英規制局『仮想通貨のリスクを最小限に、革新は最大限に』
- イギリスFCAの最高責任者のBailey氏が注目発言
- イギリス有数の規制局が集う年次公開会議にて、FCA責任者のBailey氏が仮想通貨とブロックチェーン技術が今後、金融分野にイノベーションをもたらす可能性を持つと認め、同時にリスクを最小限に抑えていくことが大切であると指摘した。
- FCAの取り組み
- イギリスのFCAは、今年3月に同国財務省とイングランド銀行と共に、仮想通貨専門調査チームを組織しており、仮想通貨業界において着実に関心を高めてきていると言えるだろう。引き続きイギリス政府の動向が注目ポイントとなる。
- FCAとは
- イギリス金融行動監視機構(FCA:Financial Conduct Authority)は、英国内の金融サービス業の規制、金融業界の安定性促進、顧客の安全を推進している監督機関。
FCA最高責任者Bailey氏の発言
イギリスの金融分野を規制する公的機関である金融行動監督機構(FCA)は、9月11日に行われた複数規制局の年次公開会議に出席し、FCAの責任者を務めるAndrew Bailey氏が仮想通貨について言及しました。
Bailey氏は、今回の年次公開会議にて、現時点で仮想通貨は”サイバーリスク”と”フィンテックにおける革新”という2面性を持ち、仮想通貨に伴うリスクを最小限に抑えつつ、金融分野における革新を最大限に高めていくべきだと、以下のように発言しました。
次に挙げられるのが、技術的革新、イノベーションへの影響だ。
私が以前語った通り、FCAは断固としてイノベーションを支持していくことに変わりはない。しかし、私達は、イノベーションに伴うリスクや新しく台頭する問題などとバランスを取っていかなければならない。
その最たる例が仮想資産だ。この根底にある(ブロックチェーン)技術の持つ可能性に関心を持っており、仮想資産の役割を阻害するつもりはない。
しかし、リスクが存在していることも明らかで、そのリスクは、消費者がその資産および、高いボラティリティを有していることを適切に認知しているか否かに留まらない。
今回の発言が注目された背景には過去にBailey氏は、仮想通貨が通貨ではないと強く主張していた事が挙げられます。
仮想通貨は、価格面において非常にボラティリティが高い商品(コモディティ)である。
(2017年に)起こったことを振り返れば、警告せずにはいられない。私たちは、どのようなものがビットコイン価格に影響を与えているのかほとんど分からないからだ。
もし、あなたがビットコインに投資したいのであれば、その資金を失う覚悟で投資しなければならない。
このように、一方的とも言えるBailey氏の2017年12月時点の発言と、仮想通貨やブロックチェーン技術の可能性を少なからず認めている今回の発言の差は歴然としています。
仮想通貨市場全体が高騰していた為、警戒すべき必要性は否めなかったものの、Bailey氏自身の考えには肯定的な変化が見られたと言えるでしょう。
FCAの取り組み
世界5位のGDPを誇る経済大国イギリスでは3月、財務省、イングランド銀行、そしてFCAが一致して仮想通貨専門調査チームを発足、仮想通貨とブロックチェーン技術の潜在可能性とリスクを調査していました。
5月中旬にも、仮想通貨に対して、どのような規制が必要とされているのかを議論する会議が開かれたことが明らかになっており、中央銀行が母体となって発行するデジタル通貨に関する議論も行われていました。
今回の年次公開会議でも、Bailey氏はその仮想通貨専門調査チームについても言及し、以下のようにまとめています。
私たちは、このような(仮想通貨および、ブロックチェーン技術関連の)問題において財務省、およびイングランド銀行と密接に協力し、適切な対応を考えている。
このように、政府規模での仮想通貨専門調査チームが発足され、複数の政府機関が集まる年次公開会議で、仮想通貨やブロックチェーン技術の将来性について言及されるようになったのは、進歩だと言えるでしょう。
イギリスはアメリカや中国、日本、ドイツの後に並ぶ経済大国で金融界では重要な国の一つとなっています。
そのイギリス政府の仮想通貨やブロックチェーン技術に対する姿勢は、少なからず他国の規制方針に与える可能性が予想できます。
今後、イギリス政府がどのようにして技術的イノベーションと消費者保護を両立していくのかがキーポイントとなるでしょう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します