シグネチャー銀行閉鎖めぐり書簡
トム・エマー米下院議員は15日、連邦預金保険公社(FDIC)総裁宛てに書簡を提出。FDICが最近シグネチャー銀行などに対して取った措置は、暗号資産(仮想通貨)業界を抑え込もうとする意図があるのではないかとの疑念を投げかけている。
Today, I sent a letter to FDIC Chairman Gruenberg regarding reports that the FDIC is weaponizing recent instability in the banking sector to purge legal crypto activity from the U.S. 👇 pic.twitter.com/fDmaA0XGWv
— Tom Emmer (@GOPMajorityWhip) March 15, 2023
エマー氏は、シグネチャー銀行の取締役会に所属するバーニー・フランク氏の発言に言及した。フランク氏は、元議員でリーマンショックをきっかけにして成立したドッド・フランク法の草案作成に携わった人物である。
米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は12日、SVB破綻後に金融システム危機を回避するとしてシグネチャー銀行を閉鎖した。シグネチャー銀行は、仮想通貨業界に米ドル預金のサービスを提供していたことで知られる。
これについて、フランク氏は、シグネチャー銀行は充分な総資産を持っていたため、事業停止する必要はなかったと述べた。当局が同行を閉鎖したのは、仮想通貨は危険であり、関わりを避けるべきという警告メッセージを示すという理由もあったと意見した格好だ。
エマー氏はこの意見を引用し、次のように主張している。
もしこれが事実なら、最近の銀行部門で起きた出来事を利用した、シグネチャー銀行の閉鎖措置は非常に不適切であり、より大きな金融不安につながりかねないものだ。
また、エマー氏は、銀行部門の不安定さも、政府による金利上昇などによって引き起こされた側面があると指摘。次のように続けた。
シグネチャー銀行などの閉鎖は、仮想通貨が「危険」だから起こったという者もいるが、実際には、仮想通貨のボラティリティ(価格変動の大きさ)よりも、金利上昇の影響を受けているようだ。
FDICは、金融機関が金利上昇のリスクを管理・軽減するために、ガイダンスを提供していたのか。もし提供していたのなら、どのようなものだったのか。
背景として、シリコンバレー銀行(SVB)は、FRBの利上げ政策を受けて、保有する米国債などの価格が下落し含み損を抱えていたことが知られている。シリコンバレー銀行やシグネチャー銀行は、仮想通貨業界の企業が利用する銀行でもあった。
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エマー氏は、FDICが監督下の各銀行に対して、仮想通貨企業にサービスを提供しないよう指示したかどうか、もしそうした指示があったならその理由や目的を公式に回答するよう求めている。また、仮想通貨業界の顧客と関わる場合、監督が厳しくなることを示唆したかどうかとも問いかけた。
FDICとは
正式名称は連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation)。被保険銀行における預金を保護するための預金保険業務等を行う米国政府の独立機関で、1929年の世界恐慌を教訓に、銀行預金の保護政策として1933年に設立された。
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FRBらの声明
エマー氏は、FDIC以外の米国政府機関の動きについても触れている。
最近の事例では、米連邦準備制度理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁(OCC)は2月、連名で仮想通貨が銀行にもたらすリスクについて注意喚起していた。
「特定のタイプの企業に銀行サービスを提供することを抑制するものではない」としつつ、仮想通貨企業の顧客のための預金、あるいはステーブルコイン準備金のための預金には流動性リスクがあると指摘し、そのような預金については適切にリスク管理するよう推奨している。
エマー氏は、このような通知は、銀行が仮想通貨業界の顧客にサービスを提供したりすることなどを思いとどまらせるものだとして、次のように述べた。
米国の金融システムから仮想通貨を締め出そうとするこうした動きは、イノベーションを停滞させ、米国の仮想通貨ユーザーを、規制が緩い管轄地域のサービスに向かわせる、不適切な規制戦略だ。
エマー氏は、破綻したFTXが米国外を拠点とするオフショア取引所だったことも挙げた。
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