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ビットコインのショートポジション活用法と資産運用のためのレバレッジ取引

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ショートポジションやレバレッジ取引の活用法

日本の暗号資産(仮想通貨9市場では2倍のレバレッジ規制が敷かれていますが、レバレッジ取引は、少ない資金で倍率をかけることで資金効率に秀でている一方、使い方を間違えると、あっという間に資産を全て溶かすことができるほどのリスクを内包しています。

ここでは、レバレッジ取引をどのように使うべきかを解説し、読んで頂いた皆様に「博打としてのレバレッジ取引」ではなく、「資産運用のためのレバレッジ取引」を行ってもらえるよう解説していきたいと思います。

レバレッジ取引とは

レバレッジ取引とは、実際に入金している金額を「証拠金」として利用し、取引を数倍に膨らませて取引を行うことです。

現物取引ではレバレッジをかけた取引ができないため、元の資金以上の取引を行うことはできませんが、レバレッジ取引ではレバレッジをかけた取引ができるため、現物取引と比べて資金効率の良い取引が可能です。

レバレッジを2倍で取引を行った場合の損失を簡単に計算してみましょう。 1BTCが=1000万円の時に証拠金を100万円入金して取引を行ったとします。

現物取引であれば0.1BTCまでしか購入できませんが、レバレッジ取引であれば0.2BTC(200万円)まで取引可能です。

2倍のレバレッジを欠けてロング(買い)ポジションを取った後に、1BTCの価格が950万円に、5%下落したとします。

現物取引の場合は0.1BTC(100万円)×5%=▲5万円が損失となりますが、2倍で取引したレバレッジ取引の場合は 200万円×5%=▲10万円という結果になります。

つまり損失も倍増しています。 (※計算例のためレバレッジ取引にかかるfunding rate等コストは計算対象外としています。また証拠金維持率が定められているため、実際には急激な変動前にストップロスが発動する場合があります。)

リターン/リスクの両方が現物の2倍となっているということを最初は覚えておきましょう。

レバレッジ取引ではショートポジションを利用可能

レバレッジ取引には現物取引では実現できない取引方法がいくつかあります。その一つが「空売り(ショート)」です。

空売り(ショート)とは、市場の下落時に利益を得るための手法です。これは、暗号資産(仮想通貨)の証拠金取引でも利用できる注文方法です。具体的には、保有している暗号資産(仮想通貨)を売却するのではなく、預けている資産を証拠金として使用し、先に売って後で買い戻すという取引を行います。

FX取引の場合、実際には原資産を借りているわけではなく、イメージとしては「借りたポジションを反映させ、後で買い戻す際に発生した法定通貨の変化分のみを決済する」ことになります。

資産運用のためのレバレッジ取引を利用するには

レバレッジ取引を行っている人は、実際に自分自身がどのくらいのリスクを取っているのか理解していない投資家やトレーダーが多いと感じます。そしてレバレッジ取引=「危ない」とか「博打」というイメージがついていくことになりかねませんが、実際は考えて利用すると大きな武器となります。

それでは、どのようにレバレッジ取引を利用していけばいいのでしょうか? シナリオ別に分けて解説したいと思います。

仮想通貨長期ホルダーのヘッジ手段

レバレッジ取引は、単に利益を大きく取るためのツールではなく、リスクをコントロールするための重要な手段です。特に、現物の仮想通貨を長期間保有している投資家にとって、ヘッジ手段として利用可能です。

例えば、0.2 BTCを保有している投資家が、ビットコイン半減期後に価格が下落すると予想する場合、0.1 BTC分の日本円を入金し、レバレッジ2倍でショートポジションを構築します。

予想通りBTCが5%下落した場合、現物で保有している0.2 BTCは5%の損失が発生しますが、ショートポジションで取った0.2 BTC分(0.1 BTC×2倍のレバレッジ)では、現物での損失分が利益となります。その結果、両者を合わせると損失はほぼゼロに近くなるでしょう。

この手法はヘッジのためのレバレッジ取引の典型的な方法です。また、2024年に流行しているエアドロップの資産運用においても有効です。現物の下落リスクを抑えながら、新規トークンの獲得益を狙うために用いられます。

マイニング業者や機関投資家は、半減期などの重要なイベント前後に発生するリスクを最小限に抑えるため、巨額のヘッジポジションを保有することがあります。このようなヘッジポジションが急変動によって連鎖的に清算されると、市場に大きな影響を与えることもあります。

目標リターンから逆算したレバレッジ取引の使い方

次に、目標リターンを設定した場合のレバレッジ取引の使い方について説明します。ここではビットコインを例に挙げて考えてみましょう。

例えば、投資家が「1年間で20%のリターン」を目標とした場合と、「1ヶ月で20%のリターン」を目標とした場合では、取引戦略が大きく異なります。

「1年間で20%の目標リターンの場合」

1年間で20%のリターンを目指す場合、現物取引を選ぶのが合理的です。その理由は、「1年間の期間で現物価格が20%以上動く可能性が高いから」です。現物価格が目標リターン分動くのであれば、わざわざレバレッジ取引を利用する必要はないでしょう。また、レバレッジ取引にはfunding rate(ファンディングレート)と呼ばれるキャリーコストがかかり、これがマイナス要因となる場合もあります。

キャリーコストとは、ポジションを保有することによって発生するコストであり、スワップコストとも呼ばれます。例えば、1年間レバレッジ取引を行うと、数%のコストがかかるため、リターンの目標が現物取引で達成可能であれば、レバレッジ取引を利用する必要はないと言えるでしょう。

「1ヶ月で20%の目標リターンの場合」

一方で、1ヶ月で20%のリターンを目指す場合は、レバレッジを活用する必要があります。この場合、ボラティリティの見積もりに基づいてレバレッジの倍率を調整することが重要です。例えば、1ヶ月でボラティリティが10%と予想される場合、レバレッジを2倍に設定することで目標リターンに近づけることができます。

このアプローチは、ビットコインが1ヶ月で20%の値動きを示さないという前提に基づいています。市場のボラティリティが高い場合には、レバレッジを活用することで目標リターンの達成が可能ですが、もし1ヶ月で40%以上の値動きが予想される場合、レバレッジの使用はあまり意味がなくなるかもしれません。

逆に、市場参加者が減少しボラティリティが3%などに低下する場合は、レバレッジを積極的に活用するのが良いでしょう。市場の状況に応じて、レバレッジの利用方針を見直すことが重要です。

おすすめ仮想通貨取引所のレバレッジ取引を比較

取引所名 レバレッジ
取引形式
レバレッジ
取引手数料
レバレッジ
最大倍率
レバレッジ
手数料
ロスカットルール 両建て 預け入れ
証拠金
解説
暗号資産(仮想通貨)取引所 SBI VCトレード 販売所 無料 2倍 変動:ファンディングレート 証拠金維持率80%未満 日本円
暗号資産(仮想通貨)取引所 GMOコイン 販売所
取引所
無料 2倍 固定:ポジション金額×0.04% 取引所1,建玉単位:現在レートが建玉のロスカットレート(50%)に達した場合
取引所2,口座単位:証拠金維持率30%
販売所:証拠金維持率75%
日本円
暗号資産(仮想通貨)取引所 bitFlyer 取引所 無料 2倍 変動:ファンディングレート 証拠金維持率100%未満 不可 日本円、BTC

レバレッジ取引で絶対行なってはいけないこと

レバレッジ取引で最も避けるべきなのは、「値動きが激しい時にレバレッジを最大限に利用して取引を行うこと」です。

例えば、SNSでは海外の取引所でレバレッジが100倍まで利用できることが取り上げられることがありますが、大事なのは「高いレバレッジによってストップロスのラインが大幅に下がり、値動きがあっても余裕を持てる」という点です。

多くの投資家は、値動きが大きいときにレバレッジをフルに使えば短期間で大きな利益を得られると考えがちです。確かに、ビギナーズラックで成功することもありますが、その一度の「大失敗」が資産を一瞬で溶かすリスクもあるのです。

レバレッジ取引を行う際は、ボラティリティと市場環境を十分に考慮し、適切なレバレッジで取引をすることが大切です。冷静な判断とリスク管理が成功のカギとなります。

レバレッジ取引を適切に利用するためには、以下のポイントを守ることが重要です。

まず、レバレッジ取引は長期投資には向いていないと考えます。その理由は、スワップコスト(ポジション保有コスト)が取引所によって数時間ごとや1日ごとに発生することが多く、これが1年間で累積すると大きなコストとなるためです。

レバレッジ取引を行う際は、以下の手順を守ることをお勧めします:

  1. 目標リターンと達成期間を設定する
  2. 対象となる投資通貨のボラティリティを確認する
  3. レバレッジ取引の必要性を判断する
  4. 適切なレバレッジ倍率を設定してトレードを行う

無計画にレバレッジ取引で大きなリスクを取ることは、単なる博打と同じです。トレードの本質は「快感を得ること」ではなく、「利益を得ること」です。娯楽としてのトレードと資産運用としてのトレードでは、目的が全く異なることを理解しましょう。

レバレッジ取引は、現物取引で達成できないリターンがある場合に利用することを推奨します。個人投資家は短期的な視点で判断しがちですが、年間で現物取引が50%以上の値動きをするアセットクラスは稀です。レバレッジをかけた取引には相応のリスクが伴うため、必要な場合にのみ慎重に利用するのが賢明です。

「レバレッジ取引のご利用は計画的に」行いましょう。

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