ビットコインと株式で過去最高の「相関係数」 仮想通貨の割安域はどこに?

ビットコインと株式で過去最高の「相関係数」

週明け16日の米NY株式市場で、ダウ工業株平均は前週末比約3000ドル安と、史上最大の急落となった。

米連邦準備制度理事会が、事実上のゼロ金利と量的緩和政策の再開を決定。新型コロナウイルスのパンデミックによる世界経済の落ち込みからパニック相場となる株式市場を安定させるための措置として講じられたが、市場は新型コロナウイルス感染による景気悪化への対策としては不十分と判断した。金融市場の動揺は深まる一方だ。

ダウ平均の終値は、前週比2997.10ドル(12.9%)安の2万0188.52ドルに。下落率は、歴史的な暴落に当たるブラックマンデー以来の大きさ。下げ幅は一時3000ドルを超えた。

取引開始から売り注文が殺到し2000ドルを超える下落を記録、過去2週間で3回目となるサーキットブレーカーによる取引停止に見舞われた。

リスク回避姿勢を強めた株や為替市場の影響は、ビットコインなど金融市場全般にも波及。為替市場やダウ先物にも影響を及ぼす「指数売り」との相関が強まりつつあるビットコイン市場の傾向は17日も継続した。

株式市場との相関性は、S&P500指数との90日間の相関係数でビットコイン誕生以来初めてとなる0.52を記録(13日)。VIX指数急上昇などセンチメントの悪化や、追証回避、および換金売り需要で、マクロ経済指数との連動を余儀なくされている現状がある。(Arcan Reserch)

13日に日間騰落率で2013年以来の下げ幅と記録的大暴落となったビットコインは、ハッシュレート値やプラストークンの動向など、市場の不確定要素も含め、リスク回避姿勢を強めている。

ビットコインハッシュレートが急落

BTCのマイニング計算力を表すハッシュレート(採掘速度)は、大幅減少している。 ピーク時には1.36億TH/sだったが、1億TH/sを割り込んだ。市場の下落が発端となり、相当数のマイナーが稼働を停止した可能性がある。

次回のデフィカルティ調整まで8日と依然遠い中で、マイナーだけでなく、市場も警戒する1週間となりそうだ。

ハッシュレートの急落の影響は、ブロックの生成速度の低下にも繋がる可能性があり、送金遅延のほか、ビットコイン半減期の実行ブロックまで到達する期間に遅延にも繋がる。

bitinfochartsのデータによると、3月8日以降ブロック生成時間は12分付近で推移している。これは、通常の生成時間から2分ほど遅延しているデータで、1日に換算すると5時間の遅れが生じている計算。約2ヵ月後に迫るビットコインの半減期までのカウントダウンにも狂いが生じそうだ。

出典:binance

ビットコインは割安域か?

仮想通貨(暗号資産)アナリストのPhilip Swift氏が、現在ビットコイン(BTC)の価格が割安になっていることをデータを用いて指摘した。

Swift氏はBTCの市場時価総額(Market Cap)と実現時価総額(Realized Cap)、標準偏差(Std Dev)を用いた以下の式で、「MVRV Z-score」という指標を算出。市場時価総額が実現時価総額よりも下がっているとツイートした。

市場時価総額とは、BTCの市場価格と通貨の発行量を掛けた金額。一方実現時価総額は、市場価格というよりは、実際に移動した各BTCの価格を計算に利用する。つまり1つのウォレットから別のウォレットに移動した時の価格だ。その個別のBTCの価格を合計して平均値を利用。それに発行量を掛け合わせたのが実現時価総額となる。

ウォレットの紛失などによって失われたBTCが供給量全体の約15%を占めるいわれる現状において、より現実的な数値だ。

上記のグラフが示している通り、Swift氏は赤線が示す「MVRV Z-score」が緑のゾーンまで下落することは過去に数回しかなく、現在はBTCを割安で購入できる状態だと述べている。実際過去の事例は、緑のゾーンまで下落した後、価格が上昇に転じていることを示している。

また仮想通貨データ分析企業CoinMetricsも、BTCの価格が割安になっているというデータを公表。「BTC SOPR」という数値を算出している。

「BTC SOPR」とは、BTCが売られる時の売値を実際に支払われた価格で割った数値。この数値が1を下回ると投資家が投げ売りしていることを意味するという。

12日の時点で本数値が0.843になっており、これは2012年2月以来の低さに。本数値は、現在投資家が非常に割安な価格でBTCを売っていることを表していると指摘する。

降伏段階に

一方で、データ分析サイトGlassnodeがデータチャートを投稿。ビットコインが四度目の「降伏段階」に入っていることを指摘した。

オレンジチャートが「純利益・損失」を示しており、市場がどのフェーズにいるかを投資家のポジション状況から示すデータだ。

投資家サイクルとして、降伏(Capitulation)に陥ったのは今回を除いて3回。2012年、2015〜2016年、そして2019年にそれぞれの降伏段階(赤の領域)が確認された。

Glassnodeは、「歴史的に、赤の領域に入ると、損失がより発生し、相場が横ばいする期間も長引く傾向がある」と説明している。

出典:glassnode

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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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