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日本には「リノベーションのバランス」が必要、グローバルで勝つ戦略とは

これからトークンエコノミーはさらなる発展を遂げていくでしょう。そしてその中での「取引所」の存在意義はとても重要なものであり、業界の展望のカギを握っています。

どうすることでこの業界をより魅力的なものにしていけるのか、また規制とイノベーションとのバランスについて、今回はお話ししていきたいと思います。

前回の記事紹介
前回の記事では、Liquidのグローバル展開において米国進出が欠かせない理由、またそこでのアジアの強みを主なテーマにお話ししました。 アジアから圧倒的な流動性を、仮想通貨交換業における米国進出の重要性|Liquidコラム
初回記事はこちら 仮想通貨業界、今後発展していくのは分散型と中央集権のハイブリットモデル|Liquidコラム(1)

グローバルな金融サービス展開に必要な戦略

例えばフェイスブックやインスタグラム、日本ではラインなどSNSの場合は1つの企業が独占して一瞬で広がっていくことがありますが、一方で金融サービスはそのようなことが起こりにくいといえます。各国の法令に従う必要があるからです。

ただし金融サービスでもコンシューマー向けではなく、機関投資家向けのものはグローバルに展開されています。ゴールドマンサックスであったり投資銀行系のサービスなどがその例です。

それなので我々としては、金融もキーとなるマーケットはおさえていきながら、他の部分ではパートナーシップをとって緩やかな連携をとっていく形が仮想通貨周りの経済圏になっていくのではと思っています。米国や日本、アジア、ヨーロッパという4ヶ所で、我々単独なのか、あるいはパートナーシップを組んでやっていくのかを適時選択しながらやっていきたいというのが我々の考えです。

またその中で決済の際にQASHトークンが使われるようになれば、その価値は上がっていくでしょう。ただしトークンの定義は国によって異なってくるので、証券制度にあたらないかといった部分などを見極めながら動いていかなければなりません。

業界の発展に不可欠なリノベーションのバランス

つい最近、日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)からトークンの販売などに関するガイドライン案が出ましたが、規制づくりに向けて前進したと思う一方で、その実効性や運用の部分については悩ましい部分もあります。大企業しかトークンを発行できないなどとなると、本来のミッションという点が損なわれてしまう可能性があるのでしょう。そこはリノベーションが必要です。

ただし規制づくりにおける手探りな状況は日本に限ったことではありません。新しい産業とは探り探り進めていくものであって、当局と協会と発行体や交換所が連携しながらつくっていく形になるでしょう。

またリノベーションのバランスがとれていれば、日本は業界において世界を牽引する国の1つになると思います。ただしガラパゴスになってはいけません。グローバルに合わせた動きが必要となってきます。

取引所の存在意義

もし仮想通貨がビットコインだけでしたら交換所の必要性は大きくありません。しかしあらゆるものがデジタル化していく中で、何千あるいは何万という資産があると交換所の存在はものすごく重要になってきます。

例えばeコマースで、みんながエルメスだけを買いたいというのであれば、エルメスの直販店さえあれば十分です。でもそうではなく、アマゾンのようにできるだけ多くの品揃えがあり様々な欲しい商品が買える、そしてクレジットカードや代引き、振込み、後払いなど複数の決済手段を選択できる場所が求められます。

それは取引所も同じで、できるだけ多くのトークンを扱い、支払い手段を広げていくことで多くのお客様がきてくれると思います。またそれは単独ではできないと思っていて、そのようなエコシステムをみんなで築き上げていくことが大事だと考えています。

それができれば、この産業はさらに魅力的なものとして広がりをみせていくでしょう。

今後は取扱いトークンのタイプで特色がでる

今後は取引所の中でも、扱うトークンのタイプが取引所ごとに異なる形になっていくと考えています。

例えば発行体さえいない純粋仮想通貨や決済トークンなどのユーティリティトークンを扱うところだったり、セキュリティトークンを扱うところだったりというように。またセキュリティトークンに関しても、債券型トークンだったり証券型トークンだったりで、扱う銘柄が分かれてくるでしょう。

その中で東証一部、二部のような形になるかもしれませんし、インダストリーごとになるかもしれません。そのような世界が広がっていく可能性はあるでしょう。

またそれがグローバルになるとさらに連合化していき、国をまたがってコンソリデーションが起こっていくと思います。そうなると、発行体が今後証券を発行しようとなるときに、資金調達の手段も広がっていきます。それがグローバルにできるとなると、とてもおもしろいのではないでしょうか。

栢森 加里矢 リキッドグループ株式会社共同創業者・CEO

ブロックチェーンテクノロジーを基盤とした次世代の金融サービスを提供するグローバルフィ ンテック企業のリキッドグループ共同創業者・CEO。

創業以前はソフトバンクグループのSVPとしてアジア事業を統括。また、Globespan Capital Partnersのシニア・ディレクターとして日本及びアジアの投資、米国投資先のアジア事業開発を統括。三菱商事株式会社でナチュラルローソン創業、英ブーツ社とのJVを立上げた。東京大学法学部卒業、ハーバード大学MBA取得。

栢森 加里矢 Twitter( @MikeKayamoriJP)

LiquidとQASHトークンの展望、そしてデジタル世代の若者へのメッセージ|Liquidコラム(4)

次回記事では、他と比較して優位性のあるブロックチェーンとはどのようなものなのか、またLiquidが発行するQASHトークンについてもお話しをしていきます。

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