
ニュースやSNSで「暗号資産(仮想通貨)」という言葉を見かける機会が増えてきました。気になる一方で「よく分からない」「危なそう」と感じている人も多いはずです。実際、仮想通貨は2009年にビットコインが誕生してから15年足らず――金融の常識を大きく揺さぶる仕組みであるがゆえに、誤解や先入観がつきまといます。
しかし近年は、米国でETF(上場投資信託)が承認され、上場企業や自治体が保有を表明するなど、大手機関も暗号資産を“無視できない存在”と位置づけ始めました。仕組みとリスクを正しく理解すれば、投資・送金・価値保存といった多彩な選択肢が広がる資産クラスでもあります。
本記事では、「簡単な答え」と「詳しい解説」の二段構成で、一般投資家が抱きがちな代表的な5つの誤解を順番に紐解きます。まずはこの記事で基礎を押さえ、暗号資産との正しい付き合い方を考えるきっかけにしてみてください。
目次
- ① 仮想通貨って、ビットコインだけのこと?
- ② 仮想通貨って、誰かが勝手に発行しているの?
- ③ ビットコインって、ただのデータでは?本当に“価値”があるの?
- ④ 仮想通貨って、買い方や保管が難しいの?
- ⑤ 仮想通貨取引は危険なの?
- まとめ:誤解を解けば、仮想通貨はもっと身近になる
① 仮想通貨って、ビットコインだけのこと?
ビットコインは2009年に誕生し、「価値の保存」や「決済手段」として普及しましたが、その後、市場は急拡大し、2025年6月時点で世界には数万種類、日本国内でも約100銘柄が取引可能です。
仮想通貨は、大きく「コイン」と「トークン」の2つに分類されます。
コインの例
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)など。これらは独自のブロックチェーンを持ち、ネットワークを維持するための報酬や手数料の原資として使われます。
トークンの例
イーサリアムやソラナのネットワーク上で発行されるERC-20トークンなどが代表的です。米ドルと連動するUSDC・USDTといった“ステーブルコイン”、LINKやRENDERのようなサービス内通貨、NFT(ERC-721)のように唯一性を持つデジタル資産もトークンの一種です。
また、ドージコインやPEPEのように、ジョークをきっかけに誕生した「ミームコイン」も存在します。こうした通貨が熱狂的なコミュニティを持ち、独自に成長する例もあります。
数千種類の通貨がそれぞれ目的や技術を広げ、市場を多様化させている――これが今の仮想通貨の全体像です。
② 仮想通貨って、誰かが勝手に発行しているの?
仮想通貨には、「分散型」で自動的に発行されるものと、「中央管理型」で企業や団体が運営するものの2パターンがあります。この違いを理解しておくと、通貨ごとの仕組みやリスクも見えやすくなります。
ビットコインは“誰のものでもない”通貨
ビットコインは、国や企業が発行・管理しているわけではありません。すべてはあらかじめ決められたプログラムのルールに従い、世界中の「マイナー(採掘者)」たちが自律的に新しいコインを発行しています。 約10分に1回、ブロックと呼ばれる取引記録が生成され、その報酬として新しいビットコインが生まれます。
この仕組みの特徴は、透明性・公平性・検閲耐性。誰かがコントロールできない、つまり“誰のものでもない”点が、ビットコインの本質といえます。
アルトコインには発行者が存在するケースが多い
一方、ビットコイン以外の通貨、いわゆるアルトコインの多くには、開発元や運営団体が存在します。
- イーサリアム(ETH)は、2014年にICO(新規コイン販売)を通じて一部コインをプレマイン(先に発行)しました。
- XRPは全てのコインが初めから発行済みで、その半数近くをリップル社が保有し、ロックアップ(売却制限)付きで段階的に市場へ供給しています。
トークンは“運営側の設計次第”
ERC-20などのトークン(既存のブロックチェーン上に乗る通貨)は、多くが財団や企業の手によって発行・管理されています。「トークノミクス」と呼ばれる経済設計の中で、供給量・保有者・売却ルールが決められており、プロジェクト側が大きな裁量を持つ場合もあります。
こうした構造が価格の安定性や信頼性に影響を与えることもあるため、「どうやって作られ、どう運営されているか」を知っておくことは、投資判断にも大きく関わる重要なポイントです。
③ ビットコインって、ただのデータでは?本当に“価値”があるの?
ビットコインは、金のような「物理的な実体」や、法定通貨のような「国家の信用」による裏付けを持ちません。それでも価値が認められてきたのは、「誰でも中身を確認でき」「勝手に増やせず」「止まることもない」という仕組みにあります。
こうした特性は、中央管理型の金融とはまったく異なる価値観を提示し、徐々に信頼を獲得してきました。仕組みとしての信頼性に加え、時代の要請とも重なったことで、利用者が増え、インターネット上にかつてない規模の“価値のネットワーク”が形成されつつあります。
信頼を支える3つの特徴
- 希少性:発行上限は2,100万枚。無制限に発行できる法定通貨とは異なり、インフレを防ぐ構造です。
- 透明性:すべての取引履歴がブロックチェーンに記録され、誰でも検証可能。改ざんはほぼ不可能です。
- 分散性:世界中のノードが協力して稼働し、15年以上一度も止まったことがありません。特定の管理者も不要です。
なぜ「欲しい人」が増えたのか
背景には、金融危機やインフレ、通貨価値の下落といった不確実な時代の中で、「国に依存しない資産」へのニーズが高まっていることがあります。特に米国の量的緩和や日本円の下落などを通じて、「発行量が制限された通貨」の価値が見直されるようになりました。
さらに次のような動きも、信頼と実需の拡大に拍車をかけています。
- 米国でビットコインETFが承認され、機関投資家が資産として保有
- テスラやマイクロストラテジーなど、企業による大量保有
- 一部の国や自治体が準備資産としてビットコインを導入
半減期で希少性がさらに高まる
ビットコインは約4年ごとに「半減期」を迎え、新規発行量が半分になります。この仕組みにより供給が抑えられる一方、利用者は年々増加。結果として相対的な希少性が高まりやすく、価格上昇を後押しする構造になっています。
こうした背景を踏まえると、ビットコインの価値は、仕組みとしての信頼性、時代が求めるニーズ、実際の採用・利用の広がり──これらの要素が組み合わさって、現在の価格と存在感を築いているのです。
もちろん、ビットコイン以外の仮想通貨にもさまざまな実用性があります。ただし、「デジタル価値の原点」として、最も強いネットワーク効果と認知を持っているのがビットコイン。だからこそ、市場原理に基づく価格が長期的に支えられているというわけです。
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④ 仮想通貨って、買い方や保管が難しいの?
「仮想通貨」と聞くと、何か特別な知識や設備が必要そうな印象を持たれがちですが、今ではアプリで簡単に購入できる時代です。
今ではアプリで簡単に売買でき、しかも100円単位から購入が可能。特別な設備や知識がなくても、「まず試してみる」ことができる環境が整っています。
仮想通貨アプリは、価格表示・購入ボタンともに非常にシンプル。銘柄の選び方や買い方も、株のように複雑ではなく、スマホ1つで誰でも迷わず操作できるように設計されています。
保管で大事なのは“秘密鍵”の管理
仮想通貨は、銀行のように第三者に預けなくても、自分で管理できる「自分の資産」です。その際に最も重要なのが、「秘密鍵」や「リカバリーフレーズ」の取り扱いです。これを失った場合、誰にも復旧できないため、保管には注意が必要です。
- 他人に絶対に教えない
- クラウド保存は避け、紙に書いてオフラインで保管
- 複数の取引所やウォレットに分散保有するのも有効
取引所に預けたままでもOK。慣れたら自己管理へ
最初は、取引所に預けたままでも問題ありません。 各社が提供する二段階認証や、不正アクセスに関する出金制限などのセキュリティ対策によって、安全性も高まります。慣れてきたら、徐々に自己管理型のウォレットへ移行していくなど、段階的なステップで学んでいくのが理想的です。
⑤ 仮想通貨取引は危険なの?
確かに、仮想通貨をめぐる事件は過去に複数報道されました。しかし、こうした事件を契機として金融庁による規制強化と業界全体のセキュリティ向上が大きく進展し、現在の国内取引所は銀行や証券会社と同等レベルの監督体制で運営されています。
過去の事件から学んだ安全対策
- コインチェック(2018年):不正送金の被害後、金融庁の監督下で顧客資産の補償が実施。現在はマネックスグループ傘下で証券会社レベルの管理体制を構築。
- DMMビットコイン(2024年):約482億円の流出事案が発生したが、グループ会社の全面支援により全額補償を完了。
これらの事例から、日本の規制環境の強化が顧客保護に寄与していることが伺えます。
初心者は“信頼できる取引所”を選ぶことから
仮想通貨には、DeFi(分散型金融)や自己管理型ウォレットなど、より高度な運用方法も存在します。これらは自由度が高い分、セキュリティ管理を全て自分で行う必要があるため、一定の知識と経験が求められます。
まずは「セキュリティ体制が整った国内取引所」を使い、段階的にリスクへの理解と管理スキルを身につけていくことが、最も現実的で安全なアプローチです。
詐欺の多くは“ネットリテラシー”の問題
近年増えている詐欺の多くは、仮想通貨そのものではなく、アカウント情報を狙う手口が中心です。
- 偽のログインページへ誘導する「フィッシング詐欺」
- SNSや通話などを通じて情報を引き出す「なりすまし・詐称」
- リモート操作アプリを使った乗っ取り被害
これらは、仮想通貨に限らずネットバンク・クレカ・SNSなどでも同様に存在するリスクです。こうした個人のネットリテラシーに関する対策は、別記事で詳しくまとめています。ぜひあわせてご確認ください。
まとめ:誤解を解けば、仮想通貨はもっと身近になる
仮想通貨には、難しそう・怪しそうという先入観がつきものです。ですが実際には、仕組みの透明性やセキュリティは日々進化しており、スマホ1つで少額から始められる手軽さも備えています。
特にビットコインは、「誰にも止められず、誰でも検証できる」仕組みによって信頼を獲得し、時代の不安定さとともに必要とされる存在へと成長してきました。正しい知識を持てば、仮想通貨は“遠いもの”ではありません。少しずつ理解を深め、自分に合った付き合い方を見つけていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 仮想通貨とビットコインはどう違うの?
Q2. 仮想通貨は誰が発行しているの?
Q3. データなのに、仮想通貨に価値があるのはなぜ?
Q4. 仮想通貨の買い方は難しい?
Q5. 仮想通貨は危険? 詐欺が多いって本当?
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