仮想通貨の税金逃れは即バレる!?"億り人"は特に注意!
- 仮想通貨の税金逃れは非常にバレやすい?
- 仮想通貨専門税理士・公認会計士の齋藤雄史による寄稿記事です。仮想通貨の脱税がバレやすい点と、ペナルティの詳細についてまとめていただきました。
仮想通貨専門税理士・公認会計士
齋藤雄史
東北大学大学院経済学研究科会計専門職課程修了、慶應義塾大学大学院法務研究科法務専攻履修。
新日本有限責任監査法人を経て、公認会計士・税理士事務所を開業し、自らも経営者、投資家として、経営者や投資家の財務・税務をサポートする。
2017年より、仮想通貨専門税理士として、税金の仕組みの基礎から、仮想通貨の税金対策セミナーを各地で開催している。
これまで500人以上の税務申告の相談にのり、要望の大きさから仮想通貨専門の税務相談サービス(Coin Tax Service)を設立、監修を務める。
- 目次
ビットコインは脱税がしにくい!
確定申告の期限が迫っていますが、皆さん確定申告は順調に進んでいるでしょうか。
まだという方も、必ず確定申告をしていただきたいと思います。
仮想通貨取引はデータ上のやり取りに過ぎないため、「脱税ができるのでは?」「もう間に合わないしいっか」などと考えて放置することは避けた方が良いです。
実は、ビットコインを含む仮想通貨ほど、税金逃れがしにくいものはほとんどと言っていいほどないのです。
脱税をしても、仮想通貨取引はデータとして記録されていますし、仮想通貨取引業者は税務当局に情報公開を求められたら基本的に断ることができませんので、まず調べられればバレます。
特に利益金額の大きい「億り人」となった方々は確実に足がつくと思ってください。
国税庁も億り人には目を光らせているようです。
2018年1月に、朝日新聞でも、国税がビットコイン長者をリストアップしていることが報じられました。
確定申告していないことがバレる理由
仮想通貨取引についての脱税や無申告・過少申告がバレる理由としては以下のものが考えられます。
取引所内の取引履歴を確認される
取引所で行われる取引については、取引業者がデータを持っています。
皆さんが損益計算をする際に使用する取引履歴データも、取引所内で行われた取引を取引業者が記録しているために利用できます。
また、取引所に入出金する際に、銀行の口座を通している場合は、金融機関にその記録が残ります。
国税当局には一定の捜査権限があるので、取引所や金融機関は仮想通貨取引の情報公開請求を受けた場合基本的に従うしかありません。
そして、多額の利益が出ているのにもかかわらず、確定申告をしていないような納税義務者がいればすぐに疑ってくるでしょう。
ブロックチェーン上のトランザクションを追跡される
取引所を介さないウォレット同士の取引などであっても、ブロックチェーン上の取引履歴(トランザクション)を追跡される可能性があります。
ブロックチェーンは仮想通貨取引を行うもの全員に公開されている取引履歴の元帳のようなものですので、その履歴を追うことで「誰が」「いくら」「誰に対して」取引をしたのかが分かるようになっています。
SNSなどの投稿からバレる
今回の仮想通貨バブルの原因の一つとして「億り人」たちがSNSなどを通じて情報発信をし、市場を盛り上げていたことが挙げられます。
そこで積極的に情報発信をしている人は、仮想通貨投資で成功していると考えられ、調査対象になるかもしれません。
そして、取引所やトランザクションを追跡されれば足がついてしまう可能性があります。
ばれていないと思っていても・・・?
確定申告をしていないのに、すぐに税務署から連絡が来ない場合でも無申告・過少申告がバレていないとは言い切れません。
考えられる理由としては以下のものが考えられます。
単に金額が低いだけ
税務署は多数存在する納税義務者がきちんと納税しているかチェックします。
したがって、その調査対象には必然的に重要度があります。
課税金額が小さい場合はあまり重要性がない事例として見過ごされることもあるでしょう。
期間が短く確証がない
重大な税金逃れがあったとしても、ある程度の裏をとるまでは思い切った行動には出られません。単なる勘違いをしてしまっては税務署の信頼性に関わるからです。
ただ泳がしているだけ
納税を怠った納税者には延滞税や加算税などのペナルティがあり、時間をおいたほうがより多くの税金を取れます。
また、税務調査は一般的に、3年分を遡って調査され、3年分の追加の税金を納めてもらうという仕組みになっています。
したがって、税務署から連絡が来るまでに数年かかることも少なくありません。
連絡が来ないのは、ただ泳がされているだけということもあります。
よくある勘違い
確定申告をしなかったが税務署から連絡がこないのでバレていないと勘違いしてしまい、翌年もその次の年も申告しないでいると、数年後に税務調査が来て過年度の無申告分がまとめて課税される、というケースもありますので気を付けましょう。
無申告がばれるとペナルティがある
以前にも書きましたが、無申告・過少申告の場合には金額や悪意の程度に応じて以下のようなペナルティがあります。
また、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合に加算税の割合が加重される措置が設けられています。
延滞税
年率2.6%〜14.6%が加算されます。
加算税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
重加算税なら約35%〜50%を追加で加算されます。
脱税(所得税法違反)
「10年以下の懲役」または「1,000万円以下の罰金」、もしくはその両方が科されます。事案によっては、行政的な制裁だけでなく、刑事罰を受ける可能性があります。
2000万円の仮想通貨の利益を脱税した場合
例えば、給与所得が500万円の会社員が仮想通貨による利益2,000万円を意図的に申告せず、税務調査により無申告を指摘された場合の計算はこのようになります。
前提条件
所得:給与所得500万円(給与所得控除後346万円)と雑所得2,000万円
控除:基礎控除38万円のみとする
源泉徴収税:年間累計約21万円(年末調整済)とする
本来納めるべき税額:約635万円(所得税及び復興税の合計)
計算手順
手順①本来納めるべき税額を計算する
⇒本件は約635万円
手順②本来納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算する
⇒50万円までの部分:50万円×15%=約7万円
⇒50万円を超える部分:(635万円-50万円)×20%=約117万円(無申告加算税)
合計約124万円
こちらの「無申告加算税」だけでなく、法定納期限の翌日から完納する日まで納付が遅延したことによるペナルティ(「延滞税」と呼ばれます)が課されます。半年後(平成30年9月)に納付したとすると、約8万円(延滞税)です。
合算すると、約635万円(本来納めるべき税額)+約124万円(無申告加算税)+約8万円(延滞税)=約767万円納付することとなります。
延滞税の計算方法
参考記事はこちらから
まとめ
これまで仮想通貨取引の追跡の仕方、脱税(無申告)がバレるきっかけについてご紹介しました。
仮想通貨の税制はまだ確立したものではなく、完全に正しい処理をするのは難しいかと思います。
そこで、仮想通貨の税金計算サービスを利用する、または、個人で申告するにしても税務署や税理士に相談するなどきちんとした手続きを行い、後々税務調査が入ったとしても慌てないようにしましょう!
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します