FATFガイドラインで仮想通貨の「アングラ化」懸念 仮想通貨取引追跡企業が指摘

仮想通貨の犯罪利用

CipherTrace社のCEOであるDavid Jevans氏は、FATF(金融活動作業部会)のガイドラインによって、これまで犯罪利用の主流にあったビットコイン(BTC)などの有名銘柄ではなく、匿名通貨(ブライバシーコイン)に利用ケースが移行していく恐れがあると語った。いわゆる規制強化に伴う「アングラ化」が進む懸念だ。

ブロックチェーン推進団体「デジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce)」のディスカッションでの発言だ。

CipherTrace社は、大手仮想通貨取引所バイナンスや楽天ウォレットとも提携している企業で、市場流通する仮想通貨のトラッキングとデータの収集を行なっている。

Jevans氏によると、現在最も犯罪で利用されている仮想通貨はビットコインやイーサリアム(ETH)を初めとする有名な銘柄であるという。名称にブランド力があり、流動性が高く売買が容易なことが、その理由である。CipherTrace社が犯罪と認識した取引の内95%で、有名な仮想通貨が使われていたと説明した。

FATFは今年6月、仮想通貨の監督法を明確にするためのガイダンスを発表。仮想通貨プロバイダー(VASP)に関して各国は、仮想通貨取引における送金の受益者(受取側)が利用する機関が、それらオリジネーター(送金者)の情報と受益者の情報を受け取り、必要な情報を保持しているかを確認すべきだと指示。必要な情報には送金者と受取側双方の氏名と口座番号(ウォレット等)、また送金者の住所等が含まれている。

このガイダンスを元に各国の規制機関がルールを定めることになっているが、Jevans氏はこのガイダンスに従うと、犯罪者はモネロ(XMR)やDASHといった匿名通貨を使う「アングラ化」に繋がると指摘。匿名化に対抗するには、仮想通貨取引所にも銀行と同レベルの規制が必要だと語った。

実際FATFのガイダンス発表後、匿名通貨の上場や取引を停止する動きも出てきており、換金性や流動性の面で匿名通貨を抑え込もうとする動きは各国で確認されている。

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CipherTrace社は今月、700超の仮想通貨が追跡可能になったことを発表した。出来高上位100銘柄の内の90%弱に対応できるようになり、取引所を含む金融機関はマネーロンダリング対策等で、個別の通貨を追跡することが可能になっている。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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