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仮想通貨と海外転勤(海外移住)について|税理士 木田穣

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

暗号資産を保有したまま海外移住する場合について

はじめまして。税理士の木田と申します。

このコラムでは、仮想通貨と海外転勤(海外移住)についてお話します。

日本に居住している個人が、含み益がある仮想通貨(暗号資産)を保有したまま海外転勤(1年以上予定)となった場合、どのような税金がかかるでしょうか?

結論から言えば、海外移住によって仮想通貨の含み益に対して日本で税金がかかることはないものと考えられます。

平成27年7月1日以後に国外転出した場合において、1億円以上の”対象資産”を保有している場合は含み益に対して所得税等を支払う必要があります(国外転出時課税といいます。出国税と通称されることもあります)。

しかし、この”対象資産”に仮想通貨は含まれていませんので国外転出時に所得税等を支払う必要はないことになります。なお、暗号資産デリバティブ(金融派生商品)に該当すると、未決済デリバティブとして国外転出時課税の課税リスクがありますのでご注意ください。

海外駐在中に日本の取引所/海外の取引所を利用して暗号資産の売買を行った場合は?

先ほどの例で、海外駐在中に日本の取引所を利用して、仮想通貨の売買をした場合はどうなるでしょうか?

本原稿執筆時の税制では上記の場合、日本での納税は必要ないものと考えられます。

なお、多くの日本の仮想通貨取引所では海外居住者による取引を想定しておらず、取引所によっては国外移住の際の口座の閉鎖が必要とされていることもあり、海外居住者が日本の仮想通貨取引所での取引が可能かは別問題です。

また海外駐在中に海外移住先の仮想通貨取引所において仮想通貨の売買を行った場合については日本での申告は不要です。

日本の取引先であっても海外の取引先であっても、海外移住国の税制に応じて海外移住国で課税されます。

(とはいえ、国によりそもそも仮想通貨の譲渡益に課税がある国と、課税がない国があり、税率も異なります。例えばシンガポールでは長期保有目的の仮想通貨を譲渡した場合、譲渡益は非課税となります。)

そもそも海外移住とは?

 海外駐在でなくて、リタイア後に海外移住をした場合はどうでしょうか?または1年以上の海外留学をする場合はどうなるでしょうか?

 このような場合は下のような事情を総合的に判断する必要があります。

  • 国ごとの滞在日数など居住の状況、海外での長期(1年以上)滞在の予定など
  • 継続して1年以上居住することを通常必要とする職業がどの国にあるか
  • 妻子など生計を一にする親族がどの国に居住しているか
  • 主要な資産がどの国に所在するか

海外留学の場合はそもそも日本にも海外にも職業がありませんし、海外駐在でも妻子を日本に残していく場合もあります。このような場合でもそれ以外の事情を基に海外居住者として税務上扱う(専門用語で非居住者といいます)場合もありますし、そうでない場合もあり、ケースバイケースです。

なお、所得税に関するルール(所得税法施行令 第15条)では、

「継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する」場合は、「国内に住所を有しない者と推定する」

という規定があります。冒頭の海外駐在のケースでは日本居住者であると考えられるよっぽどの事情がない限りは非居住者と考えて差し支えないものと存じます。

※本寄稿は執筆時点における税制を前提にしております。

木田穣税理士事務所 税理士木田 穣(きだ ゆたか)
東京大学経済学部卒業、有限責任監査法人トーマツ、税理士法人レガシィを経て、木田穣税理士事務所開設。相続税や国際税務を切り口に個人富裕層に対してアドバイスを行っています。注目する暗号資産はビットコイン。まだ保有ゼロですがこれから少しづつ積立てようと思っています。
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