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10年間アクセス不能だった492.5 ETH(約3億円) ReWalletがウォレットを復旧した実話

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

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暗号資産の価格はこの数年で大きく上昇しました。しかしその一方で、「昔買ったビットコインやイーサリアムのウォレットにアクセスできない」という悩みを抱える人が増えています。パスワードを忘れた、秘密鍵のバックアップを取っていなかったなど、リカバリーフレーズを紛失したなど理由はさまざまですが、目の前に資産があるのに手が届かないという状況は共通しています。

こうした状況は、資産が永遠に失われてしまったかのように感じます。しかし、必ずしもそうではありません。永久的に失ってしまったように見えるものが、実は対処可能な技術的な障壁となっている場合もあるのです。

今回紹介するダン氏もその一人です。米カリフォルニア州在住のITコンサルタントである同氏は、2014年のイーサリアム(ETH)プレセールに0.25 BTC(当時約132ドル)で参加し、492.5 ETHを手に入れましたが、ウォレットのパスワードを紛失し、約10年にわたって資産にアクセスできない状態が続いていました。2021年のETH価格ピーク時には約240万ドル(約3億円)相当にまで膨らんでいた資産です。

この状況を打開したのが、暗号資産ウォレットの復旧を専門とするスイスの企業ReWalletでした。同社は27文字におよぶパスワードの解読に成功し、ダン氏は無事に資産を取り戻しています。

関連:ReWallet(リウォレット)とは?暗号資産ウォレット復旧サービスの全貌を解説

ダン氏が参加した
イーサリアムプレセールとは

2014年7月、イーサリアムの開発チームはヴィタリック・ブテリン氏の告知のもと、暗号資産「イーサ(ETH)」のプレセールを開始しました。42日間で約1,830万ドルを調達し、合計約5,100万ETHが販売されています。

参加者はethereum.org上で購入額を入力し、メールアドレスとパスワードを登録。暗号化されたJSONファイルをダウンロードし、指定アドレスにBTCを送金する流れでした。このJSONファイルには秘密鍵が格納されており、2015年のブロックチェーン稼働後、JSONファイルとパスワードを使ってMyEtherWalletなどの対応ウォレットに取り込むことでETHにアクセスできる仕組みです。交換レートは当初の1 BTC = 2,000 ETHから、セール終了時には1 BTC = 1,337 ETHまで低下しました。

ETHにアクセスするには?
JSON
ファイル
+
PW
パスワード
=
ETH
アクセス
⚠ どちらか一方でも失えば、資産にはたどり着けません

ダン氏のプレセール参加と
投資の概要

ダン氏がプレセールを知ったのは2014年8月、The Epoch Timesに掲載されたイーサリアム共同創設者ジョー・ルービン氏のインタビュー記事がきっかけでした。Blockchain.infoのウォレットから0.25 BTCを送金し、当時のレート(1 BTC = 1,970 ETH)で492.5 ETHを取得しています。日本円にして約1.4万円の投資でした。

当時のプレセールウォレットでは、パスワードに「10文字以上」「数字を含む」「大文字・小文字の両方を含む」「記号を含む」といった条件が設けられていました。ダン氏はこのルールに沿って27文字のパスワードを作成し、紙にメモして保管していたといいます。

オンチェーンデータに基づく資産記録
プレセール投資額0.25 BTC(当時 約$132)
取得数量492.5 ETH
2021年11月 ETH最高値$4,891(CoinGecko)
同時点の理論評価額約$2,400,000
※理論評価額は ETH最高値 × 保有数量の単純計算であり、実際の売却価格とは異なります。
240万ドル
ピーク時の理論評価額(約3億円)

この資産に、ダン氏は10年間
手を触れることができなかった。

パスワード紛失から
復旧までの10年間

ウォレット設定時にパスワードを紙に書き留めていたダン氏ですが、その紙はいつの間にかなくなっていました。2015年にイーサリアムのメインネットが立ち上がり、ETHの価格が上がり始めると、パスワードが見つからないことが深刻な問題になっていきます。

下のグラフは、ダン氏がパスワードを失っていた期間のETH価格と、保有する492.5 ETHの評価額の推移を示したものです。2021年11月のピーク時には約240万ドル(約3億円)に達しており、「もしあの時点で復旧できていたら」という思いが伝わってきます。

ETH価格推移(月次終値)
2015年9月〜2023年12月|CoinMarketCap
USD JPY
月次終値
2015年9月 メインネット稼働 2021年1月 メモ発見・業者依頼 2021年11月 ETH最高値 2023年10月 ReWalletに依頼 2023年12月 復旧成功
2014年8月
イーサリアムプレセールに0.25 BTCで参加し、492.5 ETHを取得。パスワードを紙にメモして保管。
2015年
イーサリアムのメインネットが稼働。パスワードの紛失に気づき、自宅を探すも見つからず。
2015年〜2021年
ETHの価格が上がり続ける中、ウォレットにアクセスできない日々が続く。周囲から「もったいない」と言われ続け、精神的にも大きな負担に。
2021年
古いノートからパスワードの手がかりとなるメモ(「eth3r」を含む文字列)を発見。初めてウォレット復旧業者に依頼。
2021年〜2023年
最初に依頼した業者が約3年にわたり作業を続けるも、パスワードの特定には至らず。
2023年秋
暗号資産市場の回復を機に、ReWalletへの依頼を決断。
2023年(依頼から約6週間後)
ReWalletが27文字のパスワード復元に成功。ダン氏は約10年ぶりに資産へのアクセスを取り戻す。

ダン氏の場合はパスワードの紛失が原因でしたが、プレセールウォレットにアクセスできなくなるケースは他にもあります。ReWalletによると、JSONファイルそのものをなくしてしまった、ウォレット作成時に日本語などの非ラテン文字を使ったことでエンコーディングの不具合が生じた、ハードドライブの物理的な故障でファイルが読み出せなくなった、フィッシング詐欺に遭ってウォレット情報を盗まれたといったケースが確認されているそうです。

なぜダン氏のケースは
難しかったのか

ダン氏の復旧が一筋縄ではいかなかった理由は複数あります。まず、対象がイーサリアムのプレセール専用ウォレットであり、一般的なウォレットとは暗号化の仕様が異なっていた点。加えて、パスワードが27文字と、典型的な復旧案件より大幅に長く、ダン氏の手元にあったのは断片的な手がかりだけでした。

最初に依頼した業者は3年間にわたって作業を続けましたが、解読には至りませんでした。ダン氏自身もTrustpilotのレビューで「ほとんど不可能に思えた」と当時を振り返っています。

ReWalletはどのように
解読したのか

ダン氏からReWalletに連絡が入った時点で、状況は極めて厳しいものでした。パスワードは27文字、手がかりは古いノートに走り書きされた断片的な文字列のみ。別の業者がすでに3年間取り組んでいたにもかかわらず、突破口は見つかっていませんでした。

ReWalletのCTO、ブルーノ・クラウス氏がこのケースに選んだアプローチは、単純なブルートフォース攻撃ではなくフォレンジック調査でした。まず行ったのは、ダン氏への詳細なヒアリングです。ウォレットファイルの技術的な解析より先に、「そもそもダン氏がどうやってそのパスワードを作ったか」を当時にさかのぼって洗い出すことを優先しました。当時の習慣、普段使っていたパスワードの傾向、そしてノートにメモを書き残した状況。そうした細かい情報を丁寧に聞き取りました。

そして、そのノートの断片が突破口になりました。チームはこれを「パスワードの一部」とは見ませんでした。むしろ「記憶の手がかり」、つまりパスワード全体を頭の中で思い出すための略記ではないかと考えたのです。もしそうであれば、その文字列が示しているのは正確な文字ではなく、パスワードの構造そのものだということになります。

この仮説をもとに、ReWalletはイーサリアムプレセールウォレット専用の暗号化仕様に合わせて復旧ソフトウェアを改良。一般的な解析ツールと比べてはるかに効率よく候補パターンを検証できる体制を整えました。さらに、次の3つの要素を掛け合わせることで候補範囲を一気に絞り込みました。

  • プレセールのパスワード要件(10文字以上、数字・大文字・小文字・記号を含む)
  • 当時のパスワード作成方法に関するダン氏の記憶
  • ノートから読み取れる構造的なヒント

ランダムな総当たりではなく、ダン氏自身の行動パターンから導き出した候補に絞って検証を重ねた結果、調査開始からおよそ6週間後、27文字のパスワードの特定に成功しました。約10年ぶりにウォレットへのアクセスを取り戻したダン氏が資金を移動した際のトランザクションは、Etherscanで確認できます。

6週間
前の業者は3年間かかっても解読できなかった。
ReWalletは約6週間で成功した。

プレセールウォレットの
復旧方法

ダン氏のように専門業者に依頼する方法のほかにも、手元の情報に応じた復旧手段があります。

JSONファイルとパスワードが両方揃っていれば、MyEtherWalletやMyCryptoなどのウォレットにファイルを取り込み、パスワードで秘密鍵を復号するだけで完了です。JSONファイルはあるがパスワードがわからない場合は、心当たりのあるパスワードを手動で試してみるのが最初のステップになります。「10文字以上」「数字・大文字・小文字・記号を含む」といった制約を意識して候補を絞り込むと効率的です。一方、JSONファイル自体が見つからない場合は難度がかなり上がりますが、当時使っていたハードドライブやメールアカウントからデータを復元できる可能性はゼロではありません。

自力での復旧が難しいと感じたら、実績が公開されていて法的な契約がしっかりした専門サービスに相談するのが現実的な選択肢です。ダン氏のケースのように、ある業者では解決できなかった問題が、別のアプローチで突破口を見つけられることもあります。

復旧後に気をつけたい
セキュリティ対策

ダン氏の10年間は、パスワード管理がいかに大切かを改めて物語っています。ウォレットの復旧を目指している方、あるいはすでに復旧に成功した方にとって、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。

まず、パスワードは複数のバックアップを作り、別々の場所で管理してください。紙で保管するなら耐火金庫や貸金庫が安心ですし、デジタル管理ならオフライン専用の暗号化されたパスワードマネージャーのみを使用してください。JSONファイルは暗号化したUSBドライブなどオフラインの環境に移し、メールの受信箱に残したままにしないようにしましょう。復旧後の資産は、TrezorやLedgerといったハードウェアウォレットに移しておくと、ハッキングのリスクを大きく減らせます。

また、復旧サービスの選び方にも注意が必要です。高額な資産が眠るプレセールウォレットは詐欺の格好の標的であり、「復旧ツール」を装った不正プログラムで資産を盗まれるケースも報告されています。

ダン氏をはじめ多くのクライアントがReWalletを選ぶ理由は、成功報酬型という明快な料金体系と、法的な保護がしっかり整備された契約の透明性にあります。Trustpilotなどに積み重なったクライアントの声がその評判を裏付けており、正式登録企業としてチームメンバーの実名も公開されているなど、説明責任と透明性を経営の軸に置いている点も信頼につながっています。さらにダン氏の場合、復旧の開始から完了まで一貫して専任の担当者が窓口となり、状況に応じた丁寧な対応がされました。

ReWalletについて

ReWalletは、暗号資産ウォレットの復旧を専門とするスイスの企業です。ビットコインウォレットおよびイーサリアムウォレットの復旧に対応しており、Blockchain.infoウォレットやイーサリアムプレセールウォレットがその代表例です。そのほかさまざまなウォレット形式にも幅広く対応しています。料金は成功報酬型で、復旧できた場合にのみ費用が発生する仕組みです。詳しくは公式サイト(rewallet.com)をご覧ください。

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