デジタル資産事業の強化を検討
欧州金融大手のドイツ銀行は、独自のステーブルコイン発行や様々な形態のトークン化預金を検討している。ブルームバーグが6日に報じた。
ドイツ銀行のデジタル資産・通貨変革責任者であるサビ・ベザド氏は、次のように述べている。
特に米国において、良好な規制環境と相まって、ステーブルコインの勢いは確実に見られている。
銀行は、準備金管理者としての活動から、単独またはコンソーシアムによる独自のステーブルコイン発行まで、ステーブルコイン業界への参入において多様な選択肢を持っている。
4月には、ドイツ銀行やスタンダード・チャータード銀行などが、米国で仮想通貨事業に参入することを検討していると伝えられたところだ。ステーブルコイン事業も選択肢の一つとなっている可能性がある。
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現在、米国ではステーブルコイン規制法案の審議が進められているところだ。法案が成立し規制が明確化すれば、この分野に参入する企業が増えることも考えられる。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
ドイツ銀行はすでに、デジタル資産分野に携わっている。2023年には、デジタル資産のカストディ及び発行基盤を手掛けるスイスのTaurus(トーラス)と提携した。
その際、同行の担当者は、デジタル資産市場が数兆ドルの規模に成長すると見込まれる中、「カストディアン(資産保管者)として、クライアントのニーズに応えることが必要だ」と話していた。
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また、2024年11月にはフィンテック企業Partiorに出資。同社は、ブロックチェーンを活用し、多様なトークン化された金融商品を対象としたアトミック決済を提供している。
なお、アトミック決済とは取引の両サイド(資産の受け渡しと支払い)の手続きを同時に行うことで、決済リスクや信用リスクを大幅に低減するものだ。
その後ドイツ銀行は今年の5月末、Partiorのプラットフォームにユーロ・米ドル決済銀行として参加する契約を締結している。この際、Partiorのハンフリー・ヴァレンブレーダーCEOは、次のようにコメントしていた。
ドイツ銀行の支援を得て、私たちはクロスボーダー決済を電子的なダイレクトメッセージと同じくらいシームレス、安全、即時に実現するというミッションにさらに力を入れていく。
また、同行との提携により、カスタマーリレーションを強化し革新的で付加価値の高いサービスを提供し、金融機関や法人のお客様により良いサービスを提供できるソリューションを打ち出していきたい。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します