貨、ビットコインの領域へ参入することの架け橋になることである。

機関投資家は、特にビットコインがNon-correlated return asymmetric asset(利益の非相関性が無いアセット)であり、つまりポートフォリオに追加することでリスクの軽減が可能であることに注目しており、そのような観点からも保守的機関の参入を引き続き支援したい。

今回の機関投資家からの資金獲得も、起業家的なセンス、デジタル・アセットを管理力など多岐にわたる能力を必要としたことから、Pompliano氏は「自分一人では成し遂げられなかったこと。我々のCIOやパートナーからなる多才なチームに感謝している。」と、自身のファンドの快挙を振り返った。

仮想通貨の全面普及

仮想通貨業界の発展は、機関投資家の手に委ねられているのだろうか。先日、Facebook社は独自の仮想通貨をローンチするために、大手仮想通貨取引所と協業し、国際通貨として米ドルから同社独自の仮想通貨(ステーブルコイン)に置き換える計画を立てていると報じられれた。

同社のようなグローバル大手テクノロジー企業の当領域参入の影響は、金融機関と比較するとどれくらいのものになるのか、と質問を投げかけると

ビットコインに関しては、VennmoやApple Payなどの決済手段よりも人気が高まっていること、また2018年のビットコインネットワーク上の総取引額が4100億ドル(約46兆円)に上ったことからも、大幅に普及が既に進んでいると思う。

大幅普及から、世界中の人がビットコインを利用するという全面普及の話になると、まだまだ時間はかかる。10~15年後になると見込んでいる。しかし、その点でFacebook、TelegramやKikに類似する大手ソーシャルサービス企業は、既に巨大なユーザーベースを確保していることから拡散には多大に貢献すると思う。個人的にはFacebook社は今、仮想通貨業界で一番重要な企業であると考えている。Facebook社がどんな仮想通貨(ステーブルコイン)をローンチしたとしても、その時に一斉に大量の人口が初めて仮想通貨及びデジタル・アセットの取引きを経験することになる。だから、Facebook社が価値のあるユーザー経験ができるプロダクトをローンチすれば、仮想通貨業界全体に前向きなスポットライトが当たり、汚名払拭にも繋がる。今後、Facebook社がどのような仮想通貨をローンチするのか注目したい。

と、既存の金融機関に留まらず、業界全体の発展に貢献し得るキープレーヤーについても言及した。

投資家から見るビットコインの展望

ビットコインは、2017年は年末にかけて強気相場で多くの投資家が利益を出し、一方で2018年に入ってからは弱気相場が続いており市場全体が伸び悩みを経験した。近日こそ、価格は回復しているものの、ボラディリティの高さが問題となっている。

仮想通貨ファンドとしてビットコインへの投資を推進しているPompliano氏だが、具体的にどの部分に着目しているのか、伺ってみた。

ファンダメンタルズは最重要事項で、私が言うファンダメンタルズとは、ビットコインネットワークのハッシュレート(hashpower)、総取引回数、取引の大きさなどである。2018年にビットコインはベア・マーケット(弱気市場)を経験したが、価格が80%下落した時、ハッシュレートは4倍になっていた。価格が落ち込んでいる時でも、このようなファンダメンタルズは改善されており、テクノロジーとしては成長していると分析できる。一方、市場のBTC価格はそのような価値を反映できない。

価格というものに一喜一憂するのは簡単だが、成長を止めないテクノロジーがもう既に存在していることは、確かなのである。そして、2~3年のうちに劇的に成熟するだろう。

と、本質的にこのテクノロジーに投資するのであれば、市場価格は二の次であると改めて語った。実際にビットコイン取引数は2日前に4億回を超えるなど、ファンダメンタルズは引き続き強化されている。

しかし、投機的な領域参入が多い日本では、マーケット価格の推移も気になるところである。2019年からは上昇傾向にあるビットコイン価格について、停滞期は脱したのかと、同氏の見解を聞くと、

ビットコインの市場価格は我々の事業には無関係であることを前提とした上で、様々なデータを参照し、日々の価格を参考にすると、市場価格は既に底打ちしているか底値近くにあると思う。これから下落があったとしても、2018年に見た80%価格暴落など大規模なものにはならないと思う。

と、長期的に見るとマーケット価格はここから改善する予測をしていると述べた。

ビットコインが不正問題解決?

また、Pompliano氏は、“Long Bitcoin, Short the Bankers (銀行家)”のスローガンで有名だ。これは、ビットコインの登場が、従来の金融機関での不正行為撲滅に貢献する可能性を謳うものだ。実際に仮想通貨が既存の不正問題を抜本的に解決することはあり得るのだろうか。スローガンの内心を伺った。

まず始めに、このスローガンは従来の金融機関や銀行家に対する批判ではないことを明確にしたい。悪人はどこにいても悪事を働く、ということだ。また、仮想通貨が不正行為や犯罪を阻止できるかというと、そうでは無い。仮想通貨が貢献できるのは、誰がいつ、どのような不正を行ったか明確に示せる部分にある。逆に、法定通貨ではその様な記録をつけるのは不可能なので、現金を利用した不正は減らないだろう。

と、自身のスローガンの心を説いた。

Pompliano氏は、自身がホストを務める「Off The Chain」というポッドキャストも配信しており、仮想通貨及びウォール街で著名である人物をゲストに招き、新旧の金融機関の知的投資家としてデジタル資産について情報発信もしている。日本から支援してくれる人々に対して「日本のサポーターには大変感謝している。これからも、業界全体の成長に尽力したい。」と、感謝メッセージを述べてインタビューを終えた。

また、このインタビュー後にイベントで登壇予定であったPompliano氏は急遽予定変更が生じ、帰国するために急ぎ足で空港へ向かった。

Pompliano氏と筆者 出典:CoinPost撮影

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。
14:35
米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴
米ブロックチェーン協会とテキサス州暗号資産自由同盟は、米証券取引委員会が新たに制定したディーラー規則の阻止を求めて、SECを提訴した。
13:00
香港の現物ビットコインETF 4月30日にも発売かー報道
香港でボセラとハッシュキーキャピタルが提供するビットコインETFが取引を開始すると報じられた。2社の現物ビットコインETFは、価格安定性が高く、投資家に直接的な市場価格連動のメリットを提供する。
12:09
半値戻しのビットコイン、投資家心理改善で買い先行
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが66000ドル台まで反発し、50MA手前で一服した。イランとイスラエルを巡る中東リスク後退で米国株式市場でも買い戻しが先行しており、投資家心理が改善した。
12:00
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、70日連続流入を記録
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が70日連続で資金流入を記録した。運用資産は約2.8兆円に達している。
11:00
リップル社、SECによる20億ドルの罰金提案を過大と反論
リップル社は、XRPをめぐるSECとの裁判で新たな書類を提出。リップル社に対して約3,100億円の罰金支払いを求めるSECの主張に反論した。
09:40
「BTC価格上昇は半減期から50〜100日後」QCP Capital
仮想通貨ビットコインの今後の価格が急上昇するのは半減期から50〜100日後であるとQCP Capitalが分析。また、Bitfinexも半減期後の相場レポートを公開した。
08:45
ソラナJupiter、DEXモバイルアプリ5月公開予定
既存のUltimateウォレットは5月22日から利用できなくなるため、その前に仮想通貨の一時的移転(PhantomやMagic Edenウォレット)を推奨した。
08:10
米国のイーサリアムETF上場申請、5月承認は見込み薄か
申請中の仮想通貨イーサリアム現物ETFの多くは5月に最終判断を迎える予定だが、多くのアナリストは承認の確率が低いと予測。背景には、イーサリアム財団への任意捜査で米SECがETHを有価証券に分類しようとしている点や、ビットコイン現物ETFが承認されてからまだそれほど時間が経っていない状況などがある。
07:10
ビットコインの機能を拡充する新提案が公開
仮想通貨ビットコインのブロックチェーン上でスマートコントラクトなどを実現する開発提案がBIP-420として公開。以前から関心を集めている提案の内容が改めて説明された。
06:35
バイナンスアプリの削除、フィリピン当局がアップルとグーグルに命令
フィリピンはバイナンスの顧客基盤における重要な構成国だが、同SECは2023年11月以降、バイナンスを投資に利用しないよう国民に積極的に警告していた。
05:50
エルサルバドルの国営ビットコインウォレット、ハッカーがコードを流出
今回の漏洩は、4月上旬に報告された510万人のサルバドル人の個人情報リークを含む、一連のChivoウォレット関連のハッキングに続くものだ。
04/23 火曜日
19:00
メゾンマルジェラ MetaTABI NFT発売
メゾンマルジェラがMetaTABI NFTを一般販売開始。デジタル専用設計のタビシューズはThe Fabricantとのコラボで、限定版タビブーツとレザーウォレットが付属。今後のWeb3ブランドイベントにも参加可能。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/24 11:30 ~ 13:30
その他 オンライン
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧