「ビットコイン採掘は無意味に電力消費」に反論も 仮想通貨マイニングの持続可能性について

マイニングは無意味に電力消費するという主張

ビットコイン電力消費指数などを分析する企業Digiconomistの創設者であるAlex de Vries氏は、英国メディアThe Telegraphのインタビューで、ビットコイン(BTC)のマイニングで消費される電力について厳しい評価を行った。

de Vries氏によると、1回のビットコイン取引は、英国においてYoutubeで5万2043時間のビデオストリーミングを供給するのと同じだけの電力を消費するという。

また、マイニング装置の98%は、BTC取引を検証することはなく、結果として莫大で非生産的な電力消費をもたらすと主張。計算を行うための、より優れたマシンが次々誕生するために、「ビットコインマイニングマシンの平均寿命は1年半」というサイクルでマシンが入れ替わる無駄も生じていると説明した。

マイニングマシンの98%は稼働中、報酬を受け取る取ることができない状況で無駄に電力を浪費、熱を発生さ続けている

一方、de Vries氏の見解には業界メディアらから問題点も指摘されている。例えば、新しいブロックの生成に成功しなかったマイナーは無意味にエネルギーを浪費しているとの主張については、これはマイニングプールのダイナミクスを考慮していない考え方で、大きなハッシュパワーがビットコインネットワークのセキュリティにもたらす利点を無視していると主張した。

再生可能エネルギーで「持続可能」なマイニング

de Vries氏の計算は、Digiconomistのビットコイン電力消費指数(BECI)から導き出されたもの。同指数に基づく計算では、ビットコインの電力消費は最近記録的な最高値に達しており、年間約毎時77.78テラワットで、チリ全体が消費した電力とほぼ同じであるという。

この消費電力についても、異なる分析結果も存在する。仮想通貨投資会社Coinsharesが、BECIが作成した数値と矛盾するレポートを公開。マイナーが消費する電力をDigiconomistの約半分と推定した。Coinsharesの2018年のレポートによると、ビットコインマイニングの大部分は安価な再生可能エネルギー、特に水力で賄われている。

また、同社の2019年12月のレポートでは、ビットコインネットワークの電力に使用される電力の73%が再生可能エネルギー源であり、その3分の2が中国にあると推定している。中国は豊富な水力発電によるマイニング工場で知られている。

仮想通貨支持者のAndreas Antonopolousは、この点について、再生可能エネルギーで生産された電力は他の用途にも使用できると述べる。

風力、太陽光、水力などを発電に用いる場合、装置は風や日光がある限り電力を生産するが、化石燃料を無駄遣いしているわけではない。また、余剰電力を貯蔵して他の用途にあてられる可能性もあると同氏は論じている。

多くのマイニング企業は現在、米国のテキサス州に旗艦施設を設立する動きを見せているが、テキサス州は風力発電が盛んであり、もし国だと仮定すると世界第5位の風力発電国となる。

「持続可能なマイニング」を掲げて2018年に立ち上げられ、急速な成長を遂げるNorthern Bitcoin社も、テキサス州の安価な風力発電による電力を理由として、同州100エーカー(約40万5000平方メートル)以上のエリアで1ギガワットの発電容量を可能にする施設を建設中である。

同社は、費用効率が高く再生可能エネルギーに基づいた独自の最先端のマイニングハードウェアと、自社開発のマイニングプールを有している。テキサス州のマイニング施設が建設完了するのは2020年第4四半期になる見込みだ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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