CoinPostで今最も読まれています

「仮想通貨革命」から「戦略的武器」まで |デロイトがブロックチェーンに対する大規模な意識調査結果を発表

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

デロイトがブロックチェーンに対する大規模意識調査結果を発表
世界4大会計事務所の一つ、デロイトが世界12カ国の主要企業を対象にブロックチェーンに関する意識調査を実施。デロイトは調査結果に関して「ブロックチェーン物語は新たな幕を開けようとしている」と指摘した。
ブロックチェーン物語の新たな幕開け

調査対象となったのは、年間売り上げが5億ドル(約542億円)以上の米国企業、並びに1億ドル(約108億円)以上の11カ国(カナダ、ブラジル、中国、香港、シンガポール、イスラエル、アラブ首長国連邦、ドイツ、イギリス、スイス、ルクセンブルク)の企業の上級管理職で、自社の投資計画についてコメントできる立場にあり、かつブロックチェーンに対する幅広い知識を持っている人々だ。

Deloitte’s 2019 Global Blockchain Survey

デロイトは、「ブロックチェーン物語は新たな幕を開けようとしている」と調査の結果を表現している。

肯定的な評価と現実的な理解 投資は堅調に進む

回答を寄せた上級管理者は、ブロックチェーン技術は「本物」であり、ビジネス上の問題の実用的な解決策として役立つものだという共通の認識を持っており、実際のユースケースについても確信を持っていることが判明したという。

また、その採用分野としては依然としてフィンテックがトップであることには変わりはないものの、テクノロジー、メディア、電気通信、生命科学、医療や政府などのより多くの分野における組織や企業がブロックチェーンへの取り組みを拡大し、多様化しているのが昨年との違いだという。

具体的には、回答者の53%(昨年から10ポイント増)が、ブロックチェーンテクノロジーは今年、組織にとって最優先事項だと考えており、さらに、83%はブロックチェーンの有効なユースケースがあると認識している。つまり、ブロックチェーンに対する回答者の意識は、全体的により肯定的なものへとなっていることがわかる。

Deloitte’s 2019 Global Blockchain Survey

Deloitte’s 2019 Global Blockchain Survey

しかしその一方で、「ブロックチェーンは過剰に宣伝されている」という認識も増えていて、ブロックチェーンに対するより現実的な理解が進んでいることも確かなようだ。

投資面においては、今後12ヶ月間に500万ドル(約5億4000万円)以上をブロックチェーンに対する取り組みに投資する計画があるとの回答が得られ、ブロックチェーン投資は堅調に推移していることも明らかになった。

Deloitte’s 2019 Global Blockchain Survey

中国、シンガポール、イスラエルも個別に分析

このデロイトの調査でさらに興味深いのは、12カ国全体の分析に加え、中国とシンガポール、そしてイスラエルの3カ国が新しいブロックチェーンソリューションのインキュベーターとして世界のブロックチェーンの採用に影響を与えているとして、個別に分析を行っている点だ。

  1. 中国
  2. ITに関する主要な戦略的テクノロジーの優先順位を設定する中で、中国政府は、ブロックチェーン技術を経済発展の重要な推進力として挙げている。また、実体経済においてもブロックチェーンが製品のトレーサビリティや著作権保護などの長期的なユースケースとなるだろうと見ているようだ。

    そうした背景の下、調査回答者の73%が、ブロックチェーンは中国における最優先事項のトップ5に入ると答えているが、これは他の調査対象国の数字を大幅に上回っている。さらに回答者の約34%が、ブロックチェーンの破壊的な可能性を「強く信じる」と回答しているが、中国の世界経済における地位とアジア太平洋地域のリーダーシップの役割を考えると、この数字は大変重要だとデロイトは分析している。

    香港を拠点とするデロイト Advisory Ltd.のパートナーであり、デロイトのアジア太平洋地域でブロックチェーンラボのリーダーを務めるPaul Sin氏は、次のように述べている。

     

    多くのプロジェクトは、生産性向上ツールとしてではなく、戦略的武器としてブロックチェーンを使用する経営陣によって推進されている。

  3. シンガポール
  4. 中国政府の仮想通貨禁止という立場に対し、シンガポールは国として仮装通貨を促進する政策をとると同時に公共ブロックチェーンプラットフォームを支援してきた。実際、シンガポール金融庁は、ブロックチェーンは経済発展にとって欠かせない技術であり、開発のための優遇税制や公的資金を提供するなど、ブロックチェーンに好意的な立場をとっている。

    <シンガポール企業の上級幹部は、そのような恵まれた状況の中、ブロックチェーンの可能性に対する意識が他国より肯定的で、導入には積極的な姿勢をとっている。

  5. イスラエル
  6. イスラエルではデジタル資産、特に仮装通貨に焦点を当てたブロックチェーン活動が盛んだという。

    イスラエルは、サイバー、仮想通貨、および機密情報などの分野における起業活動および研究開発の強力なリーダーとしての地位を築いており、それがブロックチェーンに対する自然な親和性を生み出していると、デロイトは分析している。

    現在、仮想通貨関連分野が企業のブロックチェーン採用事例を上回っているようだが、そこには変化の兆しが見えるという。イスラエルのブロックチェーンスタートアップは、DNAデータの保存、ダイヤモンドの登録、サイバーセキュリティ、国際配送などの他の分野でもプロジェクトを進めていることがわかっている。

    デロイトイスラエルの戦略マネージャーでブロックチェーン部門の責任者であるHagai Zachor氏は次のように述べている。

 

引機密情報収集と分析、セキュリティ、および暗号学の強みを考えると、イスラエルが仮想通貨革命の主要国の1つであり、今日、ブロックチェーン基盤のデータ保全とトレーサビリティ技術のリーダーの位置に留まっていることは驚くには当たらない

デロイトは、この3カ国のケースが、ブロックチェーン採用を推進する企業にとって、国や地域固有の状況や考え方がブロックチェーン開発に影響を与える良い例を示していると説明している。

出典: 参考記事

CoinPostの関連記事

市場参加者が直面するブロックチェーンの課題 今必要とされる「ワンストップインフラ」の構築にインフィニト社が挑む
モバイルウォレットはブロックチェーンと実社会を繋ぐゲートウェイとし、「Infinito Wallet」などを開発するブロックチェーン企業Infinito Solutions社。ブロックチェーン社会実装へ向けた次の一歩とは。
アジアを代表する小売・サービス複合企業「イオンアジア」、ブロックチェーンを活用した医薬品追跡への取り組みを発表
ChaintopeはAEON ASIAと、GS1 Malaysiaとともに医薬品トレーサビリティーのパイロットプロジェクトへの取り組みを行うことを発表した。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。
14:35
米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴
米ブロックチェーン協会とテキサス州暗号資産自由同盟は、米証券取引委員会が新たに制定したディーラー規則の阻止を求めて、SECを提訴した。
13:00
香港の現物ビットコインETF 4月30日にも発売かー報道
香港でボセラとハッシュキーキャピタルが提供するビットコインETFが取引を開始すると報じられた。2社の現物ビットコインETFは、価格安定性が高く、投資家に直接的な市場価格連動のメリットを提供する。
12:09
半値戻しのビットコイン、投資家心理改善で買い先行
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが66000ドル台まで反発し、50MA手前で一服した。イランとイスラエルを巡る中東リスク後退で米国株式市場でも買い戻しが先行しており、投資家心理が改善した。
12:00
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、70日連続流入を記録
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が70日連続で資金流入を記録した。運用資産は約2.8兆円に達している。
11:00
リップル社、SECによる20億ドルの罰金提案を過大と反論
リップル社は、XRPをめぐるSECとの裁判で新たな書類を提出。リップル社に対して約3,100億円の罰金支払いを求めるSECの主張に反論した。
09:40
「BTC価格上昇は半減期から50〜100日後」QCP Capital
仮想通貨ビットコインの今後の価格が急上昇するのは半減期から50〜100日後であるとQCP Capitalが分析。また、Bitfinexも半減期後の相場レポートを公開した。
08:45
ソラナJupiter、DEXモバイルアプリ5月公開予定
既存のUltimateウォレットは5月22日から利用できなくなるため、その前に仮想通貨の一時的移転(PhantomやMagic Edenウォレット)を推奨した。
08:10
米国のイーサリアムETF上場申請、5月承認は見込み薄か
申請中の仮想通貨イーサリアム現物ETFの多くは5月に最終判断を迎える予定だが、多くのアナリストは承認の確率が低いと予測。背景には、イーサリアム財団への任意捜査で米SECがETHを有価証券に分類しようとしている点や、ビットコイン現物ETFが承認されてからまだそれほど時間が経っていない状況などがある。
07:10
ビットコインの機能を拡充する新提案が公開
仮想通貨ビットコインのブロックチェーン上でスマートコントラクトなどを実現する開発提案がBIP-420として公開。以前から関心を集めている提案の内容が改めて説明された。
06:35
バイナンスアプリの削除、フィリピン当局がアップルとグーグルに命令
フィリピンはバイナンスの顧客基盤における重要な構成国だが、同SECは2023年11月以降、バイナンスを投資に利用しないよう国民に積極的に警告していた。
05:50
エルサルバドルの国営ビットコインウォレット、ハッカーがコードを流出
今回の漏洩は、4月上旬に報告された510万人のサルバドル人の個人情報リークを含む、一連のChivoウォレット関連のハッキングに続くものだ。
04/23 火曜日
19:00
メゾンマルジェラ MetaTABI NFT発売
メゾンマルジェラがMetaTABI NFTを一般販売開始。デジタル専用設計のタビシューズはThe Fabricantとのコラボで、限定版タビブーツとレザーウォレットが付属。今後のWeb3ブランドイベントにも参加可能。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/24 11:30 ~ 13:30
その他 オンライン
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧