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【事例】製造業×ブロックチェーン ~GE Aviationの取組み~

目次
  1. はじめに
  2. 品質管理のフレームワーク
  3. トレーサビリティ
  4. パートナーとのレベニューシェア
  5. まとめ

はじめに

GE・アビエーション( GE-Aviation )は、GE傘下の航空機エンジンを作る会社で、グローバルで60%ものシェアを持つ世界最大のエンジンメーカーです。 GEのヒット商品で「LEAPエンジン」という最先端技術を詰め込んだジェットエンジンがありますが、こういった商品の供給を安全に行うために、品質管理や製造プロセスの改善を行っています。

GEの躍進に貢献した「リーンシックスシグマ」という品質管理のフレームワークがあります。GEはこれをさらにを進化させるべくMicrosoft Azureブロックチェーンプラットフォームでの製品の導入を決めました。

本記事では、製造業に関わる企業がどのようにしてブロックチェーンを導入したのか、GEアビエーションを例に紹介します。

参考:GE Aviation, Microsoft develop supply chain blockchain for aircraft parts

品質管理のフレームワーク

製造業において、品質管理のフレームワークは時代とともに進化してきました。

例えばトヨタのリーン生産方式は、製造工程における「無駄」を減らし、多くの企業に影響を与えました。その後、 全ての工程で生産物や作業自体のバラツキを無くすことを目的とし、モトローラーによって開発されたシックスシグマという品質管理フレームワークの登場で、 アマゾン、フォード、ソニーなどの企業は大きく飛躍しました。

さらにリーン生産方式とシックスシグマを融合させたリーンシックスシグマがGEによって開発され、 ゼロックス、ハネウェル、デル、スリーエムなどの企業で採用されています。GEは次のステージとして、リーンシックスシグマにブロックチェーンを掛け合わせ、さらなる進化を目指しています。

まずは、その取り組みとして下記の二つの領域にブロックチェーンの適用を始めました。

トレーサビリティ

課題

商用航空機の60%が約5年でオーナーが変わると言われています。このように航空機は流動資産として考えられていますが、流動性の激しい製品、例えばジェットエンジンのような精密なパーツが必要な製品の場合、製品ごとの構成・パーツ・メンテナンス履歴の管理はとても大事な要素になってきます。

GEアビエーションが取り扱うようなエンジンは、定期的なメンテナンスが必須でそこにかかるコストもバカになりません。

解決方法

仕様パーツのロット管理やメンテナンスの詳細履歴など、もしそれらを厳密に管理することができれば、予備のパーツの在庫を減らせたり、不良パーツがあった場合の出どころを発見しやすくすることが可能になります。

ブロックチェーンの得意分野の一つとしてトレーサビリティが挙げられますが、Azure Blockchain Serviceを利用することで、Quorum(Ethereumからフォークした パーミッション型のブロックチェーン)を素早く構築し、トレーサビリティが容易な品質管理システムを作ります。Azure Blockchain Serviceの導入により、中古の航空機エンジンパーツのデータをセキュアに保つことも可能となっています。

また、TRUEngine LLP という寿命が決まっている中古パーツを評価する手法により、残存価値を最大50%アップするそうです。

▼「Quorum」についての詳細情報

許可型ブロックチェーンQuorumとは?事例&特徴を解説

パートナーとのレベニューシェア

課題

MTU Aero Engines はエンジンにおけるメンテナンス・修理・オーバーホールを行うリーディングカンパニーです。 GEアビエーションは、CF6とGE90というジェットエンジンにおいて、MTUとレベニューシェア・パートナーシップを締結しました。

異なる企業がパートナーシップを組んで事業を行い、レベニューシェアの分配を行う場合、お互いに調整しなくてはならないことが多くあります。

例えば、仕事に応じた支払いの分配はどうするか、細かい工程において手数料の取り分をどうするか、そういった調整でのいざこざは、企業の規模が大きくなればなるほど発生頻度が上昇します。

そういった調整には非常に時間がかかり、およそ$1000万のキャッシュが決済されずに宙ぶらりんになっているそうです。

解決方法

こういった問題を解決するために、お互いのワークフローを可視化し、説明責任を果たすことは、レベニューシェアを公平に推進する上で必要になってきます。これらを「改ざんが困難」「透明性の高い」という特徴を持ったブロックチェーンの導入によって完全に可視化し、調整に必要なコストダウンを図ります。

まとめ

航空機業界のプロセスは非常に複雑です。 安全かつスピーディーに供給を行うには、データの信頼性が求められ、既存のシステムでの実現は多くのハードルを越える必要があります。

今回のケースのように、データの信頼性や透明性が求められる環境下でこそ、ブロックチェーンの恩恵にあずかることができます。

GEアビエーションのプロジェクトはまだ始まったばかりですが、これが実現した場合、業界への大きなインパクトを与えることになります。GEをはじめとしたグローバルのリーディングカンパニーによる本気の取り組みに期待しています。

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