ノルウェー金融当局、仮想通貨投資について注意喚起
適切な投資には「規制枠組みが必要」
ノルウェーの金融監督局(FSA)が暗号資産(仮想通貨)を購入するリスクについて消費者に呼びかけを行っている。ボラティリティ(価格変動)が大きいことや、詐欺などを挙げ、規制の枠組みが確立するまで投資には慎重になるべきだとのメッセージを公式サイトに掲載した。
FSAは仮想通貨が注目を集めており「著名な投資家や芸能人が購入し、インフルエンサーもソーシャルメディアで売り込んでいる」として、その人気を認識している。しかし、投資にはリスクが存在していると注意喚起する。
ノルウェー金融監督局(FSA)
ノルウェー語で「Finanstilsynet」。ノルウェー政府や財務省の決定に基づいて活動する独立した政府機関。金融セクターの監督や市場分析を行っている。
▶️仮想通貨用語集
仮想通貨のリスク
まず「ほとんどの仮想通貨は価格の変動が極端」で、価格の形成要因も不透明だと指摘。価格の先行きを予測したり、十分に根拠のあるアドバイスを得る機会が非常に少なく、販売できる場所が限られていることなどから、売りたい時に売ることが難しい場合もあると続けた。
さらに現在、まだ十分に規制されていないことも大きな問題だとしている。FSAによるとノルウェーでは、通常の積立投資や株式などの投資市場とは異なり、仮想通貨を購入する者へは法的保護がない状況だ。
またノルウェーの仮想通貨取引プラットフォームは、当局からマネーロンダリングの側面については規制されているが、それ以外の部分については監督されていないという。仮想通貨が犯罪の温床になっていることも指摘している。
こうした状況では、法的な枠組みの確立が求められ、適切な規制が施行されるまでは、消費者は仮想通貨投資に対して慎重になるべきであり、「失ってもよい以上の額を投資すべきではない」と結論している。
EUの包括的な規制案「MiCA」
FSAは、このような規制を定めるものの例としては、2020年9月に欧州委員会が発表した仮想通貨市場の規制案「Markets in Crypto-Assets(MiCA)」を挙げた。この包括的な規制案は、2024年までの導入を目指したもので、次のような項目が掲げられている。
- 仮想通貨の発行体は、EU内に拠点を置く
- 仮想通貨の発行体は、裏付けとなる準備金を保有
- ルールに違反した場合、罰金を支払う
- 複数通貨を裏付けとする資産は欧州銀行監督局(EBA)が監督
仮想通貨の発行体がEU内に拠点を置くことについては、中央集権的な発行者を持たないDeFi(分散型金融)プロジェクトなどについての影響も懸念されているところだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します