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仮想通貨ニアの将来性、ジーキャッシュ取引とNEAR Intentsの関係は?

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なぜNEARが注目されているのか

NEAR Protocol(ニアプロトコル)が暗号資産(仮想通貨)市場で注目を集めている。特に取引量と手数料収益が指数関数的に成長しており、この成長の鍵は2025年2月に完成したジーキャッシュ(ZEC)統合だ。

本レポートでは、NEAR Protocolの中核技術である「NEAR Intents」の仕組みを解説し、なぜジーキャッシュ統合が戦略的に重要なのか、そして実際の成長データが何を示しているのかを分析する。

技術的背景:高速・低コストの仕組み

NEAR Protocolは2020年にローンチされたブロックチェーンで、「Nightshade」というシャーディング技術を使う。ネットワークを複数に分割して並列処理することで、秒間数千トランザクションを処理し、手数料は1セント未満に抑えている。

創設者Illia Polosukhin氏は元Google AI研究者で、ChatGPTなどの基礎技術(Transformer)を作った人物だ。NEARは誕生時からAI技術との統合を意識して設計されている。

NEAR Intentsとは:金融取引に特化した新システム

出典:Near Org

NEAR Intentsは、ユーザーが「取引の結果(Intent)」だけを宣言すれば、ネットワークが最適なルート・価格・在庫で取引を成立させる仕組みだ。 単なる手順の自動化ではなく、「資本と注文の最適な組み合わせを市場原理で決定する取引の調整レイヤー」として機能する。 2024年11月にベータ版、2025年Q1に正式ローンチされた。

従来の問題

例えば「ETH上のUSDC→ソラナ上のSOL」の交換では、ブリッジの選定・待機(10〜30分)・DEXの選択・価格確認・スワップ実行が必要で、 手数料は二重化し、ブリッジのハッキングリスクも避けられなかった。

NEAR Intentsの解決方法

ユーザーは「ETH上の100 USDC → SOLに交換」とIntentを宣言するだけで、後はネットワークが自動執行する:

  • ソルバー競争:在庫と価格で競う分散型マーケットメイカーが最適条件を入札
  • 最適執行:勝者が在庫と流動性網で即時決済
  • 結果保証:ユーザーは希望資産だけ受け取る
  • リスク低減:資産をブリッジに預けないため安全性が高い

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ソルバーの仕組み:市場競争で動く

ソルバーはユーザーの注文を執行するだけでなく、在庫(インベントリ)と価格の最適性で競争する市場参加者だ。 プール型のDEXではなく、在庫×流動性ネットワークで価格を即時成立させる執行市場として機能する。

利益はスプレッド(調達価格との差額)で発生し、トークン報酬に依存しない純粋な市場競争モデルで動くため、中立かつ持続可能な仕組みとなっている。

手数料構造

手数料はプロトコル手数料0.0001%を基準に、Near-Intents.org経由で+0.2%、1Click Swap API(APIキーなし)で+0.1%が追加される。 ユーザー負担は最小0.0001%〜0.2%で、従来のブリッジ/AMM(0.1%以上)と比べ競争力が高い。

手数料はfee_collectorfefundsadmin.sputnik-dao.near(Sputnik DAO)へ送付されるが、最終的な配分の詳細は公開されていない。

ジーキャッシュ統合の戦略的先見性

2025年2月のジーキャッシュ統合は、NEARの戦略的判断の鋭さを示している。ジーキャッシュはゼロ知識証明(zk-SNARKs)を使い、送信者、受信者、金額を全て暗号化できる世界最高水準のプライバシー技術を持つ。

しかし課題もあった:高度な暗号化ゆえに他のブロックチェーンとの連携が困難で、「孤立したプライバシーコイン」だった。最高の技術を持ちながら、使える場所がほとんどなかった。

NEARは他のどのチェーンよりも先に、この課題を解決する価値を見抜いた。NEAR Intentsはジーキャッシュの公式ウォレット「Zashi」に直接統合され、ユーザーはZashi内で他のチェーンの資産(ビットコイン、イーサリアム上のUSDC、ソラナ等)から直接、シールドされたジーキャッシュを取得できるようになった。

さらに革新的なのが「CrossPay」機能だ。送信者はシールドされたジーキャッシュで支払い、受取人は別のチェーン上で別の資産を受け取れる。これまで「プライバシー」と「利便性」は相反するものだったが、NEAR Intentsはこれを両立させた。ジーキャッシュは「孤立したプライバシーコイン」から「あらゆるチェーンで使える統合プライバシーインフラ」へ進化した。

エコシステムの広さ:技術的参入障壁

NEAR Intentsは、EVM(Ethereum/Arbitrum/Polygon等)、BTC、Solana、Tron、Ton、Stellar、XRP、Dogecoin、Sui、Zcashなど10以上のチェーンと、 8種の署名規格およびMetaMask・Phantom・Ledger・TronLinkなど主要ウォレットに対応する。

この競争優位は単なる「機能の多さ」ではなく、実行ネットワーク・流動性・署名/UXの3層が統合された構造にある。 競合が追いつくには、以下すべての再構築が必要になる。

  • 実行レイヤー: ソルバーによる競争執行ネットワーク
  • 流動性レイヤー: 在庫(Inventory)と資産リデンプション網
  • 署名/UXレイヤー: 8種署名+マルチチェーン+ネイティブウォレット統合

意図設計(Intent)自体は模倣できても、「ネットワークと在庫の経済圏」はコピーできない。これがNEARの実質的な参入障壁となっている。

Near intentsの成長を示す実データ

出典:Token Terminal

最新データ(2025年10月27日週):

過去30日間の取引量:24億ドル(+176%)

過去30日間の手数料収益:440万ドル(+175%)

累積取引量(1年間):44億ドル

累積手数料収益(1年間):800万ドル

特に2025年7月以降の指数関数的成長が顕著で、10月第1週には週次取引量が7.5億ドル超、週次手数料が150万ドル超に達した。30日間で175%成長となる。

トークン価格への影響について

重要:月間440万ドルの手数料収益がNEARトークン価格にどう影響するかは、配分メカニズムに依存する。公式ドキュメントでは手数料の送金先は明記されているが、最終的な使途は明示されていない。

確認できている事実

  • 基盤レイヤーの焼却メカニズム:NEAR Protocolは、L1ガス手数料の70%を常時焼却する仕組みを持つ
  • NEAR Intentsの取引量増加により、L1レイヤーでのガス消費も増加
  • これにより間接的なデフレ圧力が発生する

不明確な点

  • NEAR Intents固有の手数料(月間440万ドル)の具体的な配分先
  • バイバック&バーン(買い戻しと焼却)実施の有無
  • 手数料収益からトークン保有者への直接的な価値還元の有無

手数料収益の配分メカニズムが不透明なため、プロトコルの成長がトークン価格に反映されるかは不確実である。手数料収益が適切にトークン保有者に還元されない場合、利益は上位層アプリケーションや運営者に集中し、トークン価格には寄与しない可能性がある。

競合との比較と持続可能性

技術的独占性はない。CoW Swap、UniswapX、LayerZero、Wormholeなども類似のシステムを運営または提供している。

NEARの強みは:

ジーキャッシュ統合を最初に完了:Zashiウォレット標準機能として統合済み

ソルバーネットワーク構築済み:実証済みのエコシステム

10以上のチェーン対応:広範な互換性

現時点で唯一の実用ルート:非カストディアルでネイティブジーキャッシュ取得

競合の脅威も存在する。ソラナ + ジーキャッシュ統合なら処理速度でNEARを上回る可能性がある。LayerZeroは70以上のチェーンに対応し、より広範なエコシステムを持つ。これらが実現すれば、NEARの先行優位性は失われる。

まとめ

NEAR Protocolは、Zcash統合によるプライバシーの相互接続から出発し、現在はWeb3の統合流動性レイヤーへと進化している。

2025年10月現在、NEAR Intentsはステーブルコイン大口執行の新たな実行標準となりつつあり、イーサリアム、ソラナ、トロン、トン、Layer-2間で最大100万ドル規模のスワップを1:1に近いレート・極小手数料で成立させる。

UX面ではDapDap開発の専用UI「StableFlow」が提供され、複雑なルーティングを意識せず最適執行を利用できる環境が整ってきた。ステーブルコインの利用拡大は、NEAR Intentsの需要をさらに押し上げる追い風となる。

また、Grayscale Decentralized AI Fundの最大保有銘柄の一つとして、機関投資家からの長期的な信頼も確認されている。

一方で、手数料収益の配分やバイバック&バーンの有無は依然として不透明で、 「プロトコル価値がトークン価値へ還元されない場合、収益は上位アプリ層に偏る」との指摘もある。

NEARの次の分岐点はエコノミクス設計の明確化にある。 ステーブルコイン市場の拡大とIntents/StableFlowの利用成長が持続し、価値還元が設計レベルで接続されれば、 NEARはマルチチェーン流動性インフラの中核へ移行できる可能性を持つ。

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