
イーサリアムとは?スマートコントラクト市場をリードする仮想通貨
イーサリアム(ETH)は、スマートコントラクトの基盤として最も広く利用されているブロックチェーンであり、DeFiやNFT、L2(レイヤー2)ネットワークなど、多彩なエコシステムが形成されています。
2025年8月現在、イーサリアムの価格は回復傾向にあります。背景には、米国企業の購入増加や、現物ETFへのステーキング機能追加に向けた動きなど、複数の好材料が重なっています。
本記事では、ETHの価格動向と将来性について、大手機関の動向や技術的アップグレードを踏まえて読み解きます。将来予測、ETHの市場ポジション、投資対象としての魅力を検証していきます。
目次
- イーサリアムの価格動向:2025年8月
「企業が買う理由」に注目:戦略保有が急増
ETF資金フローと今後の見通し - イーサリアムの今後、将来価格予測
VanEckの2030年価格予測
バーンスタイン分析・3つの成長要因
EMJ Capital(Eric Jackson)の見解 - まとめ:将来価格は「実需」と「収益性」が鍵
イーサリアムの価格動向:2025年8月
2025年前半の調整と反発

イーサリアム(ETH)日本円建て 週足チャート(bitFlyer) 出典:TradingView
2025年8月9日時点でのETH価格は約60万円。2021年11月の過去最高値(70.6万円)と比較して約15%下の水準です。
2025年4月には一時21万円まで下落しましたが、現在は回復基調にあり。反発の背景には、以下の3つの要因が挙げられます。
- 米企業によるETH購入の拡大: 財務資産としてのETHの採用が進みつつあります。
- 現物ETFのステーキング機能追加申請: ブラックロックなどがSECと協議中で、利回り付きETFの誕生が現実味を帯びています。
- 「ペクトラ」アップグレードの実施: 5月に実装されたEIPにより、32ETHの閾値撤廃やバリデータ上限の拡大(EIP-7251)が実現。ステーキングの効率が向上しました。
「企業が買う理由」に注目:イーサリアム戦略保有が急増中
2025年、イーサリアム(ETH)を財務資産として保有する企業が世界的に急増しています。企業の中長期戦略において「インフラ資産」として位置づけられ始めています。
代表的な動き:
- BitMine Immersion: 約83万ETHを保有。最終的にETH供給量の5%保有を目指す、業界最大規模のトレジャリービジョンを掲げる。
- ファンダメンタル・グローバル(FGF): 最大50億ドル規模のETH購入計画を発表。将来的にネットワークの10%保有を目標に掲げている。
- SharpLink Gaming: 約52万ETHを保有。Consensysの支援を受け、ジョセフ・ルービン氏が会長就任予定。ETHを使った利回り戦略(ステーキング・DeFi)を推進。
SharpLinkやBTCSのように、もともとビットコインを主軸にしていた企業が、ETH中心の財務戦略へと移行する動きも目立ちます。背景には、イーサリアムが以下のような複合的な価値を備えていることがあります。
- 利回り性: ステーキングによる年利2〜4%のインカムゲインが得られる。
- 基盤性: ステーブルコイン、DeFi、RWA(トークン化資産)など、次世代金融の中核インフラ。
- 柔軟性: ETFと異なり、ステーキングや分散型金融への参加が可能。
こうした評価は国家レベルにも波及しています。Consensys CEOのジョセフ・ルービン氏(イーサリアムの共同創設者)は、サウジアラビアやUAEを含む「非常に大きな国」の政府系ファンドと、ETHを活用した金融システム構築について協議中であると明かしました。
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ETF資金フローと今後の見通し
2025年8月にかけて、イーサリアム(ETH)価格の回復には、現物ETFへの資金流入が大きく寄与しています。

2025年7月15日時点でのETH現物ETFの統計 出典元:Sosovalue
- 累計総純流入額: 約93.5億ドル
- 総純資産価値: 約218億ドル
2025年前半は、グレースケールのETHトラスト(ETHE)からの継続的な売却圧力が市場に影響を与えていました。しかし、同トラストからの大口売却が一巡したことで、ブラックロックなど新規ETFへの資金シフトが進み、ETH市場の構造変化が進行しています。
特に6月下旬以降、ETFへの資金流入(緑の棒グラフ)が急増し、それに伴いETH価格(青線)とETF純資産価値(白線)も顕著に上昇しています。
このようなETF経由の需要拡大は、将来的なステーキング対応ETFへの期待を織り込む動きと見られています。グレースケール型からの資金循環も一段落し、ブラックロックやフィデリティなどのETFが資産を積み上げることで、ETHの中長期的な価格支援材料となっています。
ETFの進化と「ペクトラ」アップグレードのメリット
イーサリアム現物ETFのステーキング報酬還元をはじめ、いくつかの機能追加が期待されています。
- 現物償還機能(5月10日申請): ETFシェアをETHに直接交換可能に。市場への影響を軽減しつつ、現物連動性を強化。
- ステーキング機能(5月9日協議): 保有者が年2.5~4%の利回りを得られる可能性。機関投資家の需要を喚起。
5月7日に完了した「ペクトラ」アップグレード(EIP-7251)は、1ノードあたりの最大ステーク量を2048ETHに拡張し、大口保有者によるステーキング運用の効率性を大幅に向上させました。ETFなどで大量のETHを保有するブラックロックやフィデリティにとって、ステーキング運用が現実的な選択肢となりつつあります。
こうした技術基盤の整備は、将来的に「利回り付きETF(ステーキング対応型)」の実現を後押しする要素であり、ETH ETFがキャピタルゲインとインカムゲインを兼ね備えた金融商品へ進化する可能性を高めています。
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イーサリアムの今後、将来価格予測
イーサリアム(ETH)の将来価値を見通すうえで重要なのは、スマートコントラクト市場の成長と、ネットワーク収益に基づく価値蓄積の構造です。投資機関による予測では、こうした基盤の広がりがETH価格を長期的に押し上げる可能性があるとされています。
スマートコントラクト市場の拡大見込み
Ark Investは、スマートコントラクト市場が2030年までに5.2兆ドル(約780兆円)に達し、年間4,500億ドル超のネットワーク手数料を生み出す可能性があると予測しています。これは市場全体の見積もりですが、イーサリアムが主要基盤であり続ける限り、収益の多くがETHネットワーク上で発生すると想定されています。
こうしたネットワーク使用料は、イーサリアムの価格形成に直結します。利用に伴って支払われる手数料はETHで支払われ、その一部がEIP-1559によって自動的にバーン(焼却)される仕組みとなっており、これがETHの希少性を高め、価値を蓄積する重要なメカニズムとなっています。
VanEckの2030年価格予測
米資産運用大手VanEckは、イーサリアムの2030年価格について、同ネットワークがブロックチェーン関連市場からどれだけの収益シェアを獲得できるかという前提に基づき、以下の3つのシナリオを提示しています(2024年6月時点):
- 基本シナリオ(市場シェア70%想定): 22,000ドル(約347万円)
- 強気シナリオ(市場シェア90%想定): 154,000ドル(約2,430万円)
- 弱気シナリオ(市場シェア15%想定): 360ドル(約5.6万円)
VanEckは、イーサリアムを「NetflixやApple Musicを上回る収益力を持つデジタルプラットフォーム」と評価。2024年時点で年28億ドルのネットワーク手数料収入を生み出しており、2030年にはネットワークコストを差し引いても年間660億ドルのフリーキャッシュフローを得る可能性があると見積もっています。

ターゲット市場とETHの成長余地
VanEckは、イーサリアムが今後収益を得る可能性が高い分野を以下の4つに分類し、それぞれの市場規模とETHが獲得し得る収益シェアを想定しています:
- 金融・銀行・決済(FBP):10.9兆ドル(ETH想定シェア 7.5%)
- マーケティング・広告・ソーシャル・ゲーミング(MASG):1.1兆ドル(20%)
- インフラストラクチャー(I):1.8兆ドル(10%)
- 人工知能(AI):1.4兆ドル(5%)

この4分野の合計ターゲット市場規模は15.2兆ドルにのぼり、イーサリアムがこの中でどの程度の経済的価値を獲得できるかが、2030年の価格を大きく左右するというのがVanEckの見立てです。
※あくまで市場予測に基づく想定であり、実際の価格や市場環境を保証するものではありません。
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バーンスタイン分析による3つの成長要因

ブロックチェーン別のRWA市場規模 出典:rwa.xyz
世界的な資産管理会社バーンスタイン(Bernstein)の分析によれば、イーサリアムの価値向上を支える3つの重要な要因が存在します:
- ステーブルコインと証券のトークン化の拡大:StripeやMetaといった大手企業がステーブルコインに注力し、RWA(現実資産)のトークン化の潮流が拡大する中、イーサリアムがその主要基盤として位置付けられています。
- イーサリアムレイヤー2の成長:コインベースのBaseなどのレイヤー2ソリューションが収益を上げ、イーサリアム全体の需要が高まっています。
- 機関投資家のポジション調整:過去12~18ヶ月間、多くのヘッジファンドがBTCをロング・ETHをショートするポジションを取っていましたが、現在はその巻き戻しが進行中です。
関連:VanEck、RWAトークン化ファンドを開始 イーサリアムなどに対応
EMJ Capital(Eric Jackson)の見解
2025年7月、カナダのEMJ Capitalの創業者エリック・ジャクソン氏は、イーサリアムの価格が今サイクル内で1万ドル(約148万円)に到達すると予測。強気ケースでは1.5万ドル(約220万円)までの上昇も想定しています。
主な根拠は、以下の3点に集約されます:
- ① ステーキング対応ETFの上場期待 → 金利を生む初の「利回り付きETF」として、機関投資家の資金流入が加速する可能性。
- ② 流通量の減少と需給逼迫 → ステーキング増により市場で流通するETHが減少し、供給不足を招く。
- ③ L2・RWAの需要増 → ネットワーク手数料の増加 → 手数料バーンにより、ETHのデフレ圧力が強まる。
ジャクソン氏は、ETHを「もはやデジタルオイルではない」とし、今後は利回りを生む金融資産(プロダクティブ・アセット)として機関投資家に組み込まれていくと述べています。
なお、同氏の主張には一部インフレ率の過小評価(ETHは現在わずかにインフレ傾向)など留意点もありますが、将来的なETHの再評価を唱える代表的な強気シナリオとして注目されています。
まとめ:将来価格は「実需」と「収益性」が鍵
イーサリアムの価格は、単なる投機ではなく、スマートコントラクト経済圏でどれだけの収益を生むか、そしてそれがバーンやステーキングによってどれだけ希少化されるかに左右されます。
各機関の価格予測には幅がありますが、いずれも共通して「イーサリアムが実収益を生むインフラになりつつある」点に注目しているのが特徴です。
よくある質問(FAQ)
イーサリアムの今後の価格はどうなる?
カナダのEMJ Capitalのエリック・ジャクソン氏は、今サイクル内にETHが1万ドル(約148万円)に達し、強気では1.5万ドル(約220万円)も視野に入ると予測しています。ただし、価格予測には不確実性があり、実現を保証するものではありません。
イーサリアムの将来性はありますか?
Ark Investは、2030年までにスマートコントラクト市場が5.2兆ドルに拡大し、主要基盤であるイーサリアムが年間4,500億ドル超の手数料収益を生み出す可能性があると予測しています。
2030年のイーサリアムの価格予測は?
VanEckは、ETHが2030年に基本シナリオで22,000ドル、強気で15万4,000ドル、弱気で360ドルになると想定。ただしこれは、金融・広告・インフラ・AIの4市場(総計15.2兆ドル)でETHが一定のシェアを握るという仮定に基づく予測であり、将来を保証するものではありません。
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