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ビットコイン雇用統計下振れで持ち直し、FOMC議事録と中東情勢が焦点|bitbankアナリスト寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

今週の週次レポート

国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。

bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)

今週の週次レポート:

今週のビットコイン(BTC)対円相場は、950万円割れを試す場面もあったが、週後半には持ち直し、1000万円回復を試す展開となっている。

週明けの相場は、週末に米国とイランが停戦で再度合意したことで、950万円周辺からジリ高に推移するも、ストラテジー社がドル準備金の積み増しや優先株配当・社債利払いの原資確保の目的で、BTC売却枠プログラムを設定したと発表し、上げ幅を掻き消した。その後は米株の反発に連れ高となり、底堅い推移を維持するも、取引材料に乏しいなか、米・イランの交渉にも進展が見られず、950万円周辺まで水準を下げた。

一方、週央からは同水準で下げ渋りに転じると、7月1日にはADP雇用レポートの下振れや、ウォーシュFRB議長が期待インフレやインフレリスクが低下していると発言したことで、BTCは970万円台を回復。これを受けてドルと米金利が低下基調となるなか、2日の米雇用統計も市場予想を大幅に下回り、相場は1000万円近辺まで回復している。

BTC対円の1時間足チャート(2026年7月)bitbank提供

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbankより作成

米雇用関連指標の下振れを受けて、BTC相場を取り巻くマクロ環境に変化の兆しが見え始めた。5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が5.7万人増と市場予想のおよそ半分にとどまったほか、4月、5月分の雇用者数も下方修正された。これを受けてドルと米国債利回りは低下し、6月のFOMC後に強まっていた利上げ観測はやや後退した格好だ。

尤も、来週はFOMC議事要旨の公表を控えており、6月会合で示されたタカ派姿勢が改めて確認される可能性には留意したい。仮に、当局者の間でインフレ再燃への警戒感や追加利上げに前向きな議論が広がっていたことが明らかとなれば、米金利が再び上昇し、BTC相場の重石となる展開も想定される。

一方で、ウォーシュFRB議長が指摘した通り、市場の期待インフレには落ち着きもみられる。実際、2年先の期待インフレ率や5年物ブレークイーブンインフレ率(BEI)は足元で低下傾向にあり、市場は中長期的なインフレ圧力の高まりを強く織り込んではいないようだ(第2図)。先月の米・イラン停戦覚書の署名以降、中東情勢を巡る目立った進展こそ乏しいものの、原油価格は戦争前の水準近くまで低下しており、足元のインフレ率上昇は一時的なものとの見方が徐々に広がっていると言えよう。

米2年先期待インフレ率と5年物ブレークイーブンインフレ率(2026年7月)FRED提供

【第2図:米2年先期待インフレ率と5年物ブレークイーブンインフレ率】
出所:FREDより作成

こうした状況を踏まえると、BTCにとっては原油価格の落ち着きに加え、今後発表される消費者物価指数(CPI)など実際のインフレ指標で伸びの鈍化が確認されることが、さらなる相場の持ち直しに向けた重要な条件となりそうだ。裏を返せば、インフレの鎮静化が確認できない限り、利上げ観測は完全には後退せず、BTCも戻りの勢いを欠きやすいだろう。

また、米・イラン関係については停戦合意後も細部の協議が続いており、依然として市場は関連ヘッドラインに敏感な状況が続いている。ホルムズ海峡を巡る追加合意など前向きな材料が出れば、原油価格の一段の低下を通じてBTCの支援材料となる可能性がある一方、協議が再び停滞すれば、地政学リスクの再燃が意識される展開も想定されよう。

総じて、来週はFOMC議事要旨と中東情勢が相場の方向感を左右する一週間となりそうだ。雇用統計を受けて利上げ観測は幾分後退したものの、インフレ鈍化を裏付ける材料が増えない限り、BTCは本格的な上昇には至りにくいとみられる。

寄稿者:長谷川友哉長谷川友哉(ハセガワ ユウヤ)
英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
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