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ビットコイン地政学リスクで上値重く、中東情勢収束が反発の鍵か|bitbankアナリスト寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

今週の週次レポート

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。


目次
  1. ビットコイン・オンチェーンデータ
  2. bitbank寄稿

ビットコイン・オンチェーンデータ

BTC取引数

BTC取引数(月次)

アクティブアドレス数

アクティブアドレス数(月次)

BTCマイニングプールの送金先

取引所・その他サービス

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

今週の週次レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円相場は、地政学リスクとエネルギー情勢に翻弄されながらも、確りとした推移となっており、6日正午時点で、1120万円台で推移している。

週明け2日から1100万円近辺まで上昇する場面が見られたが、原油価格の上昇を背景としたインフレ懸念の高まりが意識され、米金利の上昇圧力が強まったことで上値は抑えられた。その後、相場はやや軟調地合いとなり、3日の欧州時間には1050万円台まで下落した。

しかし、3日の米国時間になると、トランプ米大統領がホルムズ海峡を通過するタンカーの補償と護衛を発表したほか、米国の暗号資産(仮想通貨)規制を巡るクラリティ法案について、トランプ氏が銀行業界を猛批判したことで、BTCは反発し、1080万円台を回復した。

さらに4日には、イラン国内で現物仮想通貨の出金が加速しているとの報道や、イラン側が停戦協議を模索していたとニューヨークタイムズが報じ、逃避需要や中東情勢の早期収束期待が市場に広がった。これを受けてリスク資産全般が上昇し、BTCも強含み、1120万円台へと上昇した。

加えて、米国株式市場の上昇や、米クラーケンがFRBのマスター口座を取得したとの報道が伝わると、BTCは上昇基調を維持し、米国時間には1150万円台まで値を伸ばした。

尤も、5日以降は再び地政学リスクが市場の重石となった。ペルシャ湾で米タンカーが攻撃を受け炎上したとの報道や、イランによる報復攻撃が周辺国のエネルギー施設へ拡大したとの観測が広がると、原油価格が上昇。これに伴いインフレ再燃への警戒が高まり、BTCは1120万円台前後へとやや押し戻されている。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbankより作成

足元の金融市場で最も注目されているのは、米国とイランの軍事衝突の行方である。一時は停戦協議の可能性が報じられたことで市場には早期収束期待が広がったが、足元ではイランによる報復攻撃が周辺国のエネルギー施設に波及していると報じられており、この期待はやや後退しつつある。

問題は、この衝突がエネルギー供給網にどの程度の影響を与えるかである。原油価格の上昇は世界的なインフレ圧力を強める可能性があり、米国債利回り上昇はこうした懸念を反映していると言える。

仮にエネルギー価格の上昇が長期化すれば、FRBによる利下げ再開時期が後ろ倒しとなる可能性があり、今週、FF金利先物市場では6月の利下げ期待が大幅に後退した。一部では利上げの可能性すら意識され始めており、これはリスク資産にとって逆風となり得る。

尤も、軍事的なパワーバランスを考慮すれば、長期的には米国が優勢との見方が根強いように窺える。その意味で、市場の焦点は戦況そのものよりも、エネルギー供給網がいつ正常化するかという点に移りつつあると言えよう。

また、目先では2月の米雇用統計に警戒が必要である。市場では、1月から雇用者数が減少することが見込まれており、通常であれば金融緩和期待からBTCには支援材料となりやすい。

しかし、現在の市場はエネルギー価格上昇によるインフレ再燃リスクに強く反応している。そのため、雇用が強い場合はインフレ懸念と相まって利下げ後退観測が強まり、BTCにはマイナスとなる可能性がある。一方、雇用が弱い場合でも、エネルギー供給懸念の解消にはつながりにくいと考えられる。

以上に鑑みて、BTCは引き続き地政学リスクの影響を強く受ける局面が続くと言える。特に、米イランの衝突拡大、原油価格の上昇、それに伴う米金利の上昇圧力といった材料が改善しない場合、BTCは調整基調が続くだろう。

BTCは今週、安値からのブレイクアウトに成功したものの、地政学リスクを巡る不確実性が残る中では、相場の本格的な復調は見込み難いだろう。

ただ、こうした局面ではBTCが「無国籍通貨」として評価され、逃避需要の一定の受け皿となることも多い。事実、足元の地政学リスクの高まりを受けても、BTC相場が大きく崩れる場面は限定的であり、確りとした推移となっている。

このため、中東情勢が急速に悪化しない限り、BTC相場は底堅さを維持する可能性もあると見ている。

当面の焦点は、中東情勢の沈静化の兆し、原油価格上昇の落ち着き、米金利の安定といった条件が揃うかどうかであり、米イラン戦争の早期収束を示唆する新たな材料が出てくるかが、BTC相場の上昇トレンド再開の鍵を握ると言えそうだ。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

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