ビットコインの将来性と今後の見通し
ビットコイン(BTC、英語表記:Bitcoin)を含む暗号資産(仮想通貨)相場は8月中旬まで低迷が続いていました(8月17日時点:約63,000ドル台前後)が、8月19〜20日に米財務省の長期国債買い戻し枠倍増とトランプ大統領の追加ビットコイン購入検討発言が重なり、一時70,000ドル台まで急伸。好調の続く株式市場(半導体相場)への資金移動、ビットコインマイナー(採掘業者)や米ストラテジーの売り圧力などの影響で、直前まで過去最大級に懐疑的な声が増えていただけに、反発の持続性が注目されています。
一方で、業界有識者7名・機関アナリストの予測を独自に検証した結果、しばらく低迷が続く可能性はあるものの「今後も将来性がない」という結論に至る明確な根拠は見当たりませんでした。過去の相場サイクルから、現在は底値を探っているとの見方もあります。
2024年1月の米SEC(証券取引委員会)によるビットコインETF(上場投資信託)の承認以降、長期的な上昇を支える構造的な追い風は依然として健在です。米国の戦略的ビットコイン準備金(SBR)創設、州政府・企業のBTC備蓄拡大、機関投資家マネーの定着、そして米ドルの信用低下による代替資産需要の高まり。これら4つの要因が相互に作用しているためです。
- 現在の価格と相場の位置づけ(2026年8月24日時点・ATHから約39%調整中)
- 業界有識者7名の2026年末価格予想(平均$127,000・調査時点比+43%)
- 相場を支える5大ドライバー(SBR・ETF・ドル安・州政府備蓄・半減期)
- 海外機関・2030年長期シナリオ(ARK・Pantera・スタンダードチャータード)
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ビットコイン上昇を支える5つの注目材料
2025年3月、トランプ大統領が押収BTCを国家準備金に充当する大統領令に署名。米政府が国家として最大級のBTC保有者となった。2026年8月19日には、トランプ氏自身が「相当な規模」の新規ビットコイン購入検討に言及し、SECのポール・アトキンス委員長ら関係者の提言を踏まえて判断する考えを示した。
ブラックロックのIBITを筆頭に累計流入は数百億ドル規模。ただし2026年前半は利下げ期待後退でETFからの資金流出が優勢に転じる局面あり。中長期の機関参入基盤は維持。
ムーディーズの米国債格下げ(2025年5月)やドル覇権への懸念から、無国籍資産BTCへの代替需要が高まっている。
ニューハンプシャー・テキサスなど複数州が関連法を成立。ストラテジー(旧MicroStrategy)は約84.0万BTC前後を保有(2026年8月9日時点)し、企業備蓄の旗手として牽引。2026年5月以降、優先株配当支払い等の資金確保のため複数回の売却を実施しており、優先株(STRC等)の配当負担動向が注目されている。
2024年4月の第4回半減期(報酬3.125BTC)後の需給引き締まりが続く。次回2028年に向けたサプライ減少が中長期の上昇圧力となる。
トランプ大統領は8月19日、仮想通貨・技術業界の首脳をホワイトハウスに招いた会合で、議会にクラリティー法案可決に向けた次の段取りを進めるよう要求した。CFTCのマイク・セリグ委員長がハイパーリキッドの米国での合法的な展開に取り組んでいることも明らかにし、HYPEトークンは一時20%上昇した。
トランプ氏はまた、米国政府による追加のビットコイン購入検討にも言及。同日発表された米財務省の長期国債買い戻し枠倍増と相まって、ビットコインは一時70,000ドル台(6月2日以来の高値)まで急伸した。
詳細レポート:トランプ氏、クラリティー法成立を要求|ホワイトハウス会合
2017年に日本最大の暗号資産・Web3メディアCoinPostを創業。2023年よりグローバルカンファレンスWebXを立ち上げる。次世代テックを活用した福祉事業Wave3やWeb3特化の開発支援事業SUDACHI Techも展開。法人向け暗号資産(仮想通貨)アナリストとしても活動。
2025〜2026年のビットコイン相場を振り返る
2025年のビットコインは、過去最高値更新と大幅調整という両面を見せた激動の年でした。1月に仮想通貨に肯定的な第二次トランプ米政権が誕生したものの、4月には米中貿易摩擦に伴う乱高下を経験。10月には過去最高値12万6,272ドルを更新しましたが、その後、過去最大規模のフラッシュクラッシュが発生し、年末にかけて低迷が続きました。
トランプ政権発足。親暗号資産政策への期待で10万7,000ドルに上昇。
戦略備蓄施策の進展が遅れ、失望売りで7万7,000ドルまで下落。トランプ大統領、押収BTCを国家備蓄に充てる大統領令に署名(3月6日)。
米中貿易摩擦の激化で乱高下。ETFへの大規模資金流入(4月16日以降で約51億ドル)が相場を支える。
ムーディーズが米国債をAAA→Aa1に格下げ。ドル安観測でBTCへの資金流入加速、11万ドル台に上昇。
12万3,000ドル台に到達。金との相関係数+0.55へ上昇し、「準安全資産」化が鮮明に。
史上最高値12万6,272ドル(約1,890万円)を記録。ETF大量流入・ドル不信・米政府機関一部閉鎖が重なりリスクオフマネーが流入。
トランプ関税ショックやFRBの利下げ期待の後退などから大幅下落。史上最大規模のフラッシュクラッシュが発生し、11月には8万1,000ドルまで下落。2025年全体では陰線で終了。
約7万1,000ドル前後で推移。中東情勢の地政学リスクで株式・仮想通貨が下落するも、米イランの停戦合意で一時リスクオンが戻る局面も。
米雇用統計の強い結果による利下げ期待後退・Bitcoin ETFからの大規模継続資金流出(5〜6月合計で数十億ドル規模)・SpaceXなどAI・テック株への資金シフト・米イラン情勢によるインフレ懸念が重なり、6月上旬に$59,000台(7ヶ月ぶり安値)まで急落。7月には月間+7.5%程度の反発を見せ一時$66,900台まで回復する場面もあったが、8月に入り明確な上昇材料を欠き軟調な展開が続き、8月17日時点では約63,000ドル台前後で推移していた。
米財務省が長期国債の買い戻し枠上限を倍増(20億ドル→40億ドル)すると発表し長期金利が低下。同日、トランプ大統領がホワイトハウスで仮想通貨業界首脳との会合を開き、クラリティー法案の早期成立を要求したほか、CFTCのマイク・セリグ委員長がハイパーリキッドの米国合法化に取り組んでいると明言(HYPEトークンが一時20%上昇)。トランプ氏自身も「相当な規模」のビットコイン追加購入を検討していると言及した。これらが重なりビットコインは一時$70,000台(6月2日以来の高値)まで急伸し、暗号資産全体で24時間に約14億ドル規模(史上最大級)のショートポジションが清算された。8月20日時点では約69,000ドル前後で推移し、史上最高値からの調整幅は約45%まで縮小している。
米財務省の国債買い戻し拡大を背景としたドル安・金利低下が続き、8月21日に一時$79,000台(5月以来・約3ヶ月ぶりの高値)まで上昇(終値約$78,000前後)。以降は$77,000〜78,000ドル前後で推移し、8月24日時点では約$77,000前後、史上最高値からの調整幅は約39%まで縮小している。
- ETF大規模資金流出:5〜6月にかけてBlackRock IBIT・Fidelity FBTCを中心に記録的な連続純流出が継続。米国の利下げ期待後退(雇用統計の好調)により機関投資家がリスクオフに転じ、BTCを含むリスク資産全体を売却。
- SpaceXなどAI・テック株への資金シフト:2026年6月の巨額IPO(SpaceXなど)に投機的資金が集中。「ビットコインよりNasdaqが熱い」とのセンチメントが個人・機関双方に広がり、相対的な資金シフトが加速した。
- ビットコインマイナーの売り圧力:半減期後の採掘コスト上昇×低価格により、上場マイナー(Core Scientific・Riotなど)がBTC売却を増加。多くが電力資産をAIデータセンターへ転用しており、ハッシュレートの低下とともに継続的な供給圧力となっている。
※構造的な追い風(SBR・ETF長期基盤・ドル安・次回半減期)は依然として継続。短期の調整圧力が収束した後の回復シナリオが複数のアナリストから示されている。
HashHub Researchは、2026年第1四半期における上場マイナーのBTC売却量が約32,000 BTC超と過去最大規模(Strategy社の32 BTCの約1,000倍)に達したと指摘しています。AI・HPCデータセンターへの転換に伴う債務圧力が「恒常的な換金売り」を「保有の取り崩し売り」に変えつつあると分析。構造的売り手として注視すべきはDAT企業よりもマイナーであると結論付けています。
詳細レポート:構造的売り手の主役は、DAT企業だけではない|HashHub Researchビットコインに将来性はないと言われる理由と反証
「将来性がない」という見方も一部で聞かれますが、事実関係を確認すると、単純に肯定も否定もできない論点が多いのが実情です。実際のデータに照らして検証していきます。
「将来性がない」とされる主な論点
検索や議論の場でよく見られる論点は主に3つです。①ボラティリティが大きく資産として不安定、②本源的価値の裏付けがなく将来的に無価値化する可能性がある、③規制強化や大口保有者の売却で暴落するリスクがある、というものです。
論点ごとに現状のデータで確認する
- ボラティリティについて:2025年は史上最高値12万6,272ドル(10月6日)から年末には8万1,000ドル台まで、約36%の下落を経験しました。一方で、2025年7〜8月にはBTC–Gold相関係数が+0.55まで上昇し、株式市場との連動よりも「準安全資産」的な値動きが観測される局面もありました。ボラティリティの大きさ自体は事実ですが、値動きの性質は固定的ではありません。
- 本源的価値の裏付けについて:2024年1月の米SECによる現物ETF承認以降、ブラックロックのIBITをはじめ機関投資家による継続的な資金流入があり、供給上限2,100万枚という設計が「デジタル金」としての位置づけを後押ししています。ただし、この評価軸自体に懐疑的な見方(本源的価値がないとする立場)が根強く存在することも事実であり、投資判断はこの点を踏まえて行う必要があります。
- 暴落リスクについて:2025年11〜12月には史上最大規模のフラッシュクラッシュが発生し、8万1,000ドルまで急落しました。上場マイナーの売り圧力(2026年第1四半期に約32,000BTC超)やStrategy社の優先株配当対応による売却など、供給側の構造的な売り圧力は現在も存在します。「暴落は起きない」とは言えず、リスクとして正しく認識する必要があります。
下落局面ではどこまで下がる可能性があるか|過去の下落幅
過去の主な下落幅を振り返ると、2025年10月のATH(12万6,272ドル)から2025年11月には8万1,000ドル台まで約36%下落しました。2026年に入ってからも、6月上旬には7万1,000ドル台から5万9,000ドル台まで急落する局面がありました(7ヶ月ぶり安値)。過去の下落率を機械的に将来へ当てはめることはできませんが、暗号資産は短期間で3〜4割規模の調整が起こり得る資産クラスである点は、投資判断において前提として持っておく必要があります。
ビットコインはなぜ上がるのか|価格が動く仕組み
前章で見た通り、ビットコインには短期的な調整局面が存在する一方、長期的な上昇を支える構造的な要因も指摘されています。ここでは価格が上がるとされる根拠を、需給・制度・マクロ経済の3つの観点から整理します。
上昇要因|需給・制度・マクロの3つから見る
2025年5月16日、ムーディーズが米国債をAAA→Aa1に格下げし、三大格付け機関すべてで最上位格を失う事態となりました。10年債利回りが4.5%近辺に上昇し、ドル安観測が一気に拡大。S&Pが2011年に「AA+」へ格下げ、フィッチが2023年8月に「AA+」へ格下げしており、ムーディーズの格下げで三大格付け機関すべてが最上位格を失う歴史的局面となりました。無国籍資産であるビットコインや金への資金シフトが加速しています。
2025年7〜8月にかけてBTC–Gold相関 +0.55、BTC–S&P500相関 0.44まで乖離が拡大し、「株と連動するリスク資産」から「金に近い逃避先」への転換が市場で意識されるようになりました。ブラックロックは2025年2月公表のモデルポートフォリオで、IBIT(iシェアーズ・ビットコイン・トラストETF)を1〜2%組み入れる方針を示し、「ごく少量でも分散効果が大きい」とその意義を強調しました。
2025年3月6日、トランプ大統領が押収済みBTCを国家戦略準備金に充当する大統領令に署名。米政府の保有量は、政権側の見積もりで約20万BTC(David Sacks氏、2025年3月時点。完全監査は未実施)とされる一方、オンチェーン追跡では約32万BTC超との数字も報じられており、国家としては最大級のBTC保有者の一角を占めています。
州政府サイド
- ニューハンプシャー州:公的資金最大5%でデジタル資産を取得可能とするHB302が成立(2025/5/7)。
- アリゾナ州:「州ビットコイン準備金口座」を創設するHB2749が成立(2025/5/13)。
- テキサス州:州戦略的ビットコイン準備金設立のSB21が可決・成立(2025/5月末)。
- オクラホマ州:州年金基金でのBTC投資を許可するHB1203が下院通過(2025/3/25)。
企業サイド
- ストラテジー(旧マイクロストラテジー):約84.0万BTC前後を保有(2026年8月9日時点、840,447 BTC)。6月末のピーク約84.6万〜84.7万BTCから、優先株(STRC等)の配当支払いや自社株買いの原資確保のため、7〜8月にかけて複数回の売却を実施(例:7月初旬約2,225BTC、7月末〜8月初旬約1,638BTC、8月3〜9日約1,690BTCなど)。平均取得コストは約7.5万ドル前後とされ、現在価格では含み損の状態。依然として世界最大の企業BTC保有者。
- メタプラネット:当初の2026年末21,000 BTC目標を大幅に超過し、2026年半ば時点で約4万BTC超を保有。その後も目標を引き上げ、国内最大のBTC保有企業として備蓄を継続拡大中。
- ムバダラ投資公社(アブダビ):BTC ETF保有額が750億円を突破。
HashHub Researchは、Strategy社の今後を3シナリオで分析しています。執筆時点ではソフトランディング・ハードランディングがそれぞれ40%と拮抗しており、同社が「構造的買い手から構造的売り手」へ転じるリスクを詳細に検討しています。ビットコイン価格が60,000ドルを明確に下回った場合の逆回転メカニズム(MSTR株下落→優先株下落→BTC売却増→さらなる価格下落)についても解説しています。
詳細レポート:逆回転リスクが高まるストラテジー社の今後についてシナリオ別予想|HashHub ResearchWebX2025では「アメリカのビットコイン準備金:最前線の動向と実態」をテーマにセッションが行われ、JAN3のCEO・サムソン・モウ氏とビットコイン政策研究所共同創設者のデイヴィッド・ゼル氏が登壇しました。
ゼル氏は「ビットコインは世界秩序の変化に対する適切な価格の保険」と定義し、モウ氏はパキスタン・フィリピンなど追従国の動きを示しながら、「各国が重要な規模のビットコイン準備金を蓄積できるタイムラインは日々短くなっており、おそらく1年程度しか残されていない」と警告しました。
詳細レポート:アメリカのビットコイン準備金:最前線の動向と実態|WebX2025国家・政府による需給
米国政府は現在どれだけビットコインを保有しているか
米国政府は2026年前半時点で約328,372BTC(約250〜255億ドル相当)を保有しており、国家としては世界最大の保有主体とされています。これらは主に犯罪捜査に伴う没収資産で構成され、2025年3月6日の大統領令により、財務省が恒久的な国家準備金として集約・管理する仕組みが設けられました。ただし保有量は固定ではなく、過去には裁判所命令に基づく売却も実施されています。
ARMA法案(H.R.8957)が目指す内容
2026年5月21日、Nick Begich下院議員(アラスカ州)が、Jared Golden下院議員(メイン州)を共同提案者として提出した「American Reserve Modernization Act of 2026」(ARMA、H.R.8957)は、財務省内に戦略的ビットコイン準備金を新設し、既存の押収資産を恒久的に管理する枠組みを法制化する法案です。あわせて最大100万BTCの追加取得を目指す方針も報じられていますが、これは義務ではなく、法案自体は財源を含めた実現可能性の研究(予算中立策の検討)を財務省・商務省に義務付ける内容にとどまります。検討対象にはFRB保有金証書の時価再評価による評価益も含まれますが、これは複数ある検討案の一つであり、財源が確定しているわけではありません。
※共同提案者はGovTrack調べで計23名、うち22名が共和党、民主党はGolden議員1名のみです。超党派ではあるものの、実態としては共和党主導の法案である点にご留意ください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法案名 | American Reserve Modernization Act of 2026(H.R.8957) |
| 提出日 | 2026年5月21日 |
| 提出者 | Nick Begich下院議員(アラスカ州)/共同提案:Jared Golden下院議員(メイン州)ほか計23名(共和党22名・民主党1名) |
| 取得目標(報道ベース) | 最大100万BTC(5年間)※法案は取得の義務付けではなく実現可能性の研究を規定 |
| 保有義務期間 | 最低20年間(売却・交換・担保設定禁止)。20年経過後は2年ごとに最大10%の売却提案が可能 |
| 財源 | 予算中立での取得策を研究中(FRB金証書再評価・没収資産・関税収入等、複数案の一つ) |
| 透明性措置 | 四半期ごとのProof of Reserve報告、第三者による独立監査 |
| 審議状況 | 下院金融サービス委員会に付託(2026年8月時点で審議入りの記録なし) |
| 成立可能性(統計モデル予測) | GovTrackによる推定4%(2026年8月21日時点) |
「20年間売却禁止」が需給に与える意味
ARMA法案は、準備金に保管されたビットコインについて、取得方法を問わず最低20年間の売却・スワップ・オークション・担保設定を禁止する条項を設けています。20年経過後は、2年ごとに最大10%の売却を財務長官が議会に提案できる仕組みがあり、無期限の禁止ではありません。この規定が実際に成立・施行された場合、既存の保有分(約328,372BTC)が長期間市場に出回らなくなるという見方があります。
法案の現在地と成立可能性
ARMA法案は2026年5月21日に下院へ提出され、下院金融サービス委員会に付託されましたが、2026年8月時点で審議入りの記録はありません。GovTrackの統計モデルによる成立可能性の推定値は4%(2026年8月21日時点)と低く出ています。楽観論として、大統領デジタル資産諮問委員会のPatrick Witt氏が本法案を「BITCOIN法案のバージョン2」と評価している一方、財務省と商務省の間で資産管理の所管を巡る省庁間の摩擦が実装の遅れを招いているとも報じられています。成立を前提とした価格予測はできません。
上がらない・停滞する局面で何が起きているか
ここまで見てきたドル安・安全資産化・州政府や企業の備蓄拡大、国家準備金といった上昇要因が存在していても、短期的には上値が重くなる局面があります。2026年6月〜8月中旬は、米雇用統計の強さによる利下げ期待の後退、ビットコインETFからの継続的な資金流出、AI・半導体株への資金シフトという3つの逆風が重なり、$59,000台まで下落しました(詳細は前章「2025〜2026年のビットコイン相場を振り返る」参照)。上昇要因が構造的に存在することと、短期的に価格が停滞・下落することは矛盾しません。
いつ上がるのかは予測できるのか
「次にいつ上がるか」を正確に当てることは、有識者・機関アナリストの間でも意見が分かれています(本ページ後半の「有識者7名の2026年末予想」「海外機関の見通し」を参照)。半減期サイクルや金融政策の転換点は判断材料になりますが、地政学リスクや規制動向など予測不能な要因も価格に影響するため、単一の時期を断定する予測は避けるべきです。
ビットコイン価格予測:機関・アナリスト(2026年8月更新)
| 予測機関・アナリスト | 予測価格 | 予測時期 | 主な根拠 |
|---|---|---|---|
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$740,000 | 2028年4月 | 年複利成長率88%継続。世界金融資産500兆ドルの一部流入でも非現実的でないと主張 |
WebX2025のオープニングセッションに登壇したアーサー・ヘイズ氏(Maelstrom CIO)は、ステーブルコイン供給が10兆ドルに達しFF金利が2%まで低下するシナリオを前提に、「現在の強気相場サイクルは2028年まで継続する」と明言しました。
ヘイズ氏は米国政府がステーブルコインを国家政策として推進する構造的理由を解説し、これがDeFiへの大規模資金流入とBTC上昇の持続につながると述べています。
詳細レポート:「強気相場は2028年まで継続」アーサー・ヘイズがその理由を語る|WebX2025ARKの2030年 3つのシナリオ詳細
- 弱気($300,000):世界金融資産の浸透率1%想定。機関採用は限定的。
- 基本($710,000):浸透率2.5%。「デジタル金」需要が主要ドライバー。
- 強気($1,500,000):浸透率6.5%。金のシェア(3.6%)を上回る採用が実現するシナリオ。トランプ政権の親暗号資産政策と州・企業の備蓄拡大が鍵。
Pantera Capitalのダン・モアヘッド氏は、発言当時(7万ドル台)の時点でも「まだ割安だ」と強調しました。①インフレとドル価値の低下、②親暗号資産政策、③機関投資家マネーの本格流入の3点を追い風に、長期強気トレンドは継続するとの見解を示しています。
ビットコインは5年後・10年後にどうなるか|長期シナリオ
5年後・10年後の価格を断定することはできませんが、主要機関が示している長期シナリオを参考値として整理します。
5年後(2031年前後)の想定レンジ
直接「2031年」を対象とした予測は確認できていませんが、最も近い時期の機関予測としてARK Investmentの2030年シナリオがあります。弱気$300,000(世界金融資産浸透率1%)・基本$710,000(浸透率2.5%)・強気$1,500,000(浸透率6.5%、金のシェアを上回る採用が実現するシナリオ)の3パターンが示されています(詳細は前章参照)。
10年後(2036年前後)の想定レンジ
2026年8月時点で、2036年前後を対象とした具体的な機関予測は確認できていません。最も長期のARK Investmentの2030年シナリオ(30万〜150万ドル)が前提とする機関資金の流入・準備金としての採用拡大・供給上限2,100万枚という構造は2030年以降も変わらないため、方向性を左右する軸は続くと考えられます。ただし10年先となると規制やマクロ環境の変化幅が大きく、具体的な価格レンジを示せる材料は現時点では限られています。
有識者7名の2026年末予想
WebX2026の「トップアナリストと語るビットコイン相場展望」セッション(CRYLステージ)では、仮想NISHI氏・長谷川友哉氏(ビットバンク)・松嶋真倫氏(マネックス証券)の3名が2026年末価格を予想。3名の見立ては5万ドル(仮想NISHI氏)・8万ドル(長谷川氏)・6万ドル(松嶋氏)と三様に分かれ、下表の2025年末調査予想(平均127,000ドル)から大幅に下方修正された形となった。
共通の下押し材料として、利上げ観測の再浮上・OpenAI/AnthropicなどAI大型IPOへの資金シフト・ビットコインETFからの継続資金流出・オンチェーン上のリテール離れ(短期保有枚数が歴史的最低水準)が挙げられた。一方で長谷川氏はオンチェーン指標の「売られすぎ」水準と財政懸念の再浮上を根拠に強気の8万ドルを示し、松嶋氏はAI・半導体セクターの調整が対ビットコインの資金回帰につながると見た。
詳細レポート:トップアナリストと語るビットコイン相場展望|WebX20262025年末の調整局面を経て、2026年のビットコインはどこへ向かうのか。業界を代表するアナリスト・トレーダー7名の価格予想と根拠をまとめた。(※予想タイミングは、2025年12月末時点)
| 回答者 | 予想価格 (2026年末) |
理由・コメント |
|---|---|---|
仮想NISHI X-Bank 専務取締役 暗号資産アナリスト |
$150,000 | 法整備が進み機関投資家の参入障壁が下がるうえ、FRBの金融緩和政策、ステーブルコイン拡大が市場の基礎流動性を押し上げる。実需と投資が同時に回り、相乗効果を生みやすくなる。 |
Joe Takayama 投資系YouTuber 外資系金融機関出身 |
$120,000 | 市場からの資金流出により回復には時間がかかる。証券のトークン化によるオンチェーン上の資金量増加の可能性はある。株式市場の底堅さが続く恩恵を受けて、ビットコインにも徐々に資金が戻ると予想。 |
長谷川友哉 ビットバンク 暗号資産アナリスト |
$120,000〜 $150,000 |
FRBのバランスシート拡大と米TGA(政府預金口座)の取り崩しによる流動性供給が追い風。史上最高値を更新すれば「半減期サイクル崩壊」で上昇が加速し、20万ドルも射程圏内。ただし年後半は米中間選挙とFRBの政策転換がリスク。 |
東晃慈 Diamond Hands 代表 Blockstream Japan リード |
$100,000(約1,500万円) | 機関投資家の影響力拡大により、以前ほどのボラティリティや爆発力は見られなくなっている。前半は軟調が続き後半に小幅上昇、年間を通じ横ばいに近いイメージ。DAT(暗号資産トレジャリー企業)の破綻リスクやマクロ悪化が重なれば、1,000万円(約64,000ドル)を割るシナリオも。 |
ひろぴー トレーダー 暗号資産アナリスト |
$50,000〜 $110,000 |
2025年Q4の影響が色濃く、2026年Q1も軟調で下値が拡大。その後200日移動平均線付近まで回復しつつも反落し、9〜10月ごろボトムアウト後に年末にかけて回復する展開を予想。世界経済は再インフレに突入し、各国が利下げを実行しにくい状況が続くと見る。 |
松嶋真倫 マネックス証券 暗号資産アナリスト |
$180,000 | 金融緩和継続・金融機関の本格参入・機関・企業需要の持続が流動性と需給を支え、年内最高値更新を予想。国家需要が顕在化すれば20万ドルも視野。一方、米中間選挙の不透明感・インフレ再燃・AI半導体バブル崩壊・DATの統廃合が重なれば想定以上の下落も。 |
ヨーロピアン トレーダー |
$98,000 | 半減期サイクルによる調整が意識されるものの、景気減速に合わせた金融緩和がサポート。長期個人ホルダーの売りをETF等の資金が吸収する構図は継続し、YTDで小幅プラスに落ち着く。節目10万ドルが強く意識され、センターピンは9万8,000ドル。 |
※五十音順、敬称略。予想は2025年12月下旬時点での個人的見解であり、投資助言ではありません。
予想の分析:コンセンサスは「約40%上昇」
7名の平均予想は約127,000ドルで、調査時点(2025年12月末)の約89,000ドルから約43%の上昇を見込む計算となった。最も強気な松嶋氏は18万ドル、最も慎重なひろぴー氏は5万〜11万ドルと予想には開きがある。
FRBの金融緩和継続と機関投資家の本格参入が鍵。松嶋氏は金融機関・機関・企業需要の持続が需給を支えると指摘し、国家需要が顕在化すれば20万ドルも視野。長谷川氏はFRBバランスシートの拡大とTGA取り崩しによる流動性供給に注目し、最高値更新すれば「半減期サイクル崩壊」で上昇が加速し20万ドルも射程圏内と予想した。
ひろぴー氏は世界経済の再インフレ突入で各国が利下げを実行しにくい状況が続くと指摘。2026年前半は軟調で9〜10月にボトムアウト後、年末にかけて回復するシナリオを提示。東氏は機関投資家の影響力拡大で爆発力がなくなったと分析し、DATの破綻リスクとマクロ悪化が重なれば約64,000ドルを割るシナリオも排除できないと警鐘を鳴らした。
複数の回答者が共通して挙げたリスクは2026年後半に集中している。松嶋氏と長谷川氏は米中間選挙の不透明感を共通のリスク要因として挙げており、FRBの政策転換やAI半導体ブームの反動、DATの統廃合も視野に入れる。
海外機関の見通し
国内アナリストの予想と同様に、海外の主要機関・著名人も2026年の市場見通しで強気派と慎重派に分かれている。共通して注視されているのは、①米国の利下げペースと金融政策の動向、②機関投資家の参入スピード、③各国の規制環境の整備状況、④地政学的リスクの4点だ。
- ファンドストラット・ショーン・ファレル氏:2026年前半に仮想通貨市場が大幅下落すると予想。ビットコインの目標価格を6〜6.5万ドルに設定。
- フィデリティ・ジュリアン・ティマー氏:ビットコインの4年サイクルにおける強気局面が終わる可能性を指摘。2026年は調整の年になり得るとし、サポートラインは6.5〜7.5万ドルと予測。
- ファンドストラット・トム・リー氏:ビットコインが数カ月以内に25万ドルに達するとの強気予想。RWA(現実資産)のトークン化がイーサリアムを中心に市場全体を押し上げるとの見方も示した。
- グレースケール:最新レポートで4年周期理論が現在の市場には当てはまらないと主張。ETPやDATからの資金流入増加による構造変化を根拠に、2026年新高値更新の可能性を分析。
- ビットワイズ・マット・ホーガンCIO:機関投資家の参入により従来のサイクルパターンが崩れると予想。構造的な需給変化を強気見通しの根拠とする。
特に日本においては、金商法への移行や税制改正の進展が国内投資家の動向を左右する要因として注視されている。申告分離課税の導入が実現すれば、国内からの新規資金流入も期待できる。2026年のビットコイン市場でも従来のサイクル論が通用するのか、それとも新たな市場構造へと移行するのか、引き続き注目を集めることになりそうだ。
強気な予想が多い一方で、リスクを指摘する声もあるんだね。結局、今のタイミングってどうなんだろう?
コインちゃん
各務 貴仁
CoinPost CEO
金融政策や規制、企業の動向など、価格に影響する要素は多く、将来の正確な価格を予測するのは難しいんだ。始め方の一つとして、少額から口座を開設して様子を見るという選択肢もあるよ。 Coincheckなら500円から購入できるし、SBI VCトレードなら入出金手数料が無料だから気軽に始めやすいよ。
ビットコインは過去に何倍になったか|実績で見る
参入タイミングを検討するうえで、過去にビットコインを保有していた場合にどれだけの値動きがあったかを確認しておきます。以下は将来のリターンを示唆するものではなく、過去の値動きの記録です。
5年前・10年前に買っていた場合の推移
| 購入時期 | 当時の価格帯目安 | 2026年8月24日時点(約$77,000前後)との比較 |
|---|---|---|
| 10年前(2016年8月頃) | 約$580〜600 | 約128〜133倍 |
| 5年前(2021年8月頃) | 約$45,000〜49,000 | 約1.6〜1.7倍 |
※価格帯は当時の月間平均値を目安として記載。
主要な上昇局面と下落局面の倍率
- 2020年3月→2021年11月:コロナショック安値(約$3,800〜5,000台、代表値約$4,000台)から史上最高値(当時約$69,000)まで、約17倍の上昇局面。
- 2021年11月→2022年11月:史上最高値から約$16,000台まで、約−77%の下落局面。
- 2024年1月→2025年10月:現物ETF承認(2024年1月10日)直後の水準(約$47,000前後)から史上最高値12万6,272ドルまで、約2.6〜2.7倍の上昇局面。
- 2025年10月→2025年11月:史上最高値から約8万1,000ドルまで、約−36%の下落局面(本記事で既出のデータ)。
ビットコインは今から買っても遅い?参入タイミングの考え方
市場参加者が参入タイミングを検討する際に参考にしている代表的な指標を紹介します。単一の指標だけで「買い時」を断定できるものではなく、複数の材料を組み合わせて判断されている点に留意してください。
「今から始めるのは遅い」と言われる理由と、実際のデータ
「今から遅いのでは」という声の背景には、主に過去の高値圏での参入への警戒があります。実際のデータで確認すると、2025年10月6日の史上最高値12万6,272ドルで購入した場合、2025年11月には約8万1,000ドル(約36%下落)まで含み損を抱える局面がありました。一方で、2026年8月24日時点の価格(約77,000ドル前後)はATHから約39%低い水準にあり、過去に高値掴みとなった参入時期と現在の水準は同一ではありません。
ビットコインの買い時はいつか|判断に使われる代表的な指標
- 史上最高値からの下落率:2026年8月24日時点で、2025年10月6日のATH(12万6,272ドル)からの調整幅は約39%です。過去の主要な調整局面(2025年11月:約36%下落)と比較する見方があります。
- 移動平均線:200日移動平均線からの乖離幅を参考にするトレーダーが多く、2026年前半は同水準への回帰・反落を繰り返す展開が見られました(詳細は「有識者7名の2026年末予想」内、ひろぴー氏のコメント参照)。
- ETF資金フロー:ブラックロックIBIT等への純流入・純流出は需給の先行指標として注目されます。2026年5〜6月は記録的な純流出が続いた一方、これを底値圏のシグナルとする見方もあります。
ビットコインはいくらから買えるか|最低購入額の目安
国内主要取引所では500円〜1,000円程度の少額から購入できます。まとまった資金を一度に投じるのではなく、少額から定期的に購入する方法(ドルコスト平均法)を選ぶ投資家も多くいます。具体的な購入手順や取引所ごとの最低購入額は「ビットコインの買い方|おすすめ取引所と購入手順」で解説しています。
よくある質問(FAQ)
ビットコインの現在の価格はいくらですか?
ビットコインの2025年の最高値はいくらでしたか?
ビットコインはなぜ今後上がると言われているのですか?
ビットコインETFとは何ですか?
ビットコインに投資するリスクはありますか?
米国政府はビットコインを何枚保有していますか?
ARMA法案(アメリカ準備金近代化法)とは何ですか?
ARMA法案が成立するとビットコイン価格はどうなりますか?
関連ガイド
⚠️ 投資前に確認したい方へ
ビットコインと仮想通貨市場全体の今後
ビットコインの動向は、イーサリアムやソラナなど他の主要暗号資産の相場にも連動する傾向があります。2024年のETF承認以降、機関投資家マネーの流入先はビットコインからアルトコインへも広がりつつあり、市場全体の時価総額・資金循環という観点でも注目が集まっています。特にステーブルコイン供給量の拡大やDeFi・RWA(現物資産のトークン化)分野への資金流入は、ビットコイン単体の値動きだけでは説明できない市場全体の構造変化として近年注目されています。仮想通貨市場全体の将来性やリスクについては、下記の関連ページもあわせてご覧ください。
まとめ
2026年8月24日時点のビットコイン(BTC)相場まとめ:
- 現在価格は約77,000ドル前後(約1,220万円)(2026年8月24日時点)。米財務省の長期国債買い戻し枠倍増とトランプ大統領の追加BTC購入検討発言を受けた8月19〜21日の急伸で、一時79,000ドル台(5月以来・約3ヶ月ぶりの高値)まで上昇。2025年10月の史上最高値126,272ドルからの調整幅は約39%まで縮小した。ただし急騰は短期的な材料に起因するため、上昇の持続性は不透明。
- 米国の戦略的BTC準備金・ETFへの機関資金・ドル安・企業備蓄という4つの構造的追い風は継続。
- 業界有識者7名の平均予想は2026年末約127,000ドル(約43%上昇)。強気派と慎重派で大きく見解が分かれる。
- 主要機関は2028〜2030年に向けて$50万〜$150万という強気見通しを維持。
- 次回半減期(2028年予定)に向けた需給引き締まりが中長期の上昇圧力となりうる。
日本の投資家にとって注目すべきは税制改正の議論です。現物取引の最高55%から、ETF並みの20%申告分離課税への移行が検討されており、実現すれば国内市場は大きく変わる可能性があります。
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