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ゴールドとビットコインの歴史比較も 貴金属やデジタル証券の専門家が語る新金融の未来|FIN/SUM NEXT

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「FIN/SUM NEXT 2026」においてスポンサーセッション「AIxデジタル金融の未来/貴金属の歴史から学ぶデジタルアセットの未来」が4日、前後半の2部構成で開催された。

前半ではAIを活用した不動産デジタル証券事業の現状と展望を、後半ではゴールドとビットコインの比較を軸に日本における暗号資産ETF解禁の行方が議論された。

    前半:三井物産がパートナーと共に切り拓くAIxデジタル金融の未来
  • 中村 龍矢|LayerX 執行役員・AI Workforce事業 CEO
  • 上野 貴司|三井物産デジタル・アセットマネジメント 代表取締役社長
  • 山本 忠太則|三井物産 コーポレートディベロップメント本部 金融事業部 プロジェクトマネージャー(モデレーター)
  • 後半:貴金属の歴史から学ぶ「デジタルアセットの未来」
  • 池水 雄一|日本貴金属マーケット協会 代表理事・貴金属スペシャリスト
  • 山田 達也|楽天ウォレット 代表取締役社長
  • 辰巳 喜宣|三井物産デジタルコモディティーズ 取締役(モデレーター)

「オルタナ」組成件数が国内1位、AIで月3〜5件へ加速

上野氏は、不動産担保のデジタル証券サービス「オルタナ」の組成件数が国内1位(21件)、累計販売額450億円(業界3位)に達したと明らかにした。

同社は2020年4月設立で、三井物産が53%、LayerXが35%を出資。従業員85名のほか「仮想的にAI約20人分が稼働している」という体制で、その規模は月々拡大しているとした。

三井物産グループが提供するデジタル証券サービス「ALTERNA(オルタナ)」(出典:三井物産デジタルAM/ALTERNA)

オルタナはスマートフォンから機関投資家向け品質の不動産デジタル証券に投資できるサービスで、投資判断の平均所要時間は約4.8秒という。現在は月1件ペースで新規案件を組成しているが、需要拡大を受けて月3〜5件へのペースアップを目指す方針を示した。

昨年夏には三井住友信託とJVで「オルタナ信託」を設立し、製造から販売まで一気通貫で手がける「金融版SPA」モデルを構築している。

AI活用の具体例として、数千ページに及ぶ有価証券届出書の審査作業が「開発したチェッカーツールで3秒で完了するようになった」と上野氏は述べた。

広告制作物の自動審査にもAIエージェントを展開しており、今後は商品組成の自動化をさらに進め「金融商品の自動販売機」を目指すと語った。流動性向上に向けたセカンダリー取引(年間5〜10億円規模)の拡大も進めており、過去4件の早期償還では不動産価格上昇によるキャピタルゲインも投資家に還元している。

LayerXの中村龍矢・AI Workforce事業CEOは、自社の企業向けAI基盤「AI Workforce」について説明した。経費精算などバックオフィス業務を代行するモデルを志向しており、「ユーザーから見ると裏側がAIなのか人間なのか区別がつかない状態」でAIと人間のオペレーターが協働する仕組みを構築していると述べた。

MDMとの協業については「FDE(Field Deep Engineer)と呼ぶCTOクラスのエンジニアを顧客内に深く入り込ませるモデルの理想形」と位置づけた。

「40年で初めて」の貴金属急騰、本質は通貨価値の低下

後半セッションでは、日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事が2025年の貴金属市場を「40年間でこれほどの上げ方は初めて」と振り返った。ゴールドが約61%、シルバーは170%超の上昇を記録しており、「最も上がっていないゴールドが61%」という言葉が示すように貴金属全体が歴史的な高騰を見せた年だったと述べた。

背景にはトランプ政権の関税政策による不安も指摘されるが、池水氏は「55年続いてきた上昇トレンドの一部が加速しているにすぎない」と強調。「ゴールドの価値が上がっているのではなく、通貨の価値が下がっている」と述べ、1971年のニクソンショック以来ゴールドが約150倍に上昇してきた歴史的な文脈で捉えるべきとした。

楽天ウォレットの山田達也社長は2025年のビットコイン相場を「トランプ主導の相場だった」と表現し、米国での法整備進展が投資環境の整備を加速させたと述べた。

2004年の金ETF上場を教訓に、ビットコインETF解禁の行方

セッションの軸となったのが、2004年のゴールドETF上場とビットコインETFの類比だ。池水氏は、金ETFがニューヨーク市場に上場したことで年金や機関投資家が「普段買うものと同じ感覚」でゴールドに投資できるようになり、以降の価格上昇の起点になったと解説した。

山田氏も、2024年の米国ビットコインETF上場後について「機関投資家中心かと思いきや、若い世代の米国個人によるETF購入が進んでいた」と述べ、金融商品として位置づけられることで裾野が広がりつつあると語った。

日本では現在の通常国会で審議中の法改正により、暗号資産が資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移行する見通しが示されている。山田氏は税制変更を2028年1月、ビットコインETF解禁もこのタイミングが想定されると説明した。

一方で、交換業者によるカストディのセキュリティ対策や顧客保護基金の設立など課題も残るとし、「投資家保護が最も強調されているのが今回の移行の特徴」と述べた。

三井物産デジタルコモディティーズの辰巳喜宣取締役は、2022年2月に発行を開始した金連動暗号資産「ジパンコイン」を紹介。保有コストが発生しない点を特徴として挙げ、「これまでゴールドに触れたことのない暗号資産ユーザーへのリーチ」を目的として開発したと述べた。

池水氏はゴールド投資家層について「コロナ禍以降、若い世代・女性が急増した」とし、海外旅行などで円の購買力低下を実感した人々の意識変化が背景にあると分析した。

FIN/SUM NEXT 2026

FIN/SUM NEXTは「AI×ブロックチェーンが創る新金融エコシステム」をテーマに、日本経済新聞社と金融庁が主催する金融カンファレンス。

10回目となる今回は3月3日〜6日に東京・丸ビルを中心に開催されている。シンポジウムやワークショップのほか、フィンテックスタートアップによるインパクトピッチも実施される。

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