ビットコイン対円で最高値更新、オプション市場みても下値余地は限定的か|bitbankアナリスト寄稿
今週2/10(土)〜2/16(金)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2/10(土)〜2/16(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は前週に引き続き確りと推移し、史上最高値となる779.8万円を2年3ヶ月ぶりに更新した。
BTC円は週明けから上値を追う展開を演じ、710万円周辺から740万円を回復した。この日は、全営業日の米現物ビットコインETFへの資金流入が5億ドルを超えたほか、新トークン規格ERC-404で注目されるイーサ(ETH)が堅調に推移したことが相場の支援材料となった。
13日、相場は節目の5万ドル水準で揉み合った後、1月の米CPIの結果を受けて反落するも、ETFへの資金のネットフローが4億ドルを超え引き続き強い需要が確認されたことで、下げ幅をすかさず解消した。
14日には、13日分のETFへのネットフローが6.31億ドルと、米CPIの上振れに関わらず過去最高額を更新したことが好感され、BTCは780万円にタッチした。
一方、これにより相場は5.2万ドル水準まで回復すると、15日からは同水準を挟み込み方向感に欠ける展開となっている。
先週のBTCは、米国で現物ビットコインETFの取引が開始した直後の下げ幅を解消し、そろそろ戻り売りも入りやすいかと指摘したが、ETFへの資金のフローは1月26日を機に純増状態が続いている上、2月8日からは1日でマイニングされるBTCの額(900BTC=4,700万ドル)を遥かに上回る純流入額(3.39億ドル〜6.31億ドル)となっている。
しかも、今週は米CPIの上振れというサプライズがあり、13日には米国でFRBによる早期利下げ開始観測が後退したにも関わらず、ETFへの資金流入額は過去最高を更新しており、利下げ後ろ倒しのリスクが顕在化する状況でも機関投資家のBTC需要が旺盛であったことが示された。
BTCは直近2週間ほどで急ピッチな相場上昇を演じており、テクニカル的には過熱感も確認される状態となっているが、こうしたETF需要の堅調さが続けば、5.2万ドル周辺での小休憩をこなして再び上値を追う展開が想定される。
BTCはドル建てでも今週、年初来高値を更新しており、目先の上値目途としては、オプション市場で建玉の集中するストライクが目安となりそうだ。
足元では、5.5万ドルと6万ドルに建玉が集中しており、直近の相場の上昇ペースから鑑みれば月末に6万ドルを試す展開も視野に入る。反対に、相場が調整に入った場合でも、オプション市場では5万ドルストライクが最大ピンとなっており、下値余地はかなり限定的と見ている。
他方、FF金利先物市場では、2月に入って3月〜5月の利下げ開始観測が大幅に後退し、足元では6月の利下げ開始が大勢のコンセンサスとなった。1月まで市場はFRBによる早期利下げを期待し過ぎていると指摘してきたが、16日時点で市場の政策金利見通しFOMCの見通しの差は大幅に縮小した。
依然として利下げ開始は年後半にずれ込む可能性もあるが、年末の着地予想はFOMCの4.75%に対して市場は4.5%と、1月には75bpあった差が25bpまで縮んだ。
これだけの見通しの修正を市場がショックを起こさずにこなせているのもある意味驚きだが、FOMCとの見通しの擦り合わせが進むのはショックの余地を小さくすると言え、安心材料だ。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ETF承認後の下げ幅解消のビットコイン、13日のCPIには警戒感も
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