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ビットコイン準備金とは | 米国・各州の法案動向まとめ

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米国のトランプ大統領が「押収したビットコインを含む国家的なBTC準備金を創設する」構想に関する大統領令に署名。ニューハンプシャー州ではビットコインを“戦略的準備資産”と位置づける法案が可決・成立し、ビットコインが金(ゴールド)と並ぶ「安全資産」として公的部門に組み入れられる可能性が高まっています。連邦と州の両レベルで進むこれら2つの動向に注目が集まっています。

2つの準備金

戦略的BTC準備金と米国デジタル資産備蓄

更新日:3月27日

米国各州の動き

2つの仮想通貨準備金法成立(NH/AZ州)

更新日:5月13日

仮想通貨サミット

重要な進展なし

米国各州のビットコイン準備金に関する動向

米・州毎の仮想通貨準備金法案・進捗状況

2025年5月8日 *出典:Bitcoin laws

連邦政府の動きとは別に、米国の約20州ほどで「戦略的ビットコイン準備金」法案が提出されている。多くの法案はビットコインを戦略的資産として認識し、州財政の安定化や経済競争力の強化を図ることを目的としている。

ニューハンプシャー州では2025年5月7日、全米で初めて関連法案が成立したため、州レベルでビットコインを公的資産として正式に扱う時代が幕を開けた。

先行している州の法案内容

米州のビットコイン準備金法案進捗一覧

2025年5月13日 出典:Bitcoin laws

州名 進行中の法案 最終更新日 概要
ニューハンプシャー州 HB302 2025/5/7 可決。前年の平均時価総額が5,000億ドルを超えるデジタル資産に対して、州の公的資金の5%以内で購入・保有を認める。
アリゾナ州 HB2749、SB1025、SB1373 2025/5/13 HB2749が可決:州が管理する未請求資産やエアドロップ、ステーキング報酬を州管理の準備金口座(リザーブ)に移管する内容。SB1025は否決(その後再提出へ)。SB 1373についても、ケイティ・ホブス知事は市場のボラティリティを理由に却下した。
オクラホマ州 HB1203 2025/3/25 「Strategic Bitcoin Reserve Act」が下院通過、上院へ。時価総額5,000億ドル以上のデジタル資産への投資を認め、退職年金基金への適用も含まれる。
テキサス州 SB21 2025/3/7 ビットコイン(BTC)戦略準備金法案(SB-21)が上院通過、下院で審議へ。財政基盤を価値ある希少資産で強化する。法案が可決された場合、即時に発効するが、2025年9月1日に発効する。

ニューハンプシャー州の法案成立は、暗号資産を「公的準備資産」として明確に位置づけた画期的な事例だ。これによりビットコインは金(ゴールド)と同様に州財政の安定資産として扱われ、市場参加者の構成にも質的な変化が見込まれる。今後、他州や連邦レベルで同様の制度が広がる可能性がある。

出典:アリゾナ議会

一方アリゾナ州では、ケイティ・ホブス知事が「障害者サービスへの資金提供問題が解決するまですべての法案に拒否権を行使する」と宣言しており、行方は依然として不透明だ。SB1373が成立すれば、州政府によるビットコイン保有という二例目となり、さらなる波及効果が期待される。

米国時間2025年5月2日、ホブス知事はビットコイン準備金法案SB1025に拒否権を行使。ただし「デジタル資産戦略準備金基金」を設立するSB1373は依然として署名待ちの状態にある。

主な目的

  • インフレヘッジ(「デジタルゴールド」としてのビットコインの特性)
  • 公共資金の分散投資と財政リスクの軽減
  • 州のデジタル資産関連ビジネス誘致による経済成長

一方で、ボラティリティ(価格変動の大きさ)や規制リスクを理由に法案を却下した州もあり、各州ごとの温度差が大きい点が特徴です。また、ユタ、モンタナ、ノースダコタ、ペンシルベニア、サウスダコタ、ワイオミングなどでは既に否決事例があり、2025年2月14日にペンシルベニア州で却下された法案(HB2664)は、高いボラティリティや公共資金への適合性が大きな懸念材料であることを改めて示しました。

戦略的ビットコイン準備金と米国デジタル資産備蓄

*出典:WhiteHouse

2025年3月6日、ホワイトハウスは 「President Donald J. Trump Establishes the Strategic Bitcoin Reserve and U.S. Digital Asset Stockpile」 と題するファクトシートを公開しました。この文書によると、大統領令に基づき「戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)」と 「米国デジタル資産備蓄(U.S. Digital Asset Stockpile)」を正式に設立する方針が記載されています。

これら2つの備蓄制度は、ともに「刑事・民事手続きで没収された暗号資産」を原資とする点が特徴で、追加の納税者負担を伴わない形で運用される予定です。以下では、それぞれの概要を整理します。

(1)戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)

トランプ政権が掲げる最重要施策の一つで、刑事・民事手続きで没収されたビットコインを売却せず、国家の備蓄として維持する構想です。既存の推計では、米政府は約20万BTC(2.6兆円相当)を保有しており、「インフレやドル価値下落リスクに備える戦略的資産」として組み込まれる見通しです。

この準備金は納税者の負担増を伴わない「予算中立的な運用」とされています。

(2)米国デジタル資産備蓄(U.S. Digital Asset Stockpile)

ビットコイン以外の暗号資産(イーサリアムなど)については、「米国デジタル資産備蓄」として一括管理する方針も示されました。ここでも刑事・民事で没収された資産が中心であり、新たに市場から買い付ける予定はないとのことです。必要に応じて財務長官が売却や活用の判断を行える体制を整えるとされています。

コインベースは「約20万BTC(2.6兆円相当のビットコイン)が市場に放出されないことは、売り圧力の低減につながる」と指摘しています。

米国が押収した仮想通貨とは?

押収された暗号資産については、ビットコインが圧倒的です。2013年の「シルクロード」などダークマーケット由来が多く、従来はオークション売却が通例でした。

たとえば破綻したFTX関連で押収された約30億円相当のイーサリアムを移動した事例(2024年12月5日:Coinpost)もあり、過去にはXRPをオークションにかけたケースもあるなど、押収暗号資産の活用方法は市場でも関心を集めるテーマです。

💡編集部の視点

米国議会にはシンシア・ルミス上院議員(共和党)のように、5年間で100万BTCを備蓄する「ビットコイン法案」を提出する議員もいますが。議論の本格化からは遠い状況です。(25年1月24日:Coinpost

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仮想通貨サミットで進展なし

トランプ大統領は3月3日(日本時間)に公式SNS「Truth Social」で新たな「仮想通貨支援政策」を発表。

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を主要対象に挙げつつ、ソラナ(SOL)、リップル(XRP)、カルダノ(ADA)など米国関連銘柄も名指しして、 「インフレに対する戦略的備蓄」を確立しつつ、「米国を仮想通貨の首都(中心)にする」方針を打ち出しました(2025年2月21日:Coinpost)。

しかし、3月7日にホワイトハウスで開催される「仮想通貨サミット」では、「仮想通貨準備金」の具体的な内容や、米国全体の暗号資産政策に関する重要な発表が行われませんでした。参加者は以下の通りです:

  1. ブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)
    Ripple社 CEO
  2. クリストファー・ジャンカルロ(J. Christopher Giancarlo)
    元CFTC委員長・現Willkie Farr & Gallagher法律事務所シニアカウンセル
  3. ネイサン・マカウリー(Nathan McCauley)
    Anchorage社 CEO
  4. Kris(クリス)
    Crypto.com社 CEO
  5. キャメロン・ウィンクルボス & タイラー・ウィンクルボス
    Gemini 創業者
  6. ヴラド・テネフ(Vlad Tenev)
    Robinhood社 CEO
  7. アルジュン・セティ(Arjun Sethi)
    Kraken社 CEO
  8. マイケル・セイラー(Michael Saylor)
    MicroStrategy 創業者・会長
  9. ブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)
    Coinbase社 CEO
  10. セルゲイ・ナザロフ(Sergey Nazarov)
    Chainlink 共同創業者
  11. カイル・サマニ(Kyle Samani)
    Multicoin Capital マネージングパートナー
  12. ザック・ウィトコフ(Zach Witkoff)
    World Liberty Financial(WLFI) 共同創業者
  13. JP・リチャードソン(JP Richardson)
    Exodus社 CEO
  14. マット・ホアン(Matt Huang)
    Paradigm 共同創業者
  15. デイビッド・ベイリー(David Bailey)
    Bitcoin Magazine CEO

「利益相反では?」と指摘される懸念

就任後のトランプ政権は、ビットコインマイニング(採掘)支援策や、規制強化路線をとっていたゲイリー・ゲンスラー前SEC委員長の解任など、暗号資産分野で政策転換を図っています。一方で、トランプ大統領自身がETHを個人的に保有し、 トランプコイン(Official Trump)やNFTコレクションも所有しているため、「公的政策と個人投資の利害が混在する恐れがある」との批判も出ています。

2025年初頭には、大統領の息子エリック氏がETH購入を促す発言を行い、さらに2025年2月にはWorld Liberty Financial社(WLFI)とのトランプ氏の関与が報じられるなど、利益相反リスクへの懸念は一段と高まっています。

まとめ:今後の展望

「戦略的ビットコイン準備金」の創設を掲げるトランプ政権の構想は、インフレ対策や国債・ドル防衛といった国家財政上の戦略と深く結びついています。一方で、州レベルではテキサスやフロリダ、アリゾナなどが独自のビットコイン備蓄案を相次いで提出し、連邦政府を先行する形で暗号資産を公的資産とする流れを促進中です。

米国議会にはシンシア・ルミス上院議員(共和党)のように、5年間で100万BTCを備蓄する「ビットコイン法案」を提出する議員もいる。

関連:100万BTC取得目指す ルミス議員、トランプ大統領のビットコイン準備金計画を法制化するBITCOIN法案を再提出

しかし、現段階では押収した仮想通貨を準備金に充てる動きや、「州単位の取り組み」の方が実際の可決に近いとの見方があります。実際、各州が仮想通貨を活用しようとする狙いはインフレヘッジや分散投資が中心で、法案を否決する州もあるなど、「ボラティリティの高さ」や「公的資金への適合性」が今なお大きな論点です。

しかしながら、州ごとのイニシアチブが徐々に広がれば、最終的にはトランプ政権の「戦略的ビットコイン準備金」構想とも合流し、連邦政府の政策に大きく影響する可能性が十分に考えられます。3月に開催予定のホワイトハウス「仮想通貨サミット」や議会審議の行方によっては、ビットコインを国家レベルで保有・活用するシナリオがさらに現実味を帯びるでしょう。

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