
米国を仮想通貨の首都に
トランプ大統領は就任以来「アメリカ・ファースト」を掲げ、米国を暗号資産(仮想通貨)の首都に位置付ける方針です。2025年1月・3月の大統領令で、暗号資産の規制緩和策や戦略的備蓄を検討するワーキンググループを立ち上げるなど、産業推進政策を進行中です。
詳細な施策や議会の合意形成はまだ途上ですが、米国内で暗号資産プロジェクトに対する期待と関心が一段と高まりつつあります。しかし、実際にどの通貨・プロジェクトが恩恵を受けるかは流動的です。
そこで本記事では、米国に拠点を持つ主な暗号資産企業・プロジェクトを整理し、現状の勢力図を概観します。政策の具体化とともに、これらのプロジェクトへの注目度がさらに増す可能性がありそうです。
米国拠点 暗号資産企業・プロジェクト一覧
ティッカー | 関連企業名 | 種別 | 拠点 | 概要 | 準備金候補 | サミット参加 |
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Consensys | L1 | ブルックリン | 米で現物ETF上場。Consensysはメタマスクなど扱うソフトウェア企業 | – | |
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Solana Labs | L1 | ニューヨーク | 高速処理、Visa等・企業採用でリード。シリコンバレー有力VCから3億ドル超を調達 | – | |
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Ripple Labs | L1 | サンフランシスコ | 国際送金、ステーブルコイン発行 | ||
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Binance.US | 取引所 | サンフランシスコ | グローバルに拠点。SECによる訴訟は4月中旬まで延期 | – | – |
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Ondo | DeFi | ニューヨーク | トークン化米国債発行 | – | – |
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Circle | ステーブルコイン | ボストン | 米ドル型ステーブルコイン | – | – |
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IOHK* | L1 | ワイオミング | 学術的アプローチで安全性重視。IOHKは世界中に拠点を持つ。 | – | |
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Stellar Dev Foundation | L1 | サンフランシスコ | 決済ネットワーク | – | – |
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Aptos Labs | L1 | パロアルト | 高速処理。元Meta開発者らが主導。 | – | – |
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Mysten Labs | L1 | パロアルト | 高速処理。元Meta開発者らが主導。 | – | – |
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Ava Labs | L1 | ニューヨーク | 企業向け機能に強み。共同創設者エミン・G・シラー氏はコーネル大学教授 | – | – |
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Hedera Hashgraph | L1 | テキサス | 企業向け機能に強み。統治評議会にGoogleやIBMなど参画 | – | – |
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Near Protocol | L1 | サンフランシスコ | AI研究者出身の共同創設者がリード | – | – |
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EigenLayer | DeFi | シアトル | ステーキング資産の再運用 | – | – |
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Chainlink Labs | DeFi | サンフランシスコ | 価格フィード等 | – | |
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Uniswap Labs | DEX | ニューヨーク | 2/26 米SECが調査を終了 | – | – |
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Compound Labs | DeFi | サンフランシスコ | 融資。預かり総価値24億ドル(25年3月時点) | – | – |
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Block.one | L1 | ヴァージニア | 14万BTCを保有。世界4番目の拠点をワシントンD.C.近郊に設置 | – | – |
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Protocol Labs | インフラ | ブルックリン | 分散型ストレージ | – | – |
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MakerDAO* | DeFi | サンタクルーズ | ステーブルコイン発行。2014年に米国で設立、現在はDAOとして本部を持たない | – | – |
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Polygon Labs | L2 | ニューヨーク | L2 | – | – |
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Litecoin | L1 | – | CFTCから非証券認定。創設者チャーリー・リーが米国出身 | – | – |
米国・EUの規制方針の違い
2025年1月、トランプ政権下のSECは新体制で暗号資産の規制整備を進めるタスクフォースを発表。CFTCやOCCなど主要機関にも専門知識を備えた人物が就任し、イノベーション促進と投資家保護の両立を目指す姿勢を強めています。
一方、EUは2024年12月に MiCA(暗号資産市場)規制を施行し、 ステーブルコインなどに銀行と同水準の厳格なルールを適用する方向へ舵を切りました。 この厳しさを嫌い、より柔軟な規制を期待できる米国へ拠点を移そうとする企業も増えています。
まとめ:米国拠点プロジェクトの行方
「アメリカ・ファースト」のもと、米国政府は暗号資産を新たな成長エンジンと位置づけ、法整備や政策づくりを急いでいます。このマップに掲載した企業・プロジェクトも、具体的な法案や連邦政府の動向次第で、大きく成長を加速する可能性があります。
ただし、戦略的備蓄や押収ビットコインの扱いなど、議会や司法の承認が必要な課題は残されています。政策の行方は不透明な部分もありますが、米国に集まる暗号資産企業が今後どのように規制当局と連携し、産業を拡大していくのか注目が高まりそうです。
特集:米国の仮想通貨「準備金」構想:トランプ政権・各州の注目点