「仮想通貨の真の普及」と「ライトコインの匿名技術導入意義」|Litecoin財団創設理事へ独占取材

LiteCoin Haus CEOに独占インタビュー
CoinPost編集部は、Litecoin Foundationの創設理事 及びLitecoin.comを運営するLitecoin HausのCEOを務めるFranklyn Richards氏に独占インタビューを実施。来るライトコイン半減期の価格への影響から、匿名取引の実装計画の意義、またビットコイン及び仮想通貨の将来的な展望をプロジェクトサイドからの貴重な意見を伺った。
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ライトコインの高まる需要と市場価格

強固なコミュニティーを持つ仮想通貨の一つに、ビットコインの次に古いライトコイン(LTC)がある。ライトコインは、2011年10月にビットコイン(BTC)のソースコードを基に開発され、より身近で使いやすい仮想通貨を目指し、送金スピードをビットコイン(BTC)の4倍に改善した。

現在時価総額5位のライトコインの価格は、2019年に入ってから、1月1日の年初来安値から2倍に上昇している。また今月8日に、Litecoin.comがライトコイン(LTC)のハッシュレートが過去最高に達したことを報告した通り、需要が高まる傾向にある。その動機は、主に2つある。

4年毎の「半減期」の到来

コンフィデンシャル・トランザクション(匿名取引)の採用

半減期の価格への影響

次回は今年8月ごろに予定されている半減期は、マイニング報酬が半分に減額される時期のことで、ライトコインの埋蔵量も減少する。よって、それに伴った価格の上昇が見込まれる。前回の2015年8月の半減期では、LTC価格はその直前で最大300%以上の暴騰を記録した。

今年8月頃に迫り来る半減期の市場価格への影響について、Franklyn Richards氏に伺うと、

一般的に半減期で見られる価格上昇は、仮想通貨はコモディティであるという概念に基いて需給関係の推移を予測した「買い」が急増するからだ。しかし、我々は次回もその様な価格高騰が期待されるとは考えていない。それ以上に我々が懸念するのは、半減期直前やその最中に、仮想通貨の暴落が起き、そこで損失を出した人々が、仮想通貨の領域を去っていくことだ。

と、半減期に伴う価格上昇は、約束されたものではないと釈明した。

仮想通貨の代替可能性問題

代替可能性(Fungibility)は通貨の特性の1つであり、ある資産単位が常に、同種類・同単位の資産と全く等しい価値であることを意味する。しかし、悪用された仮想通貨は同種のものでも価値が下がってしまうため、特にビットコインの代替性は問題視されてきた。

ライトコインの創設者、Charlie Lee氏は「代替可能性は、法定通貨にあってビットコインやライトコインに欠けている唯一の特性だ。」と指摘しており、その解決法として、ライトコイン財団は新たな匿名技術MimbleWimbleを搭載した仮想通貨「BEAM」の開発チームと提携、2019年内の匿名取引を実装計画を発表した。

同氏は、イベントのプレゼンテーション内でMimbleWimbleについて解説。MimbleWimbleは複数の取引を混在させることにより、ブロックをシンプル化し、送受金関係が不明確な取引を可能にすると言う。

出典:MimbleWimble ホワイトペーパー

MimbleWimble is confidential transaction on steroids.

ー 「MimbleWimbleは、究極の匿名取引である。」

Litecoin HausのCEO、Franklyn Richards氏

では、MimbleWimbleのプロトコルの実装で、完全にプライバシーは保障され、仮想通貨の代替性問題は解決し、過去のものとなるのかと同氏に投げかけると、

実際のところ、MimbleWimbleの導入だけではプライバシー問題は解決されない。しかし、代替性問題の解決に貢献することは確かである。プロトコルの実装にあたって、我々は「Switch Commitment(スイッチ・コミットメント)」を採用している。例えば将来、量子コンピュータの脅威が及んだり、プライバシー問題が起きたら、基本的にその瞬間に元のライトコインネットワークに戻すことができる。MimbleWimbleはソフトフォークで実装されていくからだ。

あくまでも互換性のあるソフトフォークで行われるため、通貨自体の大きな懸念へ発展しない点を強調、ライトコインの重要な転換点になり得ることを強調した。

仮想通貨、真の普及とは

MimbleWimbleの実装などにより、コンフィデンシャル・トランザクションが実現されれば、将来的に仮想通貨はその代替性の壁を乗り越え、法定通貨とほぼ同等の性質を持つ来る日が来るかも知れない。実際に、JPモルガンが独自仮想通貨「JPMコイン」を発行するなど、既存の金融機関もその可能性を認知していることは、間違いない。この様な、金融機関の仮想通貨領域への介入が大幅普及を加速させるか、同氏に意見を伺った。

様々な金融機関が、顧客に新たな利益を創出するために、仮想通貨やブロックチェーン技術を取り入れようとするのは良い動きだと考えている。しかし、私は全てがブロックチェーン化されるべきという考え方には反対する。例えば、JPモルガンの独自コインは「プライベートチェーン」上で発行されるステーブルコインのために互換性が無く、私はブロックチェーンの存在意義と相反するものだと思った。

では、金融機関が推進できる真の仮想通貨普及の姿とはどんなものなのだろうか?

仮想通貨が本当に普及した時は、きっと我々は仮想通貨について話すことは無いだろう。私は、真の普及とは一般的なイメージとは異なり、発明が「透明化」することだと考えている。単純に、従来銀行から海外へ送金する時に数日かかり、50ドル近く手数料がかかっていたものが、所要時間30分そして手数料も1ドルにも満たずに送金できる。そこには仮想通貨の「か」の字も登場しないだろう。だから私は「お金」だけでははつまらない、と言い続けて来た。仮想通貨の可能性は「お金」であることに固執しないからだ。

仮想通貨市場の価格展望

ビットコインは2018年の80%価格暴落以来、弱気市場が続き、ボラディリティの高さが問題となっている。しかし、2019年に入ってからは価格は回復気味であり、遂に市場の停滞期に終止符が打たれたのではないかという憶測が飛び交っている。

同氏にこの様な憶測についての意見を伺うと、

私は、弱気市場が終わりに近づいているという主張は信じられない。理由は2つあり、1つは2017年の価格高騰前の弱気市場は2年以上も続いた。それを考慮すると、今回の弱気市場もまだ続くだろう。2つは、ボラディリティの高さが依然と問題になっていることだ。つまり、利益を出すためだけに市場に参入している人が未だ多数いるなど、市場の頽廃(たいはい)がある。弱気市場というのは、この様な人々を追いやるためにあると考えている。そういう意味で現在は、仮想通貨市場全体が試練の時を経験している最中であると思う。

と、仮想通貨市場の春の到来は、まだ先であると予測した。

ビットコインが「金」であれば、ライトコインは「銀」であると比較して言われることも多い。ビットコインが体現できなかった仮想通貨の可能性をライトコインが実現させるのか、市場価格の動きと合わせて引き続き注目したい。

Richards氏と筆者 出典:CoinPost撮影


画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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