
ARKの大胆予測
米ヘッジファンド大手のARK Investmentは24日公開の最新の「Big Ideas 2025」レポートで、ビットコイン(BTC)が2030年までに3つのシナリオで30万ドルから150万ドルに達する可能性があると予測した。同社の分析によると、弱気シナリオで約30万ドル、基本シナリオで約71万ドル、強気シナリオでは約150万ドルのビットコイン価格を見込んでいる。

出典:ARK
この価格予測は、機関投資家からの資金流入、デジタルゴールドとしての採用、新興市場での価値保存手段としての需要、国家・企業の財務戦略としての組み込み、オンチェーン金融サービスの成長など複数の要因に基づいている。ARKはビットコインの供給が2030年までに約2,050万BTCに達する見込みのもと、各要因の市場浸透率を分析した。
デジタルゴールドとしての貢献が弱気・基本シナリオで最大(それぞれ57.8%と48.6%)を占める一方、強気シナリオでは機関投資が43.4%と最も大きな貢献要因となる。グローバル市場ポートフォリオ(金を除く)の2030年予測価値は約200兆ドルとされ、弱気ケースでは1%、基本ケースでは2.5%、強気ケースでは6.5%の浸透率を前提としている。

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新興市場におけるビットコイン採用もカギとなり、その潜在市場は約68兆ドルと推定される。これは特に自国通貨の価値下落から資産を保護したい投資家にとって重要だ。一方、国家戦略準備金としては、エルサルバドルとブータンが先駆者だが、米国を含む他国も追随する可能性がある。企業財務戦略では、ストラテジー社の成功例に倣い現在74社が550億ドル相当のビットコインを保有しており、さらなる浸透が期待される。

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ARKの分析によると、これらの予測はビットコインの採用率と各要因の成長が計画通りに進むことを前提としており、実現しない場合は価格目標に到達しない可能性もある。特に強気シナリオでは、金(ゴールド)の現在のシェアである3.6%を大きく上回る6.5%の浸透率が想定されている。
さらに同社は、2024年末時点では、企業の仮想通貨保有や国家戦略準備金、オンチェーン金融サービスの貢献は比較的小さいものの、今後6年間でその影響力が増すと予測。ARKは特にライトニングネットワークなどのレイヤー2ソリューションを中心としたオンチェーン金融サービス(ビットコインのDeFi)について、年間40%の成長率を現実的な見通しとしている。
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今回の「Big Ideas 2025」レポートによれば、ビットコイン価格変動の主要因となるのは、機関投資家の参入と「デジタルゴールド」としての地位確立だ。特に強気シナリオでは機関投資の影響力が最も大きく、一方で弱気・基本シナリオではデジタルゴールドとしての役割が支配的となるという。
もう一つの予測モデル(アクティブ供給への仮定)
ARKの「Big Ideas 2025」レポートには含まれていないが、他の実験的なモデリング手法ではビットコインの価格を2030年に予測する方法も存在すると言及されている。1つの手法は、ビットコインのオンチェーン透明性を活用して、ビットコインの流動供給(アクティブ供給)を推定するものである。これは失われたBTCや長期間保持されたBTCを割引することで試算される。
具体的にはアクティブ供給は2030年のビットコイン供給予測に「活性度」を測る指標を掛け合わせて計算。この活性度は、ビットコインが時間をかけて移動した割合を0%から100%まで示す。ビットコインネットワークの活性度は2018年初頭から60%近くを維持しており、この規模の活性度は供給の約40%が「保管」されていることを示唆している。
以下のチャートに示すように、ARKは2030年までにアクティブ供給が60%に達するという仮定を基に、アクティブ供給とネットワークの活性度を考慮した価格目標を導き出した。これにより、強気ケースのビットコイン価格予測は、ベースモデルの150万ドルよりも約40%高くなり、約240万ドルに達すると見込んでいる。

出典:ARK