
トレーディングカード取引を革新
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは9月30日、トークン化されたポケモンカードなどの資産が、次のビッグトレンドとなる可能性があるとするブログ記事を発表した。
CoinGeckoのデータを引用し、2025年8月時点で、トークン化ポケモンカードの取引量がすでに1億2,450万ドル(約183億円)に達したと報告している。これは、トークン化市場のみであり、物理的な市場は計算に入っていない数字だ。
バイナンスは、トークン化ポケモンカードは、安全な金庫に保管されている本物のポケモンカードを裏付けにするものだと指摘。物理的なカードの所有権を証明する非代替トークン(NFT)であり、コレクターはいつでもグローバルに取引できると続けた。
物理的なカードを手に入れたい場合は、NFTをバーン(焼却)して実際のカードと引き換えることも可能だ。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
バイナンスは、物理的なカードをトレードする上では様々な制限があったと述べる。トークン化は地理的な制約なしで、グローバルに、シームレスに、24時間365日公正に取引する方法を提供するものだとしている。
また、コレクターにとってカードの真贋判定も常に課題だったと続けた。偽造カードはベテランのファンでさえ騙す可能性があり、売買や取引に厄介な問題を引き起こしていたが、トークン化の過程では厳格なカード検証を行い、このリスクを下げていることを指摘する。
プラットフォームのいくつかは、日本でカプセルトイ(ガチャポン)として知られるような仕組みを導入しており、プレイヤーがランダムに引いたカードを80~85%程度の価格で即時に買い戻す仕組みも備えている。このことも、人気の背景とされているところだ。
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出典:Messari
主要な4つのマーケットプレイスにおけるトークン化ポケモンカードゲームの売上高は、8月に1億2,450万ドル(約183億円)に到達。1月から5.5倍に増加した。
最大手Courtyardでは8月の取引額が7,840万ドル、ソラナ(SOL)上で最大のCollector Cryptでは4,400万ドルを記録。Phygitalsは200万ドルだが、取引額は先月比で245%と急増している。
Collector Cryptが8月末にローンチした独自のユーティリティトークンCARDSが、1週間も経たないうちに一時的に10倍に上昇したことも話題になった。なお、これまでのピークで0.37ドルに達したが、現在は0.28ドル付近で推移している。
Collector Cryptは現時点で年間3,800万ドル(約56億円)の収益を得ることが見込まれている状況で、投資家はその収益の一部がCARDSトークンの買い戻しに使用され、さらに価値が上がることを期待している。
同プラットフォームは、手数料収益などで、NFTの裏付けとなるトレーディングカードの購入を進めていくとしている。世界で最も潤沢なカードのストックを構築することを目標に掲げているところだ。
なお、CourtyardとPhygitalsはまだ独自トークンをリリースしておらず、今後のエアドロップへの期待が高まっている。
*トークン化ポケモンカードのマーケットプレイスは、物理的な公式トレーディングカードを裏付けとしてその所有権をNFT(非代替性トークン)で取引する独自の二次市場であり、株式会社ポケモンや任天堂などが関与しているわけではない。
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