米FDIC、シグネチャー銀行の仮想通貨企業預金5,300億円相当を返還へ
シグネチャー銀行の買収について
米連邦預金保険公社(FDIC)理事会のMartin Gruenberg会長は29日、米下院の公聴会で、経営破綻したシグネチャー銀行の暗号資産(仮想通貨)企業の預金約5,300億円(40億ドル)が4月初旬までに預金者へ返還される予定だと証言した。
連邦下院金融サービス委員会が開催した公聴会には、財務省、連邦準備制度理事会、及びFDICの責任者が召喚され、銀行破綻に関する連邦規制当局の対応について証言が求められた。
FDICは19日、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)がシグネチャー銀行の預金と資産の一部を買収することで合意したと発表した。Gruenberg氏は公聴会で、この合意に含まれなかった仮想通貨事業関連の預金40億ドルについて言及し、「来週までに返還される」予定だと述べた。
公聴会に先立ち、シグネチャー銀行で資金を保有している仮想通貨業界関連の顧客は、FDICより連絡を受け、4月5日までに資産を他へ移管するか、口座閉鎖の措置を受け入れるかの選択肢を提示されたと、ブルームバーグが報道していた。口座が閉鎖された預金者は小切手を受け取ることになるという。
Gruenberg氏は仮想通貨関連の資産が買収に含まれなかったのは、単に落札したNYCBの選択であると強調した。
また、シグネチャー銀行の仮想通貨クライアントに特化した決済ネットワーク「Signet」に関しては、買収に含まれておらず、FDICの管理下に置かれており、売却の手続きを進めている最中だと説明した。
仮想通貨擁護派として知られるTom Emmer共和党議員は、Signetは民間企業による革新的技術であり、米連邦準備銀行(FRB)が導入準備を進めるリアルタイム決済サービス「FedNowに匹敵すると思われる」と指摘。大きな価値を持つ資産であるため、売却の完了を確認したいと述べた。
シグネチャー銀行閉鎖に対する批判
シグネチャー銀行は、シリコンバレー銀行(SVB)破綻後に「金融システム危機を回避するため」、米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)により12日に閉鎖された。
この措置をめぐっては、シグネチャー銀行の取締役会に所属する元共和党議員のBarney Frank氏や、ブロックチェーン分析企業Messariの創設者Ryan Selkis氏などが、支払い能力があり経営が健全だった同行を、仮想通貨反対の立場を示すために規制当局が「標的にした」と批判している。
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Emmer議員は15日、FDIC総裁宛に、シグネチャー銀行に対するFDICの措置を批判する書簡を送り、Frank氏の発言に言及していた。
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シリコンバレー銀行の売却と仮想通貨の破綻への影響
一方、SVBの売却では、落札したファースト・シチズンズ銀行は仮想通貨関連の預金を含むすべての資産を買収したと、Gruenberg氏は証言。Emmer議員は、仮想通貨の顧客を維持したり新規に引き受けることに対し、FDICが監視を強める可能性を銀行に伝えたことがあるかと尋ねたが、Gruenberg氏は否定した。
この公聴会で、財務省のNellie Liang国内金融担当財務次官は、仮想通貨がシグネチャー銀行およびSVBの破綻に直接的な役割を果たしたとは考えていないと証言した。
シグネチャーがデジタル資産に関わる活動をしていたことは知っているが、それが主な(原因)とは思っていない
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します