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暗号資産とは?広がりと注目の背景を初心者向けに解説

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暗号資産(仮想通貨)の現在地

最近、「日本企業がビットコインを購入」「アメリカで暗号資産が公認された」といった話題を、SNSやニュースで目にする機会が増えていませんか?

かつては一部の投資家のものと思われていた暗号資産は、いまや国家や大企業も注目する存在へと成長しています。

背景には、インフレやドル離れといった世界的な金融不安があります。そんな中、ビットコインなどの暗号資産が「新しいお金」として再評価されているのです。

とくにビットコインは、金や米国債に次ぐ“デジタル備蓄資産”として、国家戦略に組み込まれる例も出てきています。

本記事では【全3部構成】で、暗号資産の広がり・仕組み・国際的な動きを、初心者にもわかりやすく解説します。

💡記事のポイント

暗号資産(仮想通貨)は、インターネット上で使える新しいお金。代表例の「ビットコイン(BTC)」は中央の管理者がなく、世界中のネットワークで記録されます。時価総額は約2兆ドルに達しています。

投資だけでなく、国際送金や決済手段としても使われ始めており、アメリカでは政府が保有を検討、日本でも税制改革が進行中。世界の金融のあり方が、静かに変わり始めています。

【第1部】暗号資産は、いまどれくらい広がっている?

暗号資産の中でも象徴的な存在が、2009年に誕生したビットコイン(BTC)です。「インターネット上で使える、中央に依存しないお金をつくる」というシンプルかつ革新的な思想から生まれたこの仕組みは、現実の金融課題――インフレ、信用不安、資本規制など――と重なり、「誰にも止められない自由なお金」として、いまや現実的な選択肢になりつつあります。

さらに現在では、ビットコインの登場を皮切りに数千種類以上の暗号資産が登場。これらは決済手段にとどまらず、アプリの基盤やドル連動型ステーブルコイン、国際送金インフラなど、多目的に活用されています。

◆ 数字で見る:ビットコインと暗号資産全体

実際、暗号資産はどの程度広がっているのでしょうか? 2025年時点の最新データを基に、ビットコイン単体と全体像を区別して見ていきましょう。

🔸 ビットコインの時価総額と存在感

現在のビットコイン単体の時価総額は約2兆ドル(約291兆円)に達し、これは金(約14兆ドル)の14%にも相当します。以下は、他の主要資産と並べた比較図です。

データ出典:8 MarketCap(6/17時点)

※注: ビットコインの時価総額は市場価格×供給量で算出され、企業の時価総額(収益等に基づく)とは性質が異なります。

🔸 暗号資産全体の指標(2025年時点)

指標 概要
時価総額(全体) 約3.3兆ドル(約475兆円)
世界の保有者数* 推定約7億人(過去5年CAGR:163%)
国内の口座開設数 約1,200万超(延べ数、2025年4月時点/JVCEA)

※保有者数:BTC・ETHの入金アドレス統計をもとに、SOL・MATICなどのシェア比からCrypto.comが推定。
※国内口座数:JVCEA(日本暗号資産取引業協会)2025年4月レポートより。
データ提供元:8marketcap.com

なお、暗号資産はかつて「仮想通貨」と呼ばれていましたが、2017年の資金決済法改正で法的に定義され、2020年の改正により正式に「暗号資産」へ呼称が変更されました。これは、国際的な呼称(Crypto Asset)との整合性確保と、法定通貨との誤認防止を目的としたものです。

◆ なぜいま注目されているのか?──3つの背景

① 投資環境の整備が進んでいる

2024年1月、米証券取引委員会(SEC)は米国初のビットコイン現物ETFを承認しました。

これにより、機関投資家の信頼が拡大。最大手資産運用会社ブラックロックなどの参入契機となったほか、米ナスダックやNYSEなどの証券取引所でビットコインが株と同じ感覚で購入できるようになり、個人・機関投資家の参入が一気に拡大しました。

出典:ブルームバーグのシニアETFアナリストのエリック・バルチュナス氏公式X

実際、ブラックロックが提供するETF「IBIT」は、2025年6月時点で純資産700億ドル(約10兆円)を超え、ETFとしては史上最速の成長を記録しています。

② 国家や企業が保有・採用を進めている

米国では2025年1月、トランプ大統領が「国家的ビットコイン準備金」構想に関する大統領令に署名。

この構想では、政府が押収したビットコインを国家レベルで保有し、戦略的準備資産として管理する仕組みの構築が示されています。

また、米国の複数の州ではすでに、ビットコインを「ゴールドと同等の安全資産」として扱う法案が可決・成立。“デジタル備蓄資産”として、暗号資産を政府・自治体の財政ポートフォリオに組み込む取り組みが進行しています。

さらに企業分野でも、ビットコインの保有が加速しています。世界の上場企業85社は、合計で80万BTC以上を保有しており、これは発行済みビットコインの約4%に相当します。

  • MicroStrategy(米): 582,000 BTC以上を保有(8.8兆円相当)
  • メタプラネット(日本): 10,000 BTCを保有(1,500億円相当)

※CoinGecko(2025年5月時点)より

こうした動きの背景には、インフレヘッジ(価値の保存)手段としての注目があります。企業や政府は、ビットコインを「デジタルゴールド」とみなし、長期保有資産に組み入れ始めています。

③ 決済手段としての実用性が広がっている

暗号資産は投資対象にとどまらず、「プログラマブルマネー(条件付きで動作する通貨)」として、決済や国際送金など、実生活での利用が広がりつつあります。

とくに注目されるのが、新興国でのステーブルコイン利用です。東南アジアやラテンアメリカなどでは、出稼ぎ労働者がUSDCやUSDTなどを使い、手数料が高く時間のかかる従来の送金手段を回避する動きが加速中です。

さらに、VisaやMastercardといった大手決済企業も、USDC対応のカードやインフラ整備を進めており、米Stripe傘下のBridgeや英国Baanxとの連携によって、暗号資産による即時決済の導入が進行しています。

金融当局もステーブルコインに注目しており、関連する法整備も進行中です。こうした流れから、暗号資産は「誰にでも使える、グローバルでアクセス可能な通貨インフラ」としての地位を急速に高めています。

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【第2部】仕組み編:なぜ「中央管理なし」で動くのか?

ここからは、暗号資産の仕組みに踏み込みます。「中央の管理者がいないのに、どうして通貨として成り立つのか?」この疑問に答えるために、まずは最初に登場した暗号資産ビットコイン(BTC)を例に取り、その構造と背景技術を紐解いていきましょう。

◆ 出発点は「誰にも頼らないお金」

ビットコインは、2009年にサトシ・ナカモトという謎の人物(またはグループ)によって提案されました。 その根底にあったのは、次のような発想です:

中央銀行や政府に依存しなくても、みんなで正しく運用できる通貨をつくろう。

この思想の実現に用いられたのが、後に多くの暗号資産にも応用されていくことになる「ブロックチェーン技術」です。

◆ ブロックチェーン:あらゆる仮想通貨の基盤

ブロックチェーンとは、一言で言えば、“みんなで取引履歴を管理・検証し合う巨大な台帳”です。

銀行では送金履歴をその銀行が管理しますが、暗号資産ではその役割を世界中のネットワーク参加者が分散して担います。これにより、改ざんや二重支払いなどの不正を、技術的に防ぐことが可能になります。

この構造は、ビットコインだけでなく、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)、XRPなど、多くの暗号資産に共通する基礎的な仕組みです。

ブロックチェーン設計の基本ポイント

  • 取引をどう記録するか(例:ビットコインでは「マイニング」)
  • ネットワークをどう維持するか(分散ノードでの検証)
  • 正当な取引をどう判断するか(合意形成アルゴリズム)

これらは通貨の種類ごとに最適化されており、共通して「中央に頼らずに動く」ことが設計思想の核となっています。

◆ 自律性と透明性を支える3つの技術要素

① ピアツーピア(P2P)ネットワーク

ノード(参加者)が互いに接続し合うことで成り立つ、中央サーバーに依存しないネットワーク構造です。世界中の誰もがノードとして参加でき、取引の検証やブロックの共有を担うことができます。

例:アフリカの地方でも、スマホとネット環境さえあれば、都市と同じように暗号資産を受け取れる

② コンセンサスアルゴリズム

「正しい取引」とは何かを、世界中の参加者がどのようにして合意するか?──そのルールがコンセンサスアルゴリズムです。

方式 説明 主な例
PoW(プルーフ・オブ・ワーク) 膨大な計算で競争し、成功者が取引を承認。高セキュリティだが電力消費大。 ビットコイン、ライトコイン
PoS(プルーフ・オブ・ステーク) 保有量に応じてブロック生成者を選ぶ。PoWより省電力。 イーサリアム、ソラナ
BFT系(ビザンチン耐性) 信頼できるノードで合意形成。処理速度・省エネ◎、分散性△ XRP、ステラ、ポルカドット

③ 発行メカニズムと供給上限

多くの暗号資産では、発行上限や供給スケジュールがあらかじめ決められています。

  • ビットコイン:最大発行枚数は2,100万枚。4年ごとに供給量が半減(半減期)
  • 他通貨も、健全性(インフレ耐性)を考慮した設計が増加中

◆ 単なる通貨ではない:用途が広がる暗号資産

現在の暗号資産は、単なる「通貨」ではなく、さまざまな使い道を持つ“デジタル資産”として進化しています。

  • ビットコイン(BTC): 価値保存・送金に特化した「デジタル・ゴールド」
  • USDC / USDT: 米ドル連動型ステーブルコイン。送金・決済に活用
  • イーサリアム/ソラナ/XRP: DeFiやアプリ開発など分散型金融の基盤に

いずれも「誰でも使え、改ざんに強く、中央に依存しない」──分散型ネットワークの力に支えられています。

今や暗号資産は、「お金」の枠を超え、金融・情報インフラとして進化し続けているのです。

【第3部】暗号資産を軸に“金融覇権の再構築”へ

ビットコインは、国家の支配を受けない「無国籍の価値貯蔵手段」として誕生しました。現在では、インフレ不安や金融制裁リスクへの“ヘッジ資産”として、各国の戦略に組み込まれ始めています。

国家の備蓄構造に組み込まれるビットコイン

米国債や金に代わる準備資産として、ビットコインを保有・活用する国が増えています。

  • ロシアは、ウクライナ侵攻後に約3,000億ドルの外貨資産を凍結され、備蓄資産の多様化を急速に進めています。
  • 中国も、かつて最大の米国債保有国でしたが、保有高を大きく縮小。国際決済でのドル依存を減らす動きを強めています。
  • 両国は一部のエネルギー取引でビットコイン決済を試行するなど、通貨主権の見直しに動いています。
  • 中国政府による公式保有は不明ですが、過去には「Plustoken事件」で押収した約19万BTCの存在が確認されています。

こうした動きの中で、ビットコインは「金に次ぐグローバル資産」としての地位を確立しつつあります。

米国のデジタル戦略:通貨覇権のアップデート

米国は、暗号資産を単なる金融商品としてではなく、「技術・経済・安全保障」を横断する国家戦略の中核として捉え、包括的な取り組みを進めています。

  • 備蓄資産としての位置づけ強化
     2025年、米政府は押収ビットコインを国家戦略備蓄(SBR: Strategic Bitcoin Reserve)として恒久保有する制度を整備。売却を禁じ、「デジタル金準備」としての活用に舵を切りました。
  • 関連:ビットコイン準備金とは | 米国・各州の法案動向まとめ

  • 制度整備と産業育成の両立
     2025年1月の大統領令14178号では、暗号資産を「米国の経済成長と技術革新に不可欠」と位置づけ、AI・ブロックチェーン領域の規制整備と人材確保を国家計画に組み込みました。
  • ステーブルコインによる通貨外交
     USDCやUSDTなどのステーブルコインを通じて、国境を越えた“ドル供給インフラ”を拡大。デジタルドル圏の形成により、ソフトパワーの延長としての通貨支配を目指しています。
  • インフラ支配:マイニングとETF市場
     マイニングハッシュレートの約36%、現物ETF市場の8割以上を米国が占めるなど、暗号資産の中枢機能を国内に囲い込む戦略も加速中。上場企業のBTC保有も9割以上が米国籍で構成されています。

こうした取り組みは、暗号資産を通じて次世代の通貨インフラや経済圏を整備しようとする米国の戦略的な方向性を示していると言えるでしょう。特に、民間主導の技術革新や規制緩和の促進が中心的な役割を果たしています。

◆ 日本の立ち位置と課題:制度対応が問われる岐路

こうした潮流に対して、日本も2022年以降、国策レベルで本格的な制度整備を進めてきました。その目的の一つが、海外に流出していた投資マネーやスタートアップの“国内回帰”です。税制の簡素化や新制度の整備を通じて、暗号資産市場を健全に育て、日本経済の競争力強化へとつなげる狙いがはっきりと見て取れます。

国策としての位置づけと制度整備

2022年、自民党Web3プロジェクトチームが発足し、暗号資産・NFT・DAOを含むWeb3領域を成長戦略の中核と位置づけました。2023年にはWeb3ホワイトペーパーを発表。これにより、政府は暗号資産を単なる投機対象ではなく、国家経済を支える新インフラとして本格的に取り組む方針を明確化しました。

関連:なぜ日本政府は「Web3政策」を推進し始めたのか?重要ポイントと関連ニュースまとめ

税制改革とETF解禁への道筋

長年、雑所得・総合課税による最大55%の課税が、個人投資家や暗号資産関連スタートアップの海外流出を招いてきました。 この課題に対し、2025年度税制改正では「申告分離課税(20%)」の導入が検討項目として盛り込まれ、損益通算や損失繰越控除の対象化にも期待が集まっています。こうした改革が実現すれば、国内でもビットコインETFなどが解禁される土壌が整い、海外市場とのギャップも大きく縮まります。

世界に先んじた規制環境と信頼性

日本は世界でも早期に、暗号資産交換業者の登録制やマネロン対策を導入。これにより、取引所の信頼性・安全性では国際的に高く評価される環境を整えてきました。こうした基盤の上に、今後はステーブルコイン、Web3、CBDCなどの技術革新領域でも制度設計が進む見込みです。

関連:仮想通貨税制改正「いつから?」申告分離課税・金商法適用の影響、注目点まとめ

まとめ:

暗号資産への投資は、値上がりを狙うだけのものではありません。 その背後には、世界の動き、最先端の技術、そしてお金の仕組みへの理解――まさに一石三鳥の学びが詰まっています。

もし少しでも関心を持ったなら、まずはごく小さな金額でも、自分で持ってみること。使ってみることで身近なものになり、理解のスピードは速まります。

そして、その先に「なぜ世界中が注目しているのか」「どんな未来を描いているのか」に気づいたら、少しずつ広げていく。 そんなスタンスで関わっていけば、暗号資産はきっと、あなたにとって面白く、意味のある存在になるはずです。

よくある質問(FAQ)

基本的には同じ意味ですが、法制度上の呼び名として「暗号資産」が正式名称です。2017年までは「仮想通貨」と呼ばれていましたが、誤解を避けるために「暗号資産(Crypto Asset)」という表記が定着しました。
👉 仮想通貨の5つの誤解|初心者が知っておきたい基本と本質

ビットコインは、発行上限が2100万枚と決まっており、誰にも増やせない仕組みになっています。国家に依存しない「デジタルゴールド」としての役割が注目され、資産保全やインフレ対策の手段として価値が高まっています。

まずは国内の取引所で口座を開設し、小額から購入してみるのがおすすめです。本人確認(KYC)を済ませれば、スマホでも簡単に始められます。
👉 初心者向け:暗号資産の始め方ガイド

仕組み自体は安全性が高く、ブロックチェーンによって改ざんや不正が防がれています。ただし、取引所の選び方やパスワード管理など、ユーザー側の注意も重要です。

記事の監修

各務 貴仁各務 貴仁
株式会社CoinPost 代表取締役CEO、株式会社SUDACHI Tech 代表取締役、一般社団法人WebX実行委員会 理事。
2017年に日本最大(2024年現在)の暗号資産・Web3メディアCoinPost、2023年よりグローバルカンファレンスWebXを立ち上げる。また、次世代テックを活用した福祉事業Wave3やWeb3に特化した開発支援事業SUDACHI Techも展開する。
2024年には、経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」にて有識者委員として選任される。

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