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仮想通貨の送金ミスによるセルフGOX回避法|リスクを軽減するテスト送金ガイド

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ブロックチェーン技術を用いて、わずかな手数料で素早く資金を送受信できるのは暗号資産(仮想通貨)の大きな魅力です。

しかし利便性が高い反面、伝統的な金融商品ではあり得なかった問題も表面化しています。その中でも致命的な損失になりうるのが「送金ミス」。仮想通貨を間違ったアドレスへ送金をすると、最悪の場合でトークン自体が消滅するか、アクセス不可能な状態になりうるためです。

そこで本記事では、送金ミスによって資産を失うことがないよう送金ミスが発生する原因や具体的なケース、対処法について詳しくご紹介します。

目次
  1. 仮想通貨の送金ミスとは
  2. 「セルフGOX」と呼ばれる仮想通貨の送金ミス問題
  3. 送金ミスを予防するには「テスト送金」を徹底
  4. 送金ミスが起きてしまった場合の対処法
  5. サポート体制が充実している取引所で送金ミスのリスクを軽減
  6. 送金ミスをなくして安全な取引

1. 仮想通貨の送金ミスとは

まず初めに仮想通貨における送金の仕組み、送金ミスとはどういった行為なのか概要を解説します。

1-1 仮想通貨の「送金」の仕組み

仮想通貨は、分散型ネットワークのブロックチェーンの強みを生かし、仲介者を必要とせずP2P(個人間)で直接トークンの送受信を行うことができます。伝統的な金融機関と比較すると格安な手数料で素早い送金が可能、営業日の制限がかかることもありません。

送金する方法はいたって簡単。個人用ウォレットや取引所アカウント内の送金機能から送信先のアドレス・通貨の種類・金額を指定して、P2Pネットワークに送信リクエストを送るだけです。

1-2 仮想通貨経験者にも起こりうる「送金ミス」

こういった送金をする際に最も注意しなければならないのが、送信先のアドレスを間違える「送金ミス」。

送金ミスが大きな問題になるのは、仮想通貨特有です。従来型の送金、例えば銀行を通じた法定通貨の送金なら、仮に送金ミスが起きたとしても銀行に連絡すれば簡単に組み戻しが可能で、大きな問題にはなりません。

しかし中央管理者が存在せず、ブロックチェーン技術を通じて送金処理を行う仮想通貨では大きく話が違ってきます。一度ブロックチェーンに処理が記録されれば、その記録は改ざん不可能。たとえ仮想通貨取引所であっても処理を変更する権限はなく、基本的に組み戻しのサポートは期待できません。

こういった理由から、仮想通貨の送金ミスによって送金したトークン全額を失うケースが相次いでいるのです。

2. 「セルフGOX」と呼ばれる仮想通貨の送金ミス問題

仮想通貨データ企業の「Chainalysis」によると、発行されたビットコイン(BTC)のうち、約20%が紛失またはアクセスできない状態にあり、事実上消滅しているとされます。

このように自身のミスによって仮想通貨を消失させる行為は、約470億円分のビットコインが流出したMt.GOX(マウントゴックス)事件になぞらえ「セルフGOX」と呼ばれて問題視されているのです。

送金ミス以外のセルフGOXとして、ウォレットのパスワードやシードフレーズを保存せずに失念してしまったケースが想定されます。使用していたデバイスをひとたびアンイストールしてしまったらアカウントの復元ができなくなるためです。

2-1 送金ミスが発生する理由

セルフGOXの中でも、とりわけ大きな問題となっているのが前述した「送金ミス」。そこで、まずは送金ミスが発生する理由をご紹介します。

送金ミスが発生する主な理由は、アドレスの打ち間違いや送信先ウォレットを間違えて入力したことです。ウォレットの仮想通貨アドレスは英数字の組み合わせで構成され、固有性があり、1文字でも間違えれば希望のアドレスには送金できません。

送金ミスの主なパターンは「①別のネットワークへの送金」と「②返金機能のないウォレットへの送金」、「③別のユーザーアカウントへの送金」でしょう。

まず、「①別のネットワークへの送金」について。

この送金ミスは、トークンを別のブロックチェーンネットワークへ送金を試みた場合に発生します。通常、別のネットワークへ送金を試みるとはエラーが発生して実行できないため問題にはなりません。しかし例外的に、Ethereum・Ethereum Classic・Polygonなどアドレス形式が類似するネットワークはシステムがエラーを検知できず、別のネットワークでも送金に成功してしまうケースがあります。その場合はトークンが消滅する可能性があるため、注意が必要です。

また「②返金機能のないウォレットに送金」してしまうケースもあります。20年には1億1600万円を超える仮想通貨を返金機能のないウォレットに誤送金してしまったユーザーの記録が発見されました。この場合トークン自体は存在するものの、アクセスができなくなるため事実上消滅します。

誤送金先のアドレスに所有者がいる場合は、「③別のユーザーアカウントへの送金」に該当。所有者への連絡・交渉を通じて返金に対応してもらえれば、通貨を取り戻すことも可能です。

2-3 送金ミスに見せかけたフィッシング詐欺に要注意

ただ、送金したはずの仮想通貨が着金しないとしても送金ミスとは限りません。悪意のあるハッキングや詐欺行為の被害に遭っている可能性もあるため注意しましょう。

近年、サイバー攻撃は高度化の一途をたどっており、手口も巧妙で簡単には見破れないものが増えています。例えばハッカーが個人投資家のデバイスに侵入し、仮想通貨ウォレットの署名画面に酷似した偽のポップアップを表示、そこに投資家が入力した秘密鍵の情報を抜き取って資産を盗難する事件なども発生しました。

ハッキングや詐欺被害の場合は法的な保護を受けられるため、被害に遭った場合は弁護士などに相談してみることをおすすめします。

3. 送金ミスを予防するには「テスト送金」を徹底

次に、送金ミスをあらかじめ回避する方法をご紹介します。

3-1 テスト送金を徹底する

まずは、正しい送信先アドレスを入力する工夫を徹底しましょう。ミスの原因になる手入力は避け、コピーペーストで入力するようにしてください。入力後も、送金前にアドレスが正しいかどうか再度チェックしてください。

続いてテスト送金を行います。テスト送金とは、送金ミスによって致命的な損失を被らないよう本番の送金前に行う少額の試し送金です。例えば1BTCを外部のウォレットに送金したいなら、まずは0.0001BTCをアドレスに送金し、問題なく着金したことを確認してから残りの金額を送信します。

テスト送金には時間、手間、送金手数料が2回分かかりますが、多額のトークンが消失するリスクを抱えるよりは良いでしょう。

特に新しいアドレスに送金するときや多額のトークンを送金するときは、毎回必ずテスト送金する習慣を作っておくことを強くおすすめします。

3-2 ホワイトリストを利用する

送金ミスを防ぐもう1つの手段として、ホワイトリスト(送金先の登録)の利用が挙げられます。

取引所によっては、送金時に送金先と後でどの取引所やウォレットであるかわかるように記入する「ラベル」を登録できる機能が備わっています。送金先のアドレスとラベルを登録することで、一度送金に成功すれば次回以降、それを指定するだけでテスト送金をする必要がなくなり安心して運用できます。

4. 送金ミスが起きてしまった場合の対処法

どれだけ気を付けていたとしても、ヒューマンエラーを皆無にすることはできません。お酒が入っていたり、疲れているときの操作ミスによって送金ミスを起こしてしまう事もあるかもしれません。そこで、万が一送金ミスをしてしまった場合の対処法について解説します。

4-1 まずは取引履歴を確認

まず、自分がどのアドレスに送金してしまったのかを正確に把握しましょう。送金先の詳細、取引所アカウントの取引履歴やブロックチェーン上にのトランザクション履歴を見れば確認可能です。

ブロックチェーンに記録された取引履歴はすべて公表されているため、各ネットワークの管理サイトを通じて検索できます。ビットコインなら「blockchain.com」のトップページ、イーサリアム(ETH)なら「etherscan.io」のトップページから検索バーにアドレスを入力すれば履歴を照会可能です。

その他の通貨は、「通貨名(英語で)」+「transaction(トランザクション)」というワードで検索すれば結果の上位に目当てのサイトが出てくるでしょう。

4-2 送金ミスした仮想通貨が取り戻せるケース

取引履歴を確認した後は、送金先アドレスに関する情報を集めましょう。送金先によっては、間違えて送った通貨を取り戻せる可能性があります。

例えば、誰かが実際に使用するウォレットへの送金した場合です。他人が実際に使用するアドレスに送金されている以上、そのトークンへのアクセス権が受信者に移行したに過ぎず、トークン自体は消滅してはいません。この場合はどうにかして所有者にコンタクトをとり、交渉に成功すれば送り返してもらえます。

また、取引所が関係する送金ミスであれば、サポートによって返金対応してもらえるケースがあります。例えば、同一の取引所内で起きた異なるネットワークへの送金であれば、サポートに連絡することで組み戻してもらえる可能性が高いでしょう。

4-3 送金ミスした仮想通貨を取り戻せないケース

一方で、送金ミスしたトークンを取り戻せない場合もあります。

例えば、送金したトークン自体が消滅してしまう場合です。前述したような、アドレス形式が類似する別のネットワークへの送金をするとトークンは消滅します。

これと似たパターンとして、「テザー(USDT)」を誤って異なるネットワークへ送金してしまった場合にも、トークンが消滅する危険があります。USDTはイーサリアム・トロン(TRX)・ステラ(XLM)など複数のブロックチェーンネットワークによってサポートされている特殊なトークンなので、同じトークンを別のネットワークに送信できてしまうケースがあるためです。

こういったパターンの送金ミスには取引所やウォレットのサポートが及ばず、返金・回復のサポートにも応じてもらえない場合が多いので、十分注意してください。

5. サポート体制が充実している取引所で送金ミスのリスクを軽減

最後に、送金ミスなどセルフGOXにより資産を失うリスクを減らすために効果的な、サポートが充実している国内取引所の例をご紹介します。

5-1 Coincheck(コインチェック)

出典:Coincheck

とにかく使いやすいインターフェースなら「ビットコインと言えばコインチェック」のCMでお馴染みコインチェックがおすすめです。初心者向けに設計された直観的に操作できるレイアウトにより、送金ミスを起こしにくいのが特徴です。

コインチェックは、東証一部上場企業マネックスグループの子会社。積極的にアルトコインを上場させている関係で取り扱い銘柄数は17種類と国内最多です。独自のNFTマーケット「Coincheck NFT(β版)」や、国内取引所で初のIEO(Initial Exchange Offering)プラットフォーム「 Coincheck IEO」を提供しています。

特に、仮想通貨初心者におすすめできる取引所でしょう。

関連:仮想通貨取引所コインチェックとは|投資家向け3つのおすすめポイント

5-2 DMMビットコイン

気軽なサポートを受けられる取引所をお探しなら、DMMビットコインが最適です。

取引所方式・販売所方式のメリットを両取りできる独自機能「BitMatch注文」を国内で唯一提供している事が特徴です。

DMMビットコインの特徴は、LINEサポートが充実している点でしょう。フォームからだけでなく、普段使いのLINE経由で365日気軽にサポートを受けることができます。質問すれば本部から数分ほどで回答が届き、トラブルが起きた際にも素早く対応してもらえるため安心です。

関連:DMMビットコインとは|主な特徴と注目ポイントを解説

5-3 bitFlyer(ビットフライヤー)

出典:bitFlyer

より手厚いサポートが受けられる取引所なら、bitFlyerがおすすめ。

bitFlyerはビットコイン取引で国内最大規模の取引高を誇り、日本以外にもアメリカ・ヨーロッパに拠点を置き世界規模で展開する日本発の取引所です。

取引所としては珍しく電話でのサポートを受け付けており、サポートに直接トラブルについて相談ができるのが特徴です。送金ミスが起きてしまった場合など、電話を通じて詳細なサポートを受けたい場合はbitFlyerが最適でしょう。

関連:仮想通貨(ビットコイン)取引所bitFlyerとは|投資家向け3つのおすすめポイント

6. 送金ミスをなくして安全な取引

本記事では、仮想通貨の送金ミスの概要、予防方法・対処法について詳しく解説しました。送金ミスは、初心者だけでなく取引に慣れた中級者や上級者ですら起こしうるため、注意しましょう。サポートが充実している取引所を選択し、アドレスをダブルチェックし、大金を送る前には必ずテスト送金を徹底すれば、かなりリスクは減らせるはずです。送金ミスを回避して、安心安全な取引を実現してください。

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