中国での個人認証とブロックチェーン

中国での個人認証とブロックチェーン

今日のデジタル社会において、私たちはオンライン、オフライン上のいたるところで、さまざまなサービスとアプリを通じて、新たな体験を得ています。デジタル空間上では、デジタルアイデンティティを活用することで、サービス提供者は利用者一人ひとりを識別した上で、利用者の属性に応じた最適なサービスの提供が可能となります。

一方で、データ漏洩によるプライバシー上のリスクも顕在化してきており、現在世界各国でデータ保護に関する規制強化の動きが出てきています。ブロックチェーンは、デジタルアイデンティティの信頼できる検証と認証のソリューションを提供する事ができます。

Research&Marketsの予測によると、グローバルブロックチェーンアイデンティティ管理市場は、2018年の9,040万ドルから2023年には19,299億ドルに成長し、予測期間中の年平均成長率は84.5%としています。
近年、テクノロジー企業によって開始されたデジタルアイデンティティプロジェクトは200を超えています。
中国においてもブロックチェーンの活用事例は急速に増えています。既に実用化されている事例も多く、中国政府もブロックチェーンを重要な技術として位置づけています。

今回は個人認証を活用した中国の取組みを紹介します。

禅城区人民政府(IMIデジタルIDプラットフォームをリリース)

2017年6月、仏山市禅城区人民政府はオープンプリンシパルとブロックチェーンテクノロジーに基づく分散型デジタルIDアプリケーションプラットフォーム「IDHub」と連携してIMIデジタルIDプラットフォームをリリースしました。
サービスマニュアルによると、スマホに「I Am Me」(IMI)ID認証プラットフォームをダウンロードするだけで、認証と承認を通じて、市民の関連情報が自動的に照合されます。公証人ページをクリックして必要な事項を選択し、個人情報を入力し、システムへ送信するだけで公証の申請ができます。

“办公证要跑好几趟”,这一认知正在被改写。广东佛山禅城区上线身份认证平台,市民只需在手机上下载平台、通过认证,市民信息即可自动匹配,再通过简单操作,就能办理20项公证,其中13项出证只需1小时。

重慶江北区公安(ブロックチェーン技術ベースのコミュニティ警察官名刺を発行)

2018年2月、重慶江北区各地区のコミュニティ警察官には、偽造防止のため、QRコードを備えたコミュニティ警察官スマート名刺が配備されました。 スマホで警察官スマート名刺の個人QRコードをスキャンすると、すぐに警察官の個人情報や所属する警察署が画面に表示されます。このソリューションは、ブロックチェーンに基づくID認証システムとWeChatに基づくスマート名刺管理ツールで構成されています。各警察官のスマート名刺はシステムで作成され、すべての名刺データがバックグラウンドに保存されており、不審者による偽造が困難です。

公安部 第三研究所(eIDデジタルIDチェーンを構築)

2018年5月、公安部第三研究所はeIDLedgerと連携して、eIDデジタルIDチェーンを構築することを発表しました。
eIDデジタルIDチェーンは、統一された個人IDとしてのeIDデジタルIDに基づいており、eID電子署名とブロックチェーン技術を組み合わせてあらゆる次元の個人データをリンクし、データ流通サービスプラットフォームを確立します。eIDは、「市民ネットワークID認識システム」によって市民に発行されるネットワーク電子IDサインで、ID情報を公開することなくオンラインで個人認証できます。

チャイナ・モバイル(宅配業界と宿泊業界に個人認証サービスを提供)

2018年9月、Huobi Chinaとチャイナ・モバイルを連携して、「聯核雲Identity Card Verification Platform」をリリースしました。これは、宅配業界と宿泊業界にユーザーID認証サービスを提供します。

宅配業界では、実名制ではないため、麻薬、可燃物、爆発物が宅配便に含まれることが多く、差出人を見つけるのは困難です。聯核雲プラットフォームにより、NFCを備えた読み取りデバイスが必要なだけで、インターネットと繋がり、低コストで効果的な個人認証を行うことができます。

宿泊業界においては、政府は安全を確保するためにホテルが宿泊客の身分証明書を確認し、個人情報を正確に登録する必要があることを規定しています。同プラットフォームが提供するソリューションに基づいて、ホテルの部屋がIDカード検証機能付きのスマートドアロックを使用すれば、フロントでの登録なしでオンライン予約やチェックインが可能です。また、指紋や顔認識技術と組み合わせて、個人認証もでき、「ルームカード代わりのIDカード」が実現できます。

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マカオ政府(マカオ住民にデジタルIDを提供)

2019年2月、WeBankとマカオ政府が大湾岸圏構想でブロックチェーンによるスマートシティー構築で提携しました。WeBankは、Tencentなどが共同設立した中国初の民営銀行&インターネットバンクです。
最初の協力プロジェクトはエンティティー識別認証と信頼できるデータ交換のソリューションであるWeIdentityを基礎に行われます。従来、機関や部局など組織間での個人情報のやりとりには多くの問題がありました。これをブロックチェーンに基づいたWeIdentityを用いて組織間の個人識別認証とデータ協力の面で安全で効率的なソリューションを提供し、マカオの電子行政サービスを技術支援します。

深セン市(ブロックチェーン電子証明書プラットフォームを開発)

2019年12月、深セン市はブロックチェーン電子証明書プラットフォーム「i深セン」の運用を始めると正式発表しました。深セン市民の身分証明書、戸籍簿など使用頻度の高い24種類の電子証明書をブロックチェーン上に保存し、市民が紙の証明書を取得する手間を省くとともに、プライバシーを保障します。「i深セン」に登録された身分証明書は、無犯罪記録証明の取得や出生届など100種類以上の行政手続きに利用が可能です。
このサービスで、これまで窓口を介して行われていた各種申請がオンラインで行えるようになるとの事です。

中国のデジタルIDや個人認証の応用には、行政サービスに多くの事例があります。デジタルIDおよび個人認証には、強力な担保機関、つまり政府のような強力な中央集権的な機関が必要なためです。ただし、流通しているデジタルID情報を確認または検証する時、ブロックチェーン技術の分散特性を十分に活用できます。
行政サービス以外に、公的サービス、民間サービスにもブロックチェーンベースのデジタルIDや個人認証技術の応用が期待されます。

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