ビットコイン独歩高、高値更新に12000ドルの壁
ビットコイン独歩高
21日の仮想通貨市場で、ビットコインが高騰。一時、米ドル建12,000ドルに達する場面があった。
ビットコインを除いた主要仮想通貨銘柄は法定通貨建に対して小幅安。7日平均もマイナス域にとどまるなど、ビットコインの独歩高が目立った。
心理的な節目の12,000ドル到達後が意識されたビットコイン市場も、利食い先行とならずに高値圏を維持している。
その他の市場などを見ると米国株式市場は反発(ダウ113ドル高)する一方で、米ドルが下落し主要通貨に対して1ヶ月ぶりの安値を付けた。
コロナの感染再拡大や米大統領選前の追加の景気刺激策の行方、11月3日の2020年アメリカ合衆国大統領選挙など、投資家の一時的な資金引き揚げも考えられる展開で、ビットコイン市場が存在感を示せるか。12,000ドルの突破は、過去最高値更新を現実的に意識させる重要なターニングポイントとなりそうだ。
12,000ドル
12,000ドルがなぜ注目されるのか。
歴史的に意識された主要レジスタンスラインである点のほかに、ビットコインの最高値20,000ドルまでに(多くの売り手が待つ)オーバーヘッドサプライが意識されるレジスタンスラインが限られることが挙げられる。
skew.のデータによると、11,500ドルを超えてビットコインが取引された日数は過去100日に満たない。これは、現在の価格より高値圏で購入した人数が少ないことを示す一つのデータで、高値で買った投資家が損益をプラスで確定する心理的な考えも働くオーバーヘッドサプライへの意識が後退する。それに伴い、高値更新への期待感が出てきている一つの理由ともなっている。
歴史的な大きなレジスタンスラインとした意見では、米Forbesが複数の有識者がコメントを紹介した。
仮想通貨関連ヘッジファンドBitBull CapitalのJoe DiPasquale CEOは、「12,000ドルは強いレジスタンスラインで、利益確定のポイントになる可能性があり、その後の価格下落に繋がる可能性もある」とコメント。
今年に限定しても、8月2日、8月18日、9月2日と3回、同レジスタンスラインで否定されている点を紹介し、今回も否定されることでレジスタンスとしての意識はより高まることに繋がると指摘した。
また、英デジタル資産運用会社Bequanのリサーチ部門責任者 Denis Vinokourov氏は、現在のビットコインの上昇相場をニュースに関連して盲目的に購入を行う個人投資家を中心としたマーケットである一方で、機関投資家は強気には至っていないと指摘。これらの目線の違いが、現在均衡するレンジ相場の要因にもなっているとした。
「12,000ドルを大幅に突破できなくても驚かない」と発言するなど、短期的にBTC市場が苦戦する可能性もあると見解を述べている。
ビットコインドミナンス
出来高のドミナンス(占有率)でみると、ビットコインは2017年に約2万ドルをつけた時以来の水準に再び達している。
出来高のドミナンスは、TheTieが主要取引所から出来高を集計するデータで、現在ビットコインは60%超え。二番目がイーサリアム(ETH)で約20%、三番目はDeFi銘柄のYFIという結果となった。取引ドミナンスからも、ビットコインへの資金流入規模と独歩高の背景が見て取れた。
ビットコインの時価総額ドミナンスは現在62%弱で、アルト市場も一定の水準を維持している状況だ。
ビットコインとアルト市場の展開については、シンガポールの著名仮想通貨ヘッジファンドThree Arrows CapitalのCEOを務めるSu Zhu氏が、ビットコインが騰勢を強めれば、アルト市場は弱気になる可能性も高いと指摘。「BTCの急上昇はアルトコインにとって強気ではなく、むしろ弱気だ。資金流入は協調ゲーム(ゲーム理論)で、ビットコインは期待値の焦点(シェリングポイント)だ」とコメント。ビットコインの高値更新が意識される中で、資金が集中する可能性を指摘している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します