CoinPostで今最も読まれています

G20サミットと同日開催の「V20」 仮想通貨有力プロバイダーが集結するサミットの概要と目的

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

来たるG20大阪サミットに合わせて、仮想通貨サービスプロバイダ会議「V20」が開催
仮想通貨のこれからに多大な影響を及ぼす規制となる、世界基準の暗号資産監督法ガイドラインに対応するため、世界をリードする仮想通貨サービスプロバイダが、大阪に結集する。G20と同日開催されるV20の概要と目的とは?

来たるG20大阪サミットに合わせて、仮想通貨サービスプロバイダ会議「V20」が開催

仮想通貨のこれからに多大な影響を及ぼす規制となる、世界基準の暗号資産監督法ガイドラインに対応するため、世界をリードする仮想通貨サービスプロバイダが、今月下旬、大阪に結集する。

6月28日から2日間、大阪で開催される金融・世界経済に関する首脳会合G20に日程を合わせ、「V20」と銘打ち、世界の仮想通貨関連業界代表者が、FATF関係者や国内業界代表団体と共に、ビジネスと技術両面で実行可能、かつ規制の目的にも叶うソリューションについて議論する場を設ける。

この両サミットに先立ち、6月21日、マネーロンダリング対策の国際基準を策定するFATF(金融活動作業部会)は、暗号資産の監督法を明確化するためのガイドライン発表を予定している。

先に福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、ブロックチェーンが持つ可能性の高さを評価すると同時に、仮想通貨が経済にもたらす脅威は低いものの、マネーロンダリング等のリスクは認識しているとして、コミュニケートでは次のように述べられている。

暗号資産の基盤となる技術を含む技術革新は、金融システムと経済に大きな利益をもたらすこと可能だ。 現時点で暗号資産は世界的な金融の安定に脅威を与えることはないが、消費者および投資家保護、マネーロンダリング防止(AML)、テロ資金調達対策(CFT)などのリスクは引き続き警戒していく。

FATFのガイドラインは、まさにこの「マネーロンダリング防止(AML)、テロ資金調達対策(CFT)などのリスク」に備えるためのものだが、これまでに明らかになっている内容から、仮想通貨業界に対する最大の脅威となりかねないとの懸念の声が関係者の中からあがっている。

中でも、現在銀行業界の電信送金で義務付けられている、資金の受取人に関する情報提供を仮想通貨取引にも適用しようとする条項は、アドレス以外は相手方の情報の獲得を特に必要としないブロックチェーン技術と相容れない部分が大きいことが指摘されている。 また、受取人の情報が正確であるかどうかを確認することも困難な場合が多く、取引所の運営コストが引き上げられるのに反し、犯罪防止に対する有効性は疑問視されている。

取引コストの高騰と匿名性を失うことを望まない多くのユーザーは、AML対策を講じ、規制に準拠しようと最大限の努力を重ねている取引所を回避して、規制の対象外であるカストディ機能を持たないウォレット同士のP2P取引に流れるのではないかとの指摘もある。

つまり、マネーロンダリングの防止を目的とした規制が、法的執行機関が資金の流れを特定するのがより困難な取引を増やすことにつながり、結局は本末転倒の結果となるのではないかと見る向きもある。

20世紀の法律を21世紀の技術に押し付けようとしているとの意見も見受けられる。

V20の提案

このような状況の中、V20の開催の経緯は次のようにまとめられている。

G20がブロックチェーン技術によってもたらされる機会を最大限に活用する方法を模索し、企業がグローバルな規制の枠組みを中心に明確さと確実性を必要している中、FATFによって提案された最新の基準に対して、協調した対応を実現させるため、政府と産業の連携を推進する国際的な対話の必要性を認識している。

また、V20の果たす主要な役割は以下のようなものだという。

  • 大阪G20サミット開催期間に合わせた、政府機関や仮想通貨企業、ならびにFATF作業部会の代表者を含む主要関係者の円卓会議
  • FATF提案に影響を与えるため、仮想資産の独自性を反映した、業界が協調して提案する規制を提示
  • 適切な対応を整えられるよう、更新されたFATF基準が発効する期日を延長する提案
  • FATFの情報収集要件を満たすプラットフォームを支えるプロトコルと標準の開発

先に福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、ブロックチェーンが持つ可能性の高さを評価すると同時に、暗号資産が経済にもたらす脅威は低いものの、マネーロンダリング等のリスクは認識しているとして、コミュニケでは次のように述べられている。

暗号資産の基盤となる技術を含む技術革新は、金融システムと経済に大きな利益をもたらすこと可能だ。 現時点で暗号資産は世界的な金融の安定に脅威を与えることはないが、消費者および投資家保護、マネーロンダリング防止(AML)、テロ資金調達対策(CFT)などのリスクは引き続き警戒していく。

FATFが示すガイドライン自体には法的拘束力はないが、政府間機関として設立された同機関は、世界の金融ネットワークに多大な影響力を持っている。 規制当局と業界が真摯に向き合い真の解決策を導き出す場として、仮想通貨業界を代表したV20がもたらす結果が吉と出ることを期待したい。

CoinPostの関連記事

G20、仮想通貨の技術革新とリスク保護の両立へ|財務大臣・中央銀行総裁会議が閉幕
6月8日から9日にかけて開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議にて仮想通貨規制に関する具体的な議論が展開された。今後も技術革新とリスク保護の両立を可能にする規制策定に努めていく方針となった。
麻生氏、G20財務相らに「デジタル課税」に向けた国際協調を呼びかける
G20は、日米中などの閣僚が出席する国際課税シンポジウムを、8日に福岡市で開催。グローバルIT企業に向けた「デジタル課税」を主なテーマに議論が進行した。
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
06/05 月曜日
14:40
バイナンスのWeb3起業家コンテスト、「zkPass」が優勝
大手仮想通貨取引所バイナンスは、メタバースで開催したWeb3起業家コンテスト「Build The Block」の優勝者を発表。ゼロ知識証明を開発する「zkPass」が助成金を勝ち取った。
12:39
露大手銀行ロスバンク、仮想通貨を利用したクロスボーダー決済サービスの提供開始=報道
ロシアの大手銀行ロスバンクは、同国の主要銀行として初めて、仮想通貨を利用したクロスボーダー決済システムの運用を開始した。同行はすでに企業及び個人の顧客との取引を試験的に行なっているという。ロシアのビジネス紙「Vedomosti」が報道した。
12:01
三菱UFJ信託銀行ら3社、ステーブルコインのクロスチェーン基盤構築へ
三菱UFJ信託銀行は2日、DatachainおよびTOKIと提携して、ステーブルコインのクロスチェーンインフラを構築していくと発表した。「Progmat Coin」を利用するトークンを対象とする。
11:58
ビットコインのボラティリティ、30日間変動率が過去最低水準に
米債務上限問題をめぐるデフォルト回避や利上げ停止観測で米株指数や日経平均株価が上昇する中、ビットコイン価格は今ひとつ冴えない。ボラティリティの30日間変動率は過去最低水準まで低下した。
06/04 日曜日
11:30
センチメント悪化でビットコイン下落、米ファンダ背景とした下げ止まりに期待|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリストが、センチメント悪化で370万円付近まで下落した今週のビットコイン相場を解説。米ファンダメンタルズ好転で来週シナリオに楽観的な見方も。ビットコインチャートを図解し今後の展望を読み解く。ビットコイン・オンチェーンデータも掲載。
11:00
週刊ニュース|JPモルガンのBTC価格分析に注目集まる
今週は、JPモルガンのアナリストによるビットコイン価格分析について書いた記事が最も多く読まれた。このほか、国内仮想通貨取引所のトラベルルール対応など、一週間分の情報をお届けする。
06/03 土曜日
17:00
サンドウィッチ攻撃とMEVとは?
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム基盤の分散型取引所ユニスワップなどで猛威を振るい手数料高騰の要因となっているMEV。サンドウィッチ攻撃など、分散型取引市場の脅威について詳しく解説する
14:00
Uniswapの手数料分配案、合意に至らず
分散型取引所(DEX)Uniswapで、一定以上の取引量を処理する流動性プールに対し、手数料収益の分配先を変更し、コミュニティ全体に還元するという提案についての投票が終了した。
13:00
米Marathon、採掘ビットコイン量が前月比77%増加
ナスダック上場の米仮想通貨マイニング企業マラソン・デジタル・ホールディングスは最新の事業報告を発表。5月のビットコイン生産量はOrdinalsの台頭も背景に増加した。
12:00
米下院議員ら、仮想通貨規制を明確化する法案を発表
米下院の共和党幹部らは、ビットコインなど仮想通貨の規制に関する法律草案を発表した。証券とコモディティの区別など、仮想通貨規制の明確化を図る法案となる。
10:50
米コインベースデリバティブ、機関投資家向けにビットコイン等の先物取引を提供
米国のコインベースデリバティブエクスチェンジは、仮想通貨ビットコインとイーサリアムの先物取引を機関投資家向けに提供する計画を発表した。CMEによれば、22年は仮想通貨の先物・オプション取引の約33%が米国外で行われていたが、2023年には35%に上昇する傾向にある。
10:05
イーサリアム仮想マシン「Kakarot」、資金調達を完了
仮想通貨イーサリアムの仮想マシンKakarotを開発するプロジェクトは、プレシードラウンドの資金調達を完了。ヴィタリック・ブテリン氏や、L2プロジェクトStarkWareらが出資した。
08:40
米債務上限停止法案が大統領署名へ 米国株続伸
本日のNYダウは+701ドルと大幅に続伸。ナスダックも+139.7高で取引を終えた。米債務上限問題は法案が上院で可決されたことや強い雇用統計が好感された模様だ。
06/02 金曜日
15:59
札幌開催のWeb3カンファレンス「B Dash Crypto」、ピッチコンテストの結果は
Web3特化型カンファレンス「B Dash Crypto」が札幌で開催された。ピッチイベント「Crypto Arena」で優勝に輝いたのは、高速ブロックチェーンAptosとSuiで分散型取引所(DEX)アグリケーターとして機能する「Umi Protocol」だ。
13:13
オリーブオイル生産業者、DeFiプラットフォームでステーブルコイン建債券を発行
オリーブオイル生産業者ラマ・オリーブオイルは、分散型金融プラットフォーム「Obligate」を利用して、オンチェーン債券を発行した。この社債は、ユーロ連動のステーブルコイン「 EUROe」建で発行された。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧