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トレカ市場を変革?!TCGのNFT化(トークン化)とは?図解でわかりやすく

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

トークン化って何?

「ポケカNFTって何?」「トークン化って結局どういうこと?」── SNSやニュースで目にする機会が増えた一方、多くの方が疑問を抱いているのがTCGのNFT化です。

デジタル戦略の発展により、90年代から続くトレーディングカードゲーム(TCG)市場の取引形態は変容しつつあります。トークン化、すなわち実物カードを担保にNFT(非代替性トークン)を発行するプロジェクトが台頭しているのです。

海外ではCollector CryptoやCourtyardといったプラットフォームが急成長を遂げる一方、日本国内でもメルカリトレカくじ「TCG STORE」が同種のサービスを展開。2025年10月には償還申請が1万件を超え、想定を大幅に上回る人気を集めています。

本記事では、トレーディングカードゲーム(TCG)のトークン化って「何なの?」の疑問に応えるべく、仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

TCG市場の概要

そもそもトレーディングカードゲーム(TCG)について馴染のない方も多いでしょう。実は、この市場はコロナ禍をきっかけに、大人世代を中心に人気が再燃し、近年大きな成長を遂げています。

出典:Straits Research

国内では、来年30周年を迎える「ポケモンカード」を筆頭に、玩具市場シェア全体の27.2%をTCGが掌握。世界市場も好調です。2025年の市場規模147億ドル(2,200億円)に対して、2034年は374億ドルへ、成長が見込まれています(Straits Research「SRCP1372DR」調べ)。

TCGのトークン化

TCGのトークン化は、こうした市場の課題である「売買コスト」や「物的リスク」を改善し、流動性を高める手段として喧伝されています。

市場の具体的な動向を見ると、2025年8月の月間取引量は、トークン化TCG市場全体で1億2,450万ドル(約183億円)に到達。わずか8ヶ月で5.5倍に成長。主要プラットフォームでは『Courtyard』の月間出来高は7,840万ドル、『Collector Crypt』が4,400万ドルを記録しました。

TCGトークン化の仕組み

ここでは、ポケモンカードを扱う「Collector Crypt」を例に、TCGをNFT化する仕組みを5段階に分けて説明します。

TCGトークン化フロー

TCGトークン化フロー:CoinPost作成

  1. カードの送付:ユーザは​トークン化したい​トレーディングカードを送付します。​保管庫に​到着するまでの間、​送付物は​追跡されます。​
  2. 鑑定・保管:送付されたカードは​、世界的鑑定会社による鑑定・グレーディングを​受けたのち、​高セキュリティの​金庫に​保管されます。​​カードの​スキャン画像や​識別番号も​記録されます。​
  3. NFT化:カードに対応した​NFT​(非​代替性トークン)を​発行し、​ユーザの​ウォレットに​送付します。​
  4. 売買:NFT化されたカードは、​デジタルプラットフォーム上での​取引が​可能に​なります。​物理的な​受渡を​介さず、​NFTの​送受を通じて​カードの​所有権を​譲渡します。​
  5. 償還:ユーザはNFTと​引き換えに、​いつでも​カードの​実物を​要求する​ことができます。​カードの償還を受ける場合、対応する​NFTは​バーンされます。

以上のステップが表す通り、登録やカード授受の手間は削減する一方、保管前の鑑定プロセスはきちんと設けられています(Collector Crypt)。

メリット・デメリット

項目 メリット デメリット
流動性・コスト
手数料4%
物理的な受渡不要で売買コスト大幅減。eBay(13%)と比較して低手数料を実現
管理体制リスク
盗難・紛失が発生した場合、トークン価値が下落する可能性
物理的リスク
厳重保管
高セキュリティ金庫で保管。破損・紛失・詐欺リスクが大幅低下
非公式性
ポケモン公式とは無関係。公式サポート受けられず、権利問題発生の可能性
取引環境
24時間取引可能
地理的制約なしでグローバルに取引。管理コスト削減で低手数料実現
在庫保有の透明性
一部プラットフォームは在庫なしで運営。「過大広告」との批判も

✓ 在庫保有を確認しよう

CourtyardやCollector Cryptは実際にカードを保有していますが、一部プラットフォームでは在庫なしで運営されています。ガチャなどのサービスを利用する際は、プラットフォームが実際にカードを保管しているか確認することが重要です。

主要プラットフォーム比較

トークン化ポケモンカード市場には複数のプラットフォームが存在します。それぞれ基盤技術や独自トークンの有無が異なります。

トークン化ポケモンカード市場には複数のプラットフォームが存在します。それぞれ基盤技術や独自トークンの有無が異なります。

項目 Courtyard Collector Crypt Phygitals
2025年8月取引額 7,840万ドル 4,400万ドル
200万ドル
前月比245%増
基盤技術 ポリゴン ソラナ
在庫保有
独自トークン 未発行 CARDS 未発行

✓ トークン未発行プラットフォームに注目

CourtyardとPhygitalsはまだ独自トークンをリリースしていないため、今後のエアドロップ(無料配布)への期待が高まっています。

Collector Cryptoの収益構造

出典:Collector Crypto

ここでは、代表的事例である「Collector Crypto」の具体的サービスを通じて、その収益構造を紹介します。

収益の要「ガチャ」

ランダムなNFTのパックを購入できるサービスで、収益の大部分を占める事業です。レアリティに応じて出現率が変化するなど、実際のガチャガチャ・パック開封に類似した体験を味わうことができます。

注目されているのは、ガチャ開封時に利用できる「即時買い戻し」機能。ユーザが開封したばかりのNFTを、Collector Cryptoが85%の価格で買い戻すというもので、ガチャ購入→開封→買い戻し→買い戻し金で更にガチャ購入 のサイクルを促進します。

Collector Cryptoガチャのフロー:CoinPost作成

このシステムが後押しとなり、9月には一時間足らずの間に150万ドル相当のパックを売り上げました。

Collector Cryptの収益構造は、市場価格の85~90%でカードを仕入れ、100%で販売するスプレッド差額と手数料が基盤です。得られた収益は最優先で物理カードの追加購入に充てられ、「世界で最も潤沢なカードストック」の構築を目指しています。余剰資金の一部はトークン買い戻しに使用され、将来的にはバーン(焼却)やDeFi連携も構想中です。

9月第1週だけでCollector Cryptのガチャ需要は1,660万ドル(約24億円)に達し、年間予想収益は3,800万ドル(約56億円)と見込まれています。参考として、国内TCG、2次流通大手「晴れる屋」のポケカの25年7月売上は3.65億円であり、グローバル市場の規模の大きさが伺えます。

CARDSトークンの仕組み

Collector Cryptは2025年8月に独自トークン「CARDS」をローンチし、価格は1週間足らずで約10倍に高騰しました。その収益構造は以下の循環モデルで成り立っています:

CARDSの機能チャート:CoinPost作成

  1. 仕入れ:市場価格の85~90%でカードを買い取り、Collector Cryptの金庫(保管庫)に保管
  2. 販売:ユーザに市場価格の100%でカード(NFT)を販売
  3. 還元:ユーザがNFTをトークンで買い戻すなど、プラットフォーム内で利用
  4. 差額収益:10~15%のスプレッド差額が収益となり、最優先で物理カードの追加購入に充てられる

この循環により「世界で最も潤沢なカードストック」の構築を目指しています。余剰資金の一部はCARDSトークンの買い戻しに使用され、将来的にはバーン(焼却)やDeFi連携も構想中です。

独自トークンへの期待と注意点

プラットフォームの取引高が急増している背景には、独自トークンのエアドロップ(無料配布)への期待があります。CourtyardやPhygitalsは独自トークンを未発行のため、早期ユーザーへの報酬を狙った取引が活発化しています。

ただし注意が必要です。取引高の一部はエアドロップ期待による投機的な動きであり、実需との区別が困難です。また、供給量の88%が10ウォレットに集中しているとの指摘もあります。市場規模を評価する際は、この「エアドロップ効果」を差し引いて見る必要があります。

まとめ

TCGのNFT化は、物理的な受渡不要で24時間取引可能という利便性と、厳重な保管による安全性を提供する一方で、管理体制リスクや非公式性といった課題も抱えています。市場は2025年8月時点で1億2,450万ドル(約183億円)規模に成長し、今後も拡大が見込まれています。

実際に購入を検討している方は、Phantom ウォレット(ソラナ基盤の場合)やMetaMask(ポリゴン基盤の場合)を準備し、ソラナ(SOL)やUSDCといった暗号資産を取得する必要があります。ただし、非公式サービスであること、在庫保有の透明性、管理体制リスクなどを十分に理解した上で、必ず余裕資金で始めましょう。

詳しいウォレットの作り方や暗号資産の購入方法、リスク対策については、Phabtomウォレットの使い方をご覧ください。

よくある質問

Q: NFT化したカードは本当に安全?

A: CourtYardやCollector Cryptoについては、高セキュリティの金庫で厳重に保管されることが提示されています。世界的鑑定会社による鑑定・グレーディングを受けた後、スキャン画像や識別番号も記録されるため、破損や紛失のリスクが大幅に低下します。

Q: いつでも実物カードに戻せる?

A: 上記2社に関してはいつでも可能とされています。NFTと引き換えに実物カードの償還を要求できます。償還時には対応するNFTがバーンされる仕組みです。

Q: 手数料はどのくらいかかる?

A: Collector Cryptoの場合、販売時2%、償還時2%の合計4%です。従来の大手マーケットプレイス(eBayなど約13%)と比べて大幅に低く抑えられています。

Q: 公式との関係は?

A: Collector Cryptoは完全二次市場の仕組みであり、株式会社ポケモンや任天堂とは無関係です。非公式NFTであるため、公式サポートは受けられません。

※今後、権利関係の問題が発生する可能性もゼロではないため、利用時は自己責任でお願いします。

Q: ガチャの「即時買い戻し」って何?

A: 開封したばかりのNFTを85%の価格でCollector Cryptoが買い戻す機能です。ガチャ購入→開封→買い戻し→再購入のサイクルを促進し、9月には1時間で150万ドル相当のパックを売り上げました。

Q: CARDSトークンの将来性は?

A: ローンチ後1週間で価格が約10倍に上昇。売買スプレッドや手数料で得た収益による買い戻し戦略、カードラインナップの充実などユーザ還元施策が評価されています。将来的にはバックエンド機能の提供やスポーツカード市場進出の可能性も示唆されています。

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