今週の週次レポート
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が、今週の暗号資産(仮想通貨)ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
今週の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、下値を切り下げつつも大きくは崩れず、16日正午時点では1300万円周辺で推移している。
週明けの相場は1325万円周辺から原油価格の上昇や米主要株価指数の下落を背景に1300万円近辺まで水準を下げると、13日未明にはロングの投げを伴って一時1300万円を割り込んだ。しかし、この下落によりポジションが整理されると、その後は押し目買いが入り1325万円周辺まで反発した。
ただ、14日の9月米消費者物価指数(CPI)を控え、相場は8.4万ドル水準となる1330万円で上値を抑えられると、その後は様子見ムードが広がり、1320万円周辺での小動きが続いた。
米CPIは前年比3.7%と市場予想の3.6%を上回る結果となり、BTCは14日米国時間から再び下落基調となると、翌15日の9月米卸売物価指数(PPI)も強めに出たことで、一時は1250万円台まで安値を広げた。
一方、強めのPPIを受けてもFF金利先物市場では、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き観測がなお優勢を維持。米株が持ち直すなか、BTCは1300万円近辺まで反発を演じた。

【第1図:BTC対円チャート(1時間足)】
出所:bitbankより作成
先週の見通しでは、ドル建てで節目の8万ドル(≒1263万円)周辺を維持できるかを焦点とし、米インフレ指標の上振れを受けて同水準を明確に割り込む場合には、7万5000ドル(≒1184万円)周辺まで調整幅を広げる可能性を指摘した。
今週は米CPIとPPIが共に市場予想を上回り、BTCもPPI発表直後には一時8万ドルを割り込んだものの、その後はすぐに切り返している。強いインフレ指標にもかかわらず米短期金利の上昇は持続せず、FF金利先物市場でも10月FOMCでの金利据え置きが依然として約7割織り込まれており、市場は想定していた以上にFRBが利上げを急がないとの見方を信用しているようだ。
尤も、金利据え置き観測そのものは今週に入ってジリジリと後退しており、BTCの地合いが一段と締まるほど金融環境が改善したわけでもない。来週は今週のCPIやPPIほど注目度の高い米経済指標に乏しいため、新たな材料で方向感が出るというより、今週形成された金利市場の地合いを引き継ぎやすいとみている。
こうしたなか、来週は8万ドル周辺の需給環境に注目したい。今週16日のオプションカット通過後も、8万ドルストライクに建玉が集中し、ディーラーのポジティブガンマが維持されるようであれば、同水準では引き続き相応のサポートが期待される。その場合、FF金利先物市場で10月FOMCの据え置き観測がある程度後退しても、BTCは8万ドル周辺で底堅さを維持する可能性がある。

【第2図:Deribitにおけるストライク毎のBTCオプション建玉(10月16日時点)】
出所:Glassnodeより作成
一方、オプション満期後に建玉の集中するストライクが移動し、8万ドル周辺の需給サポートが弱まる場合には注意が必要だ。そこへ金利据え置き観測のさらなる後退が重なれば、これまで下値を支えてきた8万ドルを再び試す展開が想定される。同水準を明確に下抜ける場合には、先週示した7万5000ドル周辺まで調整幅を広げるリスクも引き続き意識しておきたい。
総じて、来週は8万ドル周辺を支えに底堅く推移する展開を基本線とするが、積極的に上値を追う材料にも乏しく、まずは8万〜8万5000ドル程度のレンジ内で方向感を模索する展開を想定する。今週の強いインフレ指標をこなしてなお維持した8万ドルのサポートが、オプションカット通過後も機能するかが来週の相場を見極める上で重要となろう。
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